Windowsの最新アップデート「K5050092」がUSB接続プリンターに深刻な影響を与えている。このバグにより、正常な印刷ができず、ランダムな文字列や技術的なヘッダー情報が出力される事例が相次いで報告された。

特にUSB PrintとIPP Over USBを併用するデュアルモードプリンターに影響が及び、Windows 11やWindows 10の最新バージョンで不具合が発生している。Microsoftは一時的な対策として「既知の問題ロールバック(KIR)」を提供し、グループポリシーを利用することで問題の修正が可能とした。

しかし、この方法は一般ユーザーにとっては敷居が高く、簡単に適用できるものではない。さらに、一部のユーザーからは無線接続のプリンターにも類似の問題が発生しているとの報告があり、影響範囲の拡大が懸念される。Microsoftは現在、正式な修正を準備中であり、今後のWindowsアップデートで対応する方針を示している。

Windowsアップデート「K5050092」が引き起こしたプリンター不具合の詳細

Microsoftが2025年1月29日にリリースしたWindows 11およびWindows 10向けのアップデート「K5050092」によって、USB接続のデュアルモードプリンターに深刻な不具合が発生している。影響を受けるプリンターでは、通常の印刷データではなく、ランダムな文字列や「POST /ipp/print HTTP/1.1」などの技術的なヘッダー情報が出力される事例が確認された。

特に、USB PrintとIPP Over USBの両方のプロトコルを使用するモデルにおいて、このバグの影響が顕著に表れている。この問題が発生するのは、プリンターの電源を入れた直後や、Windows PCとの接続を確立したタイミングが多いとされる。

影響を受けるOSは「Windows 11 バージョン23H2」「Windows 11 バージョン22H2」「Windows 10 バージョン22H2」であり、これらのバージョンを利用するユーザーは、意図しない印刷結果に直面する可能性がある。Microsoftはこの問題を正式に認め、Windows Health Dashboardを通じてユーザーに注意を促している。

なお、一部のユーザーからは無線接続のプリンターでも同様の問題が発生しているとの報告が上がっている。特に、HP製プリンターを使用するケースで、ワイヤレス印刷時にも文字化けが発生した事例が確認された。HPのサポートチームは、この問題がプリンター側の不具合ではなく、Windows PCのバグによるものであることを明言している。

Microsoftが提示した「既知の問題ロールバック(KIR)」とは

Microsoftは、この不具合に対する緊急の対策として「既知の問題ロールバック(KIR)」を提供している。KIRは、影響を受けたシステムを問題発生前の状態に戻すための手法であり、企業向けの管理環境では比較的容易に適用できる。しかし、KIRの適用には「グループポリシー」の設定が必要であり、一般のユーザーにとっては容易な作業ではない。

グループポリシーを用いたKIRの適用は、IT管理者が企業内のWindows端末を統一的に管理する際に有用な手段である。一方、個人ユーザーが同じ手順を踏むには、レジストリの変更や管理者権限を持つ設定の変更が必要となるため、誤った操作によるトラブルのリスクも伴う。

Microsoftは、最終的な修正が適用されるまでの一時的な回避策としてKIRを推奨しているものの、すべてのユーザーが簡単に対応できる手段とは言えない。また、KIRは根本的な修正ではなく、あくまで影響を受けた機能の動作を元に戻すものである。そのため、今後のWindowsアップデートによって別のバグが発生する可能性も排除できない。

Microsoftは現在、正式な修正プログラムの開発を進めており、近日中に配信予定であると発表している。しかし、これまでもWindowsアップデートによる不具合は繰り返し発生しており、修正の信頼性や安定性について慎重な見極めが求められる。

繰り返されるWindowsアップデートの不具合とその影響

今回のプリンター不具合に限らず、Windowsのアップデートによるトラブルは過去にも頻繁に発生している。直近では、2023年のWindows 11アップデートにおいて、スタートメニューが正常に開かなくなるバグが報告されたほか、2022年にはネットワークドライブのマウントが失敗する問題が確認された。

こうした不具合の多くは、特定の環境でのみ発生するため、Microsoftが初期段階で検出できないケースが多い。今回のプリンター問題も、USB接続のデュアルモード機器に限定的な影響を及ぼしていることから、リリース前のテスト環境では問題が検出されなかった可能性がある。

Microsoftは、正式な修正パッチの配信を予定しているが、それまでの間、影響を受けたユーザーは印刷のたびに不具合に悩まされることになる。特にビジネス環境では、重要な書類の印刷が滞ることが業務の遅延につながるため、この問題の早期解決が求められている。

一方で、Windowsのアップデートはセキュリティ強化の観点からも重要であり、ユーザーが適用を避けることは推奨されない。Microsoftとしても、不具合の発生を抑えるためのテスト環境を強化しつつ、迅速な修正対応を行うことが求められる。今後のWindowsアップデートでは、品質管理の徹底が一層重要な課題となるだろう。

Source:XDA