Nvidiaは2025会計年度の好調な決算を発表し、売上は前年比114%増の1,305億ドルに達した。特にAI向けGPUの需要が急増し、データセンター部門の売上は前年比93%増と圧倒的な成長を見せた。一方、ゲームおよびAI PC部門は減少傾向にあるが、自動車・ロボティクス分野の売上が倍増し、業績を下支えしている。

株価はここ数年で大幅に上昇しているものの、2025年に入り18%下落しており、貿易問題や中国市場のリスクが影を落としている。しかし、ウォール街のアナリストは依然として「強い買い」と評価し、最高目標株価は220ドルとされている。

NvidiaのAI向けGPUが生み出す圧倒的な成長

Nvidiaは、AI需要の拡大によって飛躍的な成長を遂げている。2025会計年度の売上は前年比114%増の1,305億ドルに達し、特にデータセンター部門の売上が93%増と驚異的な伸びを記録した。AIの進化に不可欠な高性能GPUの供給元として、Nvidiaの存在感はますます強まっている。

データセンター部門の成長を牽引したのは、Blackwellアーキテクチャを採用した最新のAI向けGPUだ。これらのチップは、大規模なAIモデルのトレーニングや推論処理に最適化されており、クラウドサービスプロバイダーやテクノロジー企業からの需要が急増している。特に、生成AIの発展が進む中で、高速かつ効率的な計算能力を持つNvidiaのGPUは、業界全体に不可欠な存在となっている。

一方で、ゲームおよびAI PC部門の売上は11%減少したが、これはデータセンター市場の成長が際立っていることを示している。ただし、Nvidiaは自動車およびロボティクス市場への進出を強化しており、これらの分野では103%の成長を遂げた。特に自律走行技術やAI活用のロボットシステムが進化する中で、Nvidiaの技術はこれまで以上に多様な分野に広がりつつある。

株価の調整と市場の不確実性が投資家の懸念材料に

Nvidiaの株価は2025年に入ってから18%下落している。これは、中国市場の不確実性や貿易規制の影響が懸念されているためだ。特に、米国政府によるAIチップの輸出規制が強化される可能性があり、NvidiaのH20チップが規制の対象となれば、中国向けの売上に影響を及ぼす可能性がある。現在、中国市場はNvidiaの総売上の13%を占めており、この割合の変動が今後の業績に影響を与えるか注視されている。

しかし、Nvidiaは米国市場での成長を加速させており、2025会計年度の米国内売上は前年比127%増となった。さらに、シンガポールでは246.7%、台湾では53.5%の売上増を記録しており、中国市場のリスクを補う形で事業を拡大している。これにより、投資家の不安が完全に払拭されたわけではないものの、長期的な成長の可能性は依然として高いとみられている。

市場アナリストの多くはNvidiaの株を「強い買い」と評価しており、目標株価の平均は177.59ドル、最高値は220ドルとされている。GTCカンファレンスでは、新たな技術発表が予定されており、これが市場のセンチメントを改善する可能性もある。短期的には株価の調整が続くかもしれないが、長期的な成長を見据えた場合、AI分野でのリーダー企業としてのNvidiaの地位は揺るぎないものといえる。

GTCカンファレンスでの発表が今後の方向性を示す鍵に

3月17日に開催されるNvidiaのGTCカンファレンスでは、新たなAI向けGPUである「Blackwell Ultra」および「Rubin」の発表が予定されている。この発表が、今後のAI市場におけるNvidiaの戦略を決定づけるものとなる可能性が高い。

過去のGTCカンファレンスでは、Nvidiaが最先端技術を披露する場となっており、これが市場の期待を高める要因となってきた。特に今回のイベントでは、次世代のGPUアーキテクチャがどのようにAIの計算能力を向上させるのかが注目される。NvidiaはすでにAIスーパーコンピューティングの分野でリードしているが、Blackwell UltraやRubinの登場により、その優位性がさらに強まることが予想される。

また、イベントではAI技術の新たな応用分野についての発表も期待されている。ヘルスケア、ロボティクス、自動運転技術など、AIの進化が加速する領域において、Nvidiaの技術がどのように活用されるのかが明らかになる可能性がある。今回のカンファレンスは、Nvidiaの将来性を見極める重要な機会となり、市場の反応次第では株価の動きにも影響を与えることになりそうだ。

Source:Barchart.com