アーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッドは、2025年3月6日にRobloxの株式67,967株を約400万ドルで売却した。これは、同社の株価が過去1か月で14%下落し、投資家の成長期待が揺らぐ中での決断である。
Robloxは2024年第4四半期に売上高を前年比32%増としたが、2025年度の予約販売額見通しが市場予想を下回ったことで株価は急落。ウッドは当初、下落局面でも買い増しを行っていたが、市場全体の不透明感を考慮し、戦略的な売却に転じた。
今回の売却は、彼女のテクノロジー投資のリスク管理を象徴する動きといえる。ただし、成長性が再び彼女の投資基準に合致すれば、今後の再投資の可能性も排除できない。市場の動向次第では、この決断が慎重な撤退か一時的な判断か、評価が分かれることになりそうだ。
キャシー・ウッドのRoblox売却 市場の動きと投資戦略の背景

キャシー・ウッドが2025年3月6日に実施したRoblox株の売却は、市場全体の下落と企業業績に対する投資家の懸念が交錯する中での判断であった。Robloxの株価は2月6日時点で65.10ドルとなり、過去1か月で14%の下落を記録。特に直近5日間では10%の下落幅を見せ、市場全体のリスクオフ姿勢が影響を与えている。
同社の2024年第4四半期の売上高は前年比32%増の9億8,820万ドル、日次アクティブユーザー数は8,530万人に達するなど、成長を維持している。しかし、2025年度の予約販売額見通しが52億ドル〜53億ドルにとどまったことが投資家の不安を招き、株価の下落につながった。この業績ガイダンスは市場予想を下回るものであり、成長鈍化への懸念が強まった。
ウッドは、2024年2月初旬にRoblox株を買い増していたが、株価の低迷と市場全体の不透明感を受け、3月6日に67,967株を売却する決断を下した。これは、短期的なリスクを抑えつつ、新たな投資機会を模索する彼女の戦略の一環と考えられる。過去にもウッドは、成長株の売買を機動的に行いながら長期的な利益を狙う姿勢を見せており、今回の売却もその延長線上にある。
Robloxの業績成長と株価下落 投資家心理との乖離
Robloxは2024年第4四半期に売上高32%増、予約販売額21%増、フリーキャッシュフロー54%増と、順調な成長を遂げた。しかし、株価はそれに反して下落している。この背景には、投資家の期待と企業の成長見通しとのギャップがある。特に2025年度の予約販売額ガイダンスが市場予想を下回ったことが失望を呼び、株価の売り圧力を強めた。
市場が注目したのは、Robloxのユーザー数の伸び悩みと、ユーザー1人当たりの予約販売額の低下である。2025年第1四半期の予約販売額予測も11.38億ドルと、ウォール街の期待に届かなかった。これにより、今後の成長ペースが鈍化する可能性が意識され、短期的な株価下落を引き起こした。
テクノロジー企業の株価は、成長期待に大きく左右される。Robloxは売上の伸びを維持しているものの、投資家が期待する加速度的な成長には届いていない。こうした状況では、一部の投資家が利益確定やリスク回避のために売却を進めることは自然な流れといえる。ウッドの売却も、企業の業績そのものではなく、投資家心理の変化に対応した判断と見るべきである。
ウッドの売却は短期的な判断か 今後の投資動向を探る
ウッドの投資スタイルは、成長株に対する大胆なエントリーと、リスク管理を重視した柔軟なポートフォリオ調整が特徴である。今回のRoblox売却も、彼女が短期的な市場変動に適応しつつ、長期的な投資方針を維持する姿勢の表れと考えられる。
過去の事例を見ると、ウッドは一度売却した銘柄を、状況が好転すれば再び購入することがある。今回のRobloxの売却も、短期的な下落リスクを回避するための戦略的な判断であり、今後の業績や市場環境次第では再投資の可能性を残している。特に、2025年の予約販売額が市場の期待を上回る成長を示せば、再びポジションを拡大することも考えられる。
3月9日時点でRobloxの株価は57.17ドルに下落しており、ウッドの売却タイミングはリスク回避の観点からは合理的なものといえる。ただし、彼女の投資哲学は、短期的な株価変動ではなく長期的な成長を重視するものであるため、今回の売却が最終的な撤退ではない可能性もある。市場の変動に応じた彼女の今後の動向が注目される。
Source: Wall Street Pit