フィンテック大手SoFi(SOFI)の株価が急落している。過去1か月間で24.1%の下落を記録し、52週間の最高値から約36%も値を下げた。背景には、経済の不確実性やバリュエーション(企業価値評価)に対する懸念があるが、過去の割高感は一定程度解消されつつある。

一方、同社の事業成長は依然として堅調で、2024年第4四半期には会員数が前年同期比34%増の1,000万人を突破。金融サービスの拡充や手数料ベースの収益モデルへの移行により、安定した収益基盤を築いている。2025年には調整後純収益が最大32.75億ドル、EBITDAは8.65億ドルに達すると予測され、2026年以降も年20〜25%の成長が見込まれる。

現在のバリュエーションは、伝統的な銀行と比べると依然として高いが、他のフィンテック企業と比較すれば割安な水準にある。ウォール街のアナリストは「ホールド(中立)」評価を維持しつつ、目標株価を現在より20%高い14.20ドルと見積もっている。この下落局面は、長期的な成長を期待する投資家にとって魅力的な買い場となるのか、注目が集まる。


SoFi株の急落の背景と市場の反応

SoFiの株価は過去1か月で24.1%下落し、52週間の最高値から36%の下落を記録した。市場はこの急落の要因として、バリュエーションに対する懸念と経済の不確実性を挙げている。2024年の利下げはSoFiにとって追い風となったが、成長企業であるがゆえに市場の評価が変動しやすい側面がある。

SoFiの評価指標を見ると、予想株価収益率(P/Eレシオ)は43.1倍、株価純資産倍率(P/Bレシオ)は1.88倍と、伝統的な銀行と比較すると依然として高水準にある。しかし、フィンテック企業全体で見れば割安な水準とされている。例えば、同業のAffirm(AFRM)はP/Bレシオ5.26倍、Upstart(UPST)は6.83倍と、SoFiを大きく上回る水準にある。

市場の評価が揺れる中、SoFiの成長性をどう捉えるかが投資家の判断を左右する。ウォール街のアナリストの評価は「ホールド(中立)」にとどまるものの、目標株価は14.20ドルと現在の水準から約20%の上昇余地がある。短期的には不安定な局面が続くが、長期的な視点では依然として成長期待の高い企業であることに変わりはない。

事業成長の継続と利益構造の変化

SoFiは2024年第4四半期において、前年同期比34%増の1,000万人超の会員数を記録した。さらに、Q4だけで110万件の新規金融商品を追加し、総数は1,470万件以上に達した。この成長は、同社が単なる融資プラットフォームから包括的な金融サービス企業へと変貌を遂げていることを示している。

特筆すべきは、SoFiが手数料ベースの収益モデルへの移行を進めている点だ。2024年第4四半期の調整後純収益のうち、金融サービス部門とテクノロジープラットフォーム部門の割合は49%に達し、前年の40%から増加した。従来の貸付依存型ビジネスモデルからの脱却が進んでおり、安定的な収益確保と信用リスクの低減が期待される。

また、2022年の銀行業ライセンス取得以降、SoFiの預金残高は260億ドルに拡大している。その多くは直接入金の顧客によるもので、低コストでの資金調達が可能となった。これにより、競争力のある貸出金利を維持しながら、健全な利益率を確保する戦略が可能となっている。今後も、融資だけに依存しない多角的な収益構造が同社の成長を支える鍵となるだろう。

SoFi株は買い時か 成長性とリスクを再考

現在の株価水準を考慮すると、SoFiは一定の割安感が出てきている。過去のバリュエーションに対する懸念は下落によりある程度解消されており、成長企業としてのポテンシャルを踏まえれば、今後のリバウンドを期待する声もある。しかし、短期的なリスクが残る点は無視できない。

2025年の業績予想では、会員数が前年比28%増の280万人増、調整後純収益は最大32.75億ドル(前年比23〜26%増)を見込んでいる。さらに、EBITDAは8.45億〜8.65億ドルと成長を継続する見通しだ。2026年以降も収益の年平均成長率(CAGR)は20〜25%とされ、EPS(1株当たり利益)は0.55〜0.80ドルの範囲と予想されている。

この成長性を評価するかどうかは、投資家のリスク許容度に左右される。短期的には市場全体の変動要因に左右される可能性があるが、長期投資の視点で見れば、現在の株価水準は魅力的なエントリーポイントとなるかもしれない。

Source: Barchart