Sonosが開発を進めていたAndroidベースのストリーミングデバイス「Pinewood」のプロジェクトが正式に中止された。このデバイスは、Apple TV 4KやGoogle TVストリーマーと競合することを目的に設計され、Wi-Fi 7対応やユニバーサル検索機能を備え、200~400ドルの価格帯で2025年1月に発売予定だった。
しかし、2025年初頭から続くSonosの組織改革により、CEOや幹部の辞任、大規模なレイオフが相次ぐ中、経営戦略の見直しが行われ、開発中止が決定。すでにベータテストを実施する段階まで進んでいたが、開発チームは他のプロジェクトへと再配置されるという。
この決定により、Sonosは2025年に新たな主力製品を投入しない可能性が高くなった。また、以前から噂されていたプレミアムヘッドフォンの正式な発表も依然としてない状況が続いている。
Sonosのストリーミングデバイス開発中止の背景 何が起こったのか

Sonosは、Androidベースのストリーミングデバイス「Pinewood」の開発を進めていた。この製品は、Apple TV 4KやGoogle TVストリーマーと競合することを目的に設計され、Wi-Fi 7対応、ユニバーサル検索機能、イーサネットポートを備えるなど、高機能な仕様が特徴だった。価格は200~400ドルの範囲で、2025年1月の発売を予定していた。
しかし、2025年初頭に発生した一連の経営改革により、このデバイスの開発が突如として中止された。CEOのパトリック・スペンス氏の辞任に続き、最高商務責任者(CCO)のディアドラ・フィンドリー氏や最高マーケティング責任者(CMO)のジョーダン・サクセマード氏が退任。さらに、2月には200人以上の従業員が解雇されるなど、大規模なレイオフが実施された。
このような状況の中で、Sonosの新経営陣は事業の優先順位を見直し、開発コストがかかる新製品の投入を見送る判断を下したとみられる。すでにベータテスト段階に進んでいたにもかかわらず、開発が中止されたことは、多くのユーザーや関係者にとって驚きの決定となった。
Sonosがストリーミング市場に参入する意義とは
Sonosは、これまで主に高品質なオーディオ機器を手掛けてきたが、ストリーミングデバイス市場への参入は新たな挑戦となるはずだった。このデバイスは、Sonosの独自技術を活かしながら、複数のプラットフォームのコンテンツを統合し、一つのインターフェースで快適に操作できるよう設計されていた。これにより、スマートホームの中核としてSonos製品を利用するユーザーの体験向上が期待されていた。
また、Apple TVやGoogle TVといった既存のストリーミングデバイスは、各プラットフォームに依存する要素が強い。一方で、Sonosのデバイスはよりオープンな構造を採用し、多様なコンテンツを自由に選択できる点が強みとなる可能性があった。特に、音響技術に定評のあるSonosが手掛けるデバイスであることから、高音質なストリーミング体験が期待されていた。
しかし、今回の開発中止により、Sonosがストリーミングデバイス市場に参入する計画は白紙に戻った。今後、同様のプロジェクトが再び進められるのかは不透明な状況だが、ユーザーの期待が高まっていただけに、この決定には落胆の声も少なくない。
Sonosの今後の展開とユーザーへの影響
今回の開発中止により、Sonosは2025年に新たな主力製品を投入しない可能性が高くなった。もともと予定されていたストリーミングデバイスがなくなったことで、ユーザーが期待する次の大きな発表は、新しいプレミアムヘッドフォン「Ace」シリーズの正式発表に移ることになるだろう。しかし、こちらについても具体的な発表はまだなく、製品戦略の方向性は依然として不透明だ。
また、大規模なレイオフや幹部の交代は、企業文化や開発体制にも影響を及ぼす可能性がある。特に、製品開発の遅延や既存のラインナップの刷新が滞ることは、長期的に見てもユーザーの選択肢を狭めることになりかねない。Sonosはこれまで、プレミアムなオーディオ製品の提供を軸に成長を続けてきたが、ストリーミングデバイスの開発中止は、ブランドの方向性にも影響を及ぼす可能性がある。
ユーザーにとっては、Sonosのスマートホーム・オーディオエコシステムが進化する機会が失われたとも言える。特に、AppleやGoogleと競合する中で、Sonosがどのように差別化を図るのかが今後の焦点となるだろう。次の戦略的な一手がどのような形で示されるのか、引き続き注目が集まる。
Source:NotebookCheck