データ分析企業Palantir(ティッカー:PLTR)の株価が年初来高値から35%以上下落している。トランプ前大統領の関税政策によるインフレ懸念や、国防費削減計画が要因とされる。しかし、Wedbush証券のダン・アイブス氏は、この下落を一時的なものと見なし、今が買いの好機であると指摘する。

AI分野への投資は今後3年間で2兆ドルに達する見込みで、データ分析とAIを融合させるPalantirには追い風となる可能性がある。市場の評価は「ホールド」だが、利下げ期待とともに2025年後半には新高値を更新するとの見方もあり、今後の動向に注目が集まる。


Palantirの株価下落要因 関税政策と国防費削減の影響

Palantirの株価は過去3週間で大幅に下落している。その背景には、ドナルド・トランプ前大統領が発表した関税政策がある。インフレの長期化への懸念が広がり、2025年の景気後退リスクが意識される中、投資家心理が悪化した。さらに、トランプ政権が国防費の削減計画を発表したことも、同社の株価にとって逆風となった。Palantirは米国政府との契約が収益の大きな部分を占めるため、防衛支出の縮小は成長見通しに影響を与える可能性がある。

一方で、アナリストのダン・アイブス氏は、こうした要因は短期的な影響にとどまると指摘する。現在の株価水準は年初来高値から35%以上下落しており、割安感が出ていると分析する。市場のボラティリティは高まっているものの、長期的な視点では、成長の機会が依然として存在すると見る向きもある。米連邦準備制度(FRB)の金融政策次第では、景気後退リスクが和らぎ、株価の回復につながる可能性がある。

AI市場の拡大がPalantirの成長を後押し

Palantirの成長を支える最大の要因は、AI市場の拡大である。アナリストの予測によれば、今後3年間で大手テクノロジー企業によるAI関連投資は2兆ドル(約300兆円)に達する見込みだ。データ分析プラットフォームを提供するPalantirにとって、AIの進化は追い風となる。政府機関や企業は、より高度なデータ分析を求めており、Palantirのソリューションへの需要は今後も増加すると考えられる。

また、同社はAI技術を組み込んだプラットフォームの開発に注力しており、競争力の強化を進めている。従来の政府向け事業に加え、民間企業への導入も拡大しており、新たな市場開拓が成長を後押しする可能性がある。Wedbush証券のアイブス氏は、AI革命が始まったばかりであり、現在の株価水準は長期的な投資機会と捉えられると指摘している。

2025年に向けた株価回復のシナリオ

市場ではPalantirの株価に対する評価が分かれているが、一部のアナリストは2025年に向けた回復を予測している。現在の市場コンセンサスは「ホールド(中立)」であり、目標株価の平均は85ドルとされる。これは現在の水準から約8%の上昇余地があることを示している。一方で、Fundstratのトム・リー氏は、FRBが5月に利下げを行う可能性があり、これが景気後退懸念を和らげ、Palantirの株価回復を後押しすると見ている。

また、株価のバリュエーションが過去に比べて割安になりつつあることも注目される要素である。一部の投資家は評価額が高すぎると判断し、買いを控えていたが、現在の株価水準は再評価の機会を提供している。市場環境やマクロ経済要因が好転すれば、2025年後半には新高値を更新する可能性があるとの見方もある。今後の金融政策と市場の動向が、Palantirの株価の行方を左右することになりそうだ。

Source: Barchart.com