AMDのミッドレンジGPU「Radeon RX 9070」が、電圧を下げるアンダーボルティングを施しても依然としてNVIDIAのRTX 4070 Ti Superを上回る性能を発揮することが明らかとなった。オーバークロッカーのAlva Jonathan氏が行ったテストによれば、消費電力を30%削減しても『Cyberpunk 2077』のベンチマークで50FPSを記録し、RTX 4070 Ti Superのデフォルト設定(46FPS)を上回る結果を示した。
さらに、RX 9070を3GHzまでオーバークロックすれば、RTX 5070 Tiのデフォルト設定を超える性能も実現可能であることが判明した。価格面でもRX 9070は約640ドルと競争力が高く、1000ドル以上のRTX 4070 Ti Superに対して優位性を持つ。今回の検証結果は、AMD製GPUのコストパフォーマンスの高さと、アンダーボルティングによる省電力化の可能性を改めて浮き彫りにした。
Radeon RX 9070のアンダーボルティングが示した省電力とパフォーマンスの両立

Radeon RX 9070は、標準状態でも価格対性能比に優れたGPUであるが、電圧を下げるアンダーボルティングを行うことで、消費電力を抑えつつ性能をほぼ維持できることが確認された。オーバークロッカーのAlva Jonathan氏によるテストでは、AMD Adrenalinソフトウェアを用いて電圧を-100mVに調整し、消費電力を30%削減した状態でも『Cyberpunk 2077』で50FPSを記録した。この数値は、デフォルト設定での54FPSから約10%の低下にとどまり、電力効率が大幅に向上したことを示している。
この結果は、RX 9070が消費電力の高さというAMD製GPUの弱点を克服する可能性を示唆するものだ。特に、ゲーミングPCの電力消費が課題となる環境では、アンダーボルティングが有力な選択肢となる。消費電力を抑えながら競合製品と同等以上の性能を維持できるRX 9070は、コストパフォーマンスを求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。
RTX 4070 Ti Superを上回るRX 9070の実力と市場競争力
NVIDIAのRTX 4070 Ti Superは、ミッドハイレンジクラスにおいて高いゲームパフォーマンスを誇る製品だが、今回のテスト結果では、アンダーボルティングを施したRX 9070がこれを上回る性能を示した。Cyberpunk 2077のベンチマークでは、RTX 4070 Ti Superのデフォルト設定が46FPSだったのに対し、アンダーボルティング後のRX 9070は50FPSを記録している。価格面では、ASRock Steel Legend版のRX 9070が約640ドルであるのに対し、RTX 4070 Ti Superは1,000ドル以上で販売されており、コストパフォーマンスの点でRX 9070が優位に立っている。
この結果から、AMDが提供するRadeon RX 9000シリーズの強みが改めて浮き彫りになったと言える。特に、GPU市場では電力効率や価格が重要な要素となるため、低消費電力で高性能を発揮できるRX 9070は、ミッドレンジ市場において競争力を持ち続ける可能性が高い。NVIDIAの製品群は依然として安定した市場シェアを維持しているが、AMDの技術革新によってその構図に変化が生じるかもしれない。
オーバークロックによるRX 9070のさらなる性能向上
今回のテストでは、RX 9070を3GHzまでオーバークロックした場合、RTX 5070 Tiのデフォルト設定を超える性能を発揮することが明らかになった。デフォルト状態ではRX 9070がRTX 5070 Tiに若干劣るものの、適切な設定変更により、同クラスのNVIDIA製品を超えるパフォーマンスを引き出せることが証明された。さらに、消費電力を10%増加させながら-100mVのアンダーボルティングを行うことで、『Cyberpunk 2077』において60FPSを記録し、デフォルト設定より約11%の性能向上を達成した。
オーバークロックとアンダーボルティングの組み合わせは、GPUのパフォーマンスを最大限に引き出すための手法として注目されている。特に、ミッドレンジGPUにおいては、わずかな調整によってハイエンドクラスに匹敵する性能を得られることがあるため、コストを抑えながら性能を追求するユーザーにとって重要な選択肢となる。AMDのRX 9070は、この特性を活かし、NVIDIA製品との差をさらに縮める可能性を秘めている。
Source:NotebookCheck