Microsoftは、Windows 11のCanaryチャンネル向けに最新のプレビュー版「Build 27813」をリリースした。本ビルドでは、新機能の追加はないものの、オーディオおよび設定関連の不具合が修正され、全体的な安定性が向上している。

主な変更点として、MIDI関連の不具合を引き起こしていたWDMAudシステムドライバーの問題が解消され、一部のアプリがクラッシュする事象が修正された。また、カラーマネジメント設定で正しいカラープロファイルが表示されない不具合も修正された。

さらに、Cortanaが利用していた「位置履歴」機能が削除され、プライバシー設定からも関連項目が消去された。一方、既知の問題として、Canaryチャンネルへ移行した際にWindows HelloのPIN認証が利用できなくなる不具合が発生する可能性があり、エラーコード「0xd0000225」が表示される事例も報告されている。

加えて、ビルド27802以降、一部のアプリが起動しない「d3d9.dll」のクラッシュ問題も引き続き修正作業中だ。Microsoftは今後も改善を進め、さらなる安定性向上を図る見込みである。

Windows 11 Build 27813の詳細 位置履歴の削除とオーディオ修正がもたらす影響

Windows 11のCanary Build 27813では、オーディオ関連の修正とともに、位置履歴機能が削除された。従来、Cortanaを通じてデバイスの24時間分の位置履歴にアクセスできたが、この機能が廃止されたことで、プライバシー設定の「位置情報」ページからも関連する項目が消去された。これにより、Windows 11は位置情報の管理方法を見直し、よりシンプルな設計へと移行した。

一方で、オーディオ面では、最近のMIDI関連の変更によって発生していたWDMAudシステムドライバーの不具合が修正された。この不具合により、一部のアプリがクラッシュする問題が報告されていたが、今回のアップデートにより安定性が向上している。

また、ディスプレイのカラーマネジメント機能に関しても、選択したモニターでカラープロファイルが正しく表示されない問題が解決された。今回のアップデートは、新機能の追加こそないものの、システムの安定性とプライバシー管理の強化を目的としたものである。

特に位置履歴機能の削除は、ユーザーの個人情報保護をより重視したMicrosoftの方針の表れとも言える。これにより、今後のWindows 11のプライバシーポリシーに変化が生じる可能性がある。

Windows Helloの認証問題やd3d9.dllクラッシュ 既知の不具合と対処策

Build 27813では複数の不具合が修正されたものの、依然としていくつかの問題が報告されている。そのひとつが、Windows Helloの認証問題である。特に、DevチャンネルやリリースプレビューチャンネルからCanaryチャンネルへ移行した場合、PIN認証や生体認証によるログインができなくなる可能性がある。

この問題が発生すると、エラーコード「0xd0000225」が表示され、「PINが利用できません」というメッセージが出ることがある。Microsoftはこの問題の一時的な対処法として、「PINの設定」オプションをクリックすることで新しいPINの作成を試みるよう案内している。

しかし、この方法が必ずしも成功するわけではなく、一部のユーザーは依然としてログイン不可の状態が続いているという報告もある。この問題が解決しない限り、Canaryチャンネルへの移行には慎重な判断が求められる。

また、ビルド27802以降に発生している「d3d9.dll」のクラッシュ問題も継続している。この問題により、複数のアプリが起動できなくなる不具合が発生しており、Microsoftは現在修正作業を進めている。影響を受けるユーザーは、回避策として古いビルドへロールバックするか、特定のアプリを一時的に利用しないといった対応が必要となる。

こうした既知の不具合に関しては、今後のアップデートでの早急な修正が求められる。

Source:Neowin