Nvidiaの新世代GPU「GeForce RTX 5060」と「RTX 5060 Ti」が、近日中に正式発表される可能性が高まっている。フランスの小売業者がすでにRTX 5060を搭載したプリビルトPCを販売し始めており、新アーキテクチャ「Blackwell」を採用したエントリークラスのGPUが登場間近であることを示唆している。
RTX 5060は8GBのGDDR7メモリを備え、3,840基のCUDAコアと150Wの消費電力を特徴とし、前世代比で25%の性能向上が見込まれる。一方、RTX 5060 TiはCUDAコア数が4,352から4,608に増加し、16GB版も用意されるが、世代間の性能差は限定的とされる。
さらに、RTX 5050のデスクトップ版登場の可能性や、新世代のDLSS 4対応が報じられる中で、最大の焦点は価格と供給状況にある。競合であるAMDが16GBのGDDR6 VRAMを標準化する動きもあり、RTX 5060シリーズの価格設定と市場競争力が今後のGPU市場の行方を左右することになりそうだ。
RTX 5060がフランス市場に登場 小売業者の動きが示す市場動向

フランスの小売業者がRTX 5060を搭載したプリビルトPCの販売を開始したことは、新GPUの正式発表が目前に迫っている可能性を示唆している。特に、AcerのデスクトップPC「Nitro 50」にRTX 5060が搭載され、Intel Core i7-14700Fと組み合わされたモデルが1,590ユーロ(約1,737ドル)で販売されていることが確認された。これにより、RTX 5060はすでに一部の市場で流通し始めていると考えられる。
前世代モデルであるRTX 4060搭載の「Nitro 60」がAmazonで1,520ドルから1,541ドルの価格帯で販売されている点を考慮すると、RTX 5060搭載モデルの価格はそれほど大きく変わらない。しかし、Acerが米国市場向けに10%の価格上乗せを行うことがあるため、最終的な販売価格は国によって異なる可能性がある。これにより、RTX 5060がエントリークラスの市場にどのように位置づけられるのかが注目される。
小売業者が販売を開始したという事実は、Nvidiaが十分な供給を確保している可能性を示しているが、一方で供給不足や価格の変動が発生するリスクも依然として存在する。特に、半導体の供給状況や物流の問題が価格に影響を与える要因となるため、RTX 5060が十分な台数で市場に流通するかどうかは今後の焦点となるだろう。
RTX 5060のスペックとパフォーマンス 競争力の鍵はVRAM容量
RTX 5060は、8GBのGDDR7メモリ、3,840基のCUDAコア、150Wの消費電力を備え、前世代のRTX 4060と比較して約25%の性能向上が見込まれている。これは、最新のBlackwellアーキテクチャの採用によるもので、より効率的な電力管理とレンダリング能力の向上が期待される。しかし、VRAMが8GBに制限されていることが、パフォーマンスのボトルネックとなる可能性が指摘されている。
特に、高解像度のゲームやクリエイティブ用途では、VRAMの容量不足がパフォーマンス低下を引き起こす可能性がある。RTX 5070ですら高解像度環境での処理に限界が見られたことを考慮すると、RTX 5060ではさらに厳しい制約が予想される。RTX 5060 Tiには16GB版も用意されるとされており、より大容量メモリが求められる用途では5060 Tiの方が優位となる可能性がある。
一方で、NvidiaはDLSS 4やマルチフレーム生成技術を導入し、パフォーマンス向上を図る見込みである。しかし、AMDが最新のGPUラインナップに16GBのGDDR6 VRAMを標準装備する方向性を打ち出していることを踏まえると、RTX 5060シリーズの競争力が価格設定や市場の受け入れに依存する点は否めない。価格と性能のバランスがどのように評価されるかが、今後の市場動向を左右することになりそうだ。
エントリークラスの再編か RTX 5050のデスクトップ版登場の可能性
これまでノートPC向けに展開されていたRTX 5050が、デスクトップ版として登場する可能性が浮上している。RTX 5050は、8GBのVRAMと2,560基のCUDAコアを搭載するとされ、エントリークラスのGPU市場に新たな選択肢を提供することになるかもしれない。
RTX 5050がデスクトップ向けにリリースされた場合、競争が激化するエントリークラスのGPU市場において、より手頃な価格で新世代の技術を提供できる点が強みとなる。これにより、現在のRTX 3050やGTX 16シリーズを使用しているユーザーにとっては、アップグレードの選択肢が増えることになる。しかし、AMDもエントリークラスのGPUを拡充しているため、価格と性能のバランス次第ではRTX 5050が市場での存在感を発揮できるかどうかが問われる。
DLSS 4やマルチフレーム生成技術を備える新世代のエントリークラスGPUは、これまでの低価格モデルと比較して、一定の性能向上を実現する可能性が高い。一方で、RTX 5060シリーズと比べて性能差がどの程度生じるのか、また価格帯がどのように設定されるのかが、市場での成功を左右する重要な要因となるだろう。
Source:Gizmodo