Nvidiaの年次カンファレンス「GTC 2025」が3月17日から21日までサンノゼで開催される。今年の基調講演では、CEOのジェンスン・フアンがAIとアクセラレーテッド・コンピューティングを中心に語る予定で、次世代GPU「Blackwell Ultra」や2026年リリース予定の「Rubin」シリーズの詳細発表が期待されている。
また、Nvidiaは量子コンピューティングに関する新たな取り組みとして「量子の日」を設け、業界リーダーと実用的な量子アプリケーションについて議論する見通しだ。一方で、初期のBlackwell GPUの過熱問題や米国の輸出規制による影響が懸念される中、中国のDeepSeekの台頭が市場にどのような影響を及ぼすかも注目される。
競争が激化する中、Nvidiaは依然としてGPU市場の82%を占め、過去最高の四半期売上を記録するなど優位を維持している。GTC 2025は、同社が今後のAI・コンピューティング市場でどのような戦略を取るのかを示す重要な場となる。
Nvidia GTC 2025が示す次世代GPUの進化と市場動向

Nvidiaの年次カンファレンス「GTC 2025」では、新世代GPU「Blackwell Ultra」や次期アーキテクチャ「Rubin」についての発表が注目されている。Blackwell Ultraは288GBの大容量メモリを搭載し、AIモデルの学習と運用に最適化された設計となる予定だ。
フアンCEOは、Rubinについて「大きな進化を遂げる」と述べており、2026年の市場投入が見込まれている。加えて、次世代GPUアーキテクチャ「Rubin Ultra」に関する言及もある可能性が高い。
AIとコンピューティングの進化に伴い、高性能GPUの需要は急拡大している。特に、大規模AIモデルの推論やトレーニングを支えるハードウェアの進化は、企業の競争力を左右する要因となる。AMDやIntelがAI対応GPUを強化する中、Nvidiaの市場支配力が今後どのように維持されるかが焦点となる。GTC 2025は、同社の戦略を明確に示す場となるだろう。
量子コンピューティングの新たな展望 Nvidiaの「量子の日」に注目
GTC 2025では、Nvidiaが「量子の日(Quantum Day)」を設け、量子コンピューティングの実用化に向けた取り組みを発表する。Nvidiaは、量子コンピューティング企業との協力を強化し、「実用的な量子アプリケーションへの道筋」を議論する予定だ。これまで同社は、量子シミュレーション技術の開発を進めており、今後のAIや科学計算の分野で量子技術との融合を模索している。
量子コンピューティングは、現在のトラディショナルな計算技術を大きく変革する可能性を秘めている。特に、金融、材料開発、医療分野での応用が期待されており、クラシカルコンピュータと量子コンピュータを組み合わせたハイブリッド型の計算モデルが有力視されている。Nvidiaが量子技術をどのように取り入れ、実用化に向けたロードマップを示すのか、GTC 2025での発表が注目される。
Nvidiaを取り巻く市場環境と競争圧力 AI市場の覇権争い
Nvidiaは、GPU市場において圧倒的なシェアを持ち、2024年第4四半期には過去最高となる393億ドルの売上を記録した。次の四半期には430億ドルの収益を見込んでおり、依然として市場を牽引している。しかし、初期のBlackwell GPUは過熱問題が報じられており、一部の顧客が注文を削減する動きもあった。さらに、米国政府の輸出規制が厳格化する中、主要市場の一つである中国向けの製品供給が制約を受ける可能性がある。
一方で、中国のAI研究所「DeepSeek」が独自の高性能AIチップを開発し、競争環境が変化している。Nvidiaのジェンスン・フアンは、この動きがAI市場全体の成長を促進すると捉えており、新たな需要創出につながると考えている。特に、OpenAIの「o1」のような高い計算能力を必要とするモデルが登場することで、さらなるハードウェアの進化が求められる。GTC 2025は、Nvidiaが今後の市場変化にどのように対応し、競争力を維持するのかを示す重要なイベントとなる。
Source: TechCrunch