Samsungは次世代モバイル向けプロセッサ「Exynos 2600」の試作版を5月に量産開始する見込みだ。現在、同社は最先端の2nm GAA(ゲート・オール・アラウンド)プロセス技術を用いた製造に注力しており、量産の安定化と歩留まりの向上が喫緊の課題となっている。

報道によると、Samsungはすでに30%の歩留まりを達成しているものの、競合のTSMCと比べると依然として不利な状況にある。AppleやQualcommといったライバル企業が次世代プロセッサの開発を進める中、Samsungは2nm世代での競争力を確保するための取り組みを加速させている。

Galaxy S26シリーズへの採用可否は2025年末までに決定されるとされ、Exynosブランドの復権を狙うSamsungにとって、今後のプロセス技術の進展が大きな鍵を握る。

Exynos 2600が5月に量産開始へ 2nm GAA技術の課題とは

Samsungは次世代チップ「Exynos 2600」の試作版を5月に量産開始する計画を進めている。このチップは2nm GAA(ゲート・オール・アラウンド)技術を採用しており、同社の半導体事業にとって重要なマイルストーンとなる。しかし、現時点では30%の歩留まりにとどまっており、さらなる改善が求められている。

GAA技術は従来のFinFET技術に比べて電力効率とパフォーマンスの向上が期待されているが、製造難易度が高い。そのため、Samsungは専門のタスクフォースを設置し、2nmプロセスの安定化に向けた取り組みを加速させている。TSMCと競争する上で、安定した量産体制を確立できるかが今後の焦点となる。

Galaxy S26シリーズにこのチップが搭載されるかどうかは2025年末までに決定される予定だ。Exynosシリーズの復活を狙うSamsungにとって、今回の技術革新が転機となる可能性がある。

AppleやQualcommとの競争激化 Exynos 2600の立ち位置

Exynos 2600の登場は、AppleやQualcommといった競合他社との競争が激化するタイミングと重なる。2025年にはQualcommの「Snapdragon 8 Elite Gen 2」やMediaTekの「Dimensity 9500」、さらにAppleの「A19」シリーズが市場に投入される見込みだ。これらのチップと競争するためには、Samsungはパフォーマンス面だけでなく、電力効率や発熱の抑制といった要素も強化する必要がある。

特にQualcommは、SamsungではなくTSMCの製造プロセスを採用しており、これが安定した供給につながっている。一方で、Samsungは自社の2nm GAA技術を活用することで、独自の競争力を生み出そうとしている。もし歩留まりの改善が進めば、Exynos 2600は同世代の競合チップに対抗できる存在となる可能性がある。

また、Samsungは今後のチップ開発において、AIやGPU性能の強化も視野に入れているとされる。特に、スマートフォンの進化に伴い、AI処理能力の向上は重要なポイントとなる。Exynos 2600がこれらの分野でどこまでの性能を発揮できるかが、競争のカギを握ることになりそうだ。

Samsungの半導体事業に迫る危機 TSMCへの顧客流出が加速

Samsungの半導体事業は、近年競争力の低下に直面している。特にTSMCとの競争において、技術力や安定供給の面で後れを取っているとの指摘がある。その影響はすでに顕在化しており、Qualcommが「Snapdragon 8 Elite Gen 2」の生産をすべてTSMCに委託するなど、大手顧客の流出が続いている。

TSMCは、Appleのチップ製造を担っているほか、NVIDIAやAMDといった主要な半導体メーカーからの受注も増加している。一方のSamsungは、Exynosシリーズの復権を目指すものの、依然として競争環境は厳しい。今回の2nm GAA技術が成功すれば、こうした流れを変える可能性もあるが、短期間での大幅な改善は容易ではない。

Samsungが今後、半導体事業で再び優位性を確立するには、技術開発の加速だけでなく、製造プロセスの信頼性向上も求められる。TSMCとの差を縮めるためには、Exynos 2600の成功が不可欠であり、今後の動向に注目が集まっている。

Source:Wccftech