テスラ(TSLA)の株価は2024年に入り約39%下落し、S&P500指数の中で最も低迷する銘柄となった。2月の下落率は約30%に達し、過去2番目の悪い月となった。背景にはイーロン・マスクの経営専念への懸念、欧州市場での販売不振、政治的発言の影響がある。

一方、ドナルド・トランプ前大統領はテスラ擁護の姿勢を強め、マスクは米国内生産の拡大を示唆している。市場はこれを好感し、3月には株価が反発。しかし、EV市場の供給過剰や価格競争が激化する中、テスラの回復基調が持続するかは不透明な状況が続く。


テスラ株急落の背景 企業運営と市場環境が生んだ逆風

テスラの株価は2024年に入ってから約39%下落し、S&P500銘柄の中で最も不調なパフォーマンスとなった。特に2月は約30%の下落を記録し、2022年12月に次ぐ最悪の月となった。マスクの経営姿勢に対する懸念が強まり、彼が複数の企業を兼務することでテスラへの関与が希薄になっているとの見方が市場で広がった。

また、テスラの販売台数減少が問題視されている。米国のみならず欧州や中国市場でも需要が落ち込み、特に欧州では競合メーカーが価格競争を激化させたことでテスラの優位性が揺らいでいる。加えて、マスクの政治的発言が消費者の購買意欲に影響を与え、特定の層からのボイコットの動きも指摘されている。

さらに、EV市場全体の環境も変化している。生産能力が供給を上回る状況が続き、価格競争が熾烈化している。BYDのような中国メーカーは、価格を大幅に引き下げることでシェアを拡大し、テスラにとって厳しい競争相手となっている。これらの要因が重なり、テスラの株価は大幅に下落する結果となった。

マスクとトランプの支援は市場回復の追い風となるか

テスラの苦境を受け、イーロン・マスクとドナルド・トランプが市場心理の回復を図る動きを見せている。トランプは「テスラに対するボイコットは違法」と発言し、同社を擁護する姿勢を鮮明にした。一方、マスクは米国内での生産拡大を計画し、今後2年間で生産能力を倍増させる意向を示している。

これらの発言が市場に一定の安心感をもたらし、テスラ株は3月11日に反発。モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏もテスラに前向きな見解を示したことが追い風となった。特に、米国政府の政策が今後テスラに有利に働く可能性があるとの見方が出ている。

しかし、これらの支援がテスラの根本的な問題を解決するわけではない。EV市場の競争環境は依然として厳しく、特に価格競争の激化が利益率を圧迫する要因となる。さらに、マスクの経営姿勢への懸念が払拭されなければ、市場の信頼を完全に取り戻すのは容易ではない。

テスラの成長は自動運転とAI戦略にかかる

テスラは今後の成長戦略として、自動運転技術とAIの活用を軸に据えている。マスクは完全自動運転機能がテスラの企業価値を支えると主張し、2024年夏にはオースティンでロボタクシーサービスの開始を計画している。しかし、自動運転市場の競争は激しく、中国のBYDは自動運転機能を無料提供する方針を打ち出しており、テスラが優位を保てるかは不透明である。

さらに、テスラのAI戦略の一環として開発が進められているのが人型ロボット「オプティマス」である。マスクはこれを次世代の成長ドライバーと位置付けているが、商業化には時間を要すると見られている。

短期的に見れば、テスラの株価は一時的な反発を示す可能性がある。しかし、長期的な成長を実現するには、EV市場の変化に適応し、AIと自動運転技術で競争力を維持できるかが鍵となる。現在の価格競争が続く中で、テスラがどのように事業戦略を展開するかが今後の焦点となる。

Source: Barchart.com