ゲーミングPCの常識を覆す試作機が登場した。UHPILCLが発表したこのノートPCは、デスクトップ向けのNVIDIA RTX 5090を搭載する可能性がある。さらに、世界初の内蔵型分割式水冷システムを採用し、極限まで冷却性能を高めた設計となっている。
17.3インチのウルトラワイドディスプレイを備え、標準的なITXマザーボードやハイエンドCPUに対応するなど、拡張性もデスクトップPC並みだ。筐体サイズは大型で、重量や携帯性を度外視した仕様となるが、極限のパフォーマンスを求めるユーザーには注目の一台となるかもしれない。
Kickstarterでのプロジェクトは未開始だが、関心のあるユーザー向けの通知登録が可能だ。過去の試作機は実用化されなかった経緯があるものの、今回はどのような展開を見せるのか期待が高まる。
デスクトップ級のRTX 5090を搭載するゲーミングノートPCの仕様と特徴

UHPILCLが開発する試作ゲーミングノートPCは、一般的なノートPCの枠を超えたハードウェア構成を持つ。最大の特徴は、デスクトップ向けのNVIDIA RTX 5090を搭載可能である点だ。これにより、一般的なノートPCでは実現困難なハイエンドグラフィックス性能を確保している。
この試作機には2つのモデルが存在し、T1000 Superは最大735Wの電力を供給可能でRTX 5090に対応する。一方、T1000はより薄型であるが、RTX 5090には非対応となる。CPUもAMD Ryzen 9 9950X3DやIntel Core Ultra 9 285Kなどのデスクトップ向けプロセッサが使用可能であり、標準的なITXマザーボードを採用している点も特徴的だ。
また、冷却性能の向上のため、従来の空冷ではなく、水冷システムを内蔵している。18Wの水冷ポンプと320mmラジエーターを搭載し、大型の排気口を設けることで高負荷時の熱処理を最適化。これまでの水冷ゲーミングノートPCと異なり、外部ユニットを必要としない点が革新的である。
ゲーミングノートPCの拡張性と携帯性のトレードオフ
UHPILCLの試作機は、拡張性の面でデスクトップPCに匹敵する仕様を持つ。メモリはDDR5、ストレージはM.2 PCIe 5.0/4.0スロットに加え、デュアルSATAスロットも備える。GPUはPCBサイズ230mm以下のデスクトップ向けモデルが搭載可能であり、冷却システムを水冷仕様に変更することでノートPCに組み込んでいる。
しかし、これらの仕様を実現するために、本体サイズや重量は一般的なノートPCと大きく異なる。420mm×340mmの筐体に加え、最大980Wの電源ユニットを備えるため、携帯性は著しく制限される。17.3インチのウルトラワイドディスプレイは3K解像度、120Hzのリフレッシュレートを誇るが、その大型筐体の影響で相対的に小さく見えるほどだ。
この試作機は、持ち運びを前提とした一般的なノートPCとは一線を画す。ゲーミング用途に特化しつつも、デスクトップPCの性能をノートPCの形で再現することに主眼を置いている。そのため、サイズや重量よりもパフォーマンスを重視するユーザー層に向けた特化型デバイスといえる。
Kickstarterでの展開と市場での可能性
UHPILCLの試作ゲーミングノートPCは、現在Kickstarterでのプロジェクト開始を控えており、関心のあるユーザーは通知登録が可能な段階にある。これまでの5世代の試作機は量産化されることなく終わっているが、今回のプロジェクトが実際に市場に投入されるかどうかが注目される。
水冷ゲーミングノートPCはこれまでにも存在したが、ASUS ROG GX700などのモデルは外部ラジエーターを必要とする構造であった。一方で、UHPILCLの試作機は内蔵型の水冷システムを採用し、外部ユニットを必要としない点が差別化ポイントとなる。しかし、この設計は同時に高コストと大量の電力消費を伴い、一般市場に適合するかは未知数である。
市場において、極限のパフォーマンスを求める一部のユーザー層には一定の需要が見込まれるものの、携帯性の低さや価格面が普及の障壁となる可能性が高い。特に、RTX 5090の市場供給が限られる中で、この試作機がどのような価格設定となるかも鍵となるだろう。デスクトップPCのアップグレード性が失われつつある現在、この試作機は一つの解決策として評価されるかもしれないが、量産化のハードルは依然として高い。
Source:Windows Central