Googleが今年初めに配信したPixel 4a向けの必須ファームウェアアップデートが、デバイスのバッテリー性能を著しく低下させたとする報告が相次いでいた。ユーザーの間ではその目的に疑問の声が上がっていたが、オーストラリアの消費者保護機関が新たな事実を明らかにした。
同国の競争・消費者委員会(ACCC)は、2020年から2022年に販売されたPixel 4aが過熱による火災や火傷のリスクを抱えていたことを指摘し、リコールを発表した。一方、Googleのアップデートが一部のデバイスに過度な制限を課し、事実上の機能低下をもたらした可能性も指摘されている。
また、バッテリーの充電容量制限や急速な電池消耗といった問題が発生しており、一部のユーザーからは「実質的に使用不能になった」との声も上がる。Googleは影響を受けた端末に限定的な補償を提供しているが、その対応の妥当性については依然として議論が続いている。
Pixel 4aの強制アップデートとバッテリー問題 何が起こったのか

Googleが配信したPixel 4aのファームウェアアップデートが、一部のユーザーにとって深刻な問題を引き起こしている。バッテリー寿命の低下や急速な充電能力の喪失に加え、端末のパフォーマンス低下を訴える声が後を絶たない。特にオーストラリアでは、アップデートを適用したことで一部のデバイスがほぼ使用不能になったとの報告もある。
Googleは当初、このアップデートがバッテリー管理の最適化を目的としていると説明していた。しかし、その背景には「バッテリーパフォーマンスプログラム」と呼ばれる新たな措置が関係していたことが判明している。Googleは影響を受ける可能性のある端末を特定し、バッテリー性能を制御するための措置を講じたとされるが、結果として一部のユーザーに大きな不利益をもたらした。
オーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)は、このアップデートが単なる最適化ではなく、より深刻な問題への対応だったと指摘している。同委員会は、一部のPixel 4aデバイスに過熱リスクが存在し、それが発火や火傷の原因となる可能性があると発表した。これにより、Googleがこの問題を未然に防ぐために、強制的にアップデートを適用させたのではないかとの見方が浮上している。
過熱リスクとリコール対応 影響を受けるユーザーの範囲
ACCCは2020年から2022年にオーストラリアで販売されたPixel 4aが、過熱による安全上のリスクを抱えていたことを明らかにし、リコールを発表した。これにより、対象のデバイスはGoogleのプログラムに従い交換または下取りの対象となる。しかし、すべてのPixel 4aがリコールの対象ではなく、特定のバッテリーを搭載したモデルに問題が集中している可能性が指摘されている。
専門家の分析によると、Pixel 4aにはATLとLSNという2種類のバッテリーが使用されており、特にLSN製のバッテリーにおいて過熱のリスクが高まる傾向があるという。Googleのアップデートでは、このLSNバッテリーを搭載したデバイスに対して充電制限が課された可能性がある。この措置により、過熱リスクを抑えつつ端末の安全性を確保しようとしたと考えられるが、結果としてユーザーの利便性が大きく損なわれた。
リコールの対象となったユーザーには、Googleによる補償が提供されているが、その内容は限定的である。交換ではなく、主に下取りによる対応が中心となっており、新しいPixel端末を割引価格で購入できるという仕組みになっている。しかし、完全に使えなくなったデバイスを下取りに出すことを強いられる形となるため、一部のユーザーからは「十分な補償とは言えない」との批判も上がっている。
Googleの対応とユーザーの不満 透明性の欠如が引き起こした混乱
Googleはこの過熱問題について、リコール発表前には明確な説明を行っておらず、ファームウェアアップデートの目的についても詳しい情報を提供してこなかった。これにより、一部のユーザーはアップデートが意図的な性能制限であり、Pixel 4aの旧型化を促進するためのものではないかと疑念を抱いていた。
オーストラリア当局のリコール発表後、Googleはこの問題について初めて言及し、影響を受けるデバイスの安全対策の一環だったと説明した。しかし、この対応の遅れにより、多くのユーザーはすでにバッテリー性能の低下や端末の使用不能に直面しており、不信感を募らせる結果となった。
また、アップデート後にデバイスが著しく劣化したにもかかわらず、Googleの補償プログラムは下取りによる割引提供が中心であり、完全な交換対応は行われていない。この点についても「強制的なアップデートでデバイスを制限したにもかかわらず、十分な救済措置がない」との批判が上がっている。
今回の事態は、メーカーがソフトウェアアップデートを通じてデバイスの機能を制限する可能性を示した一例とも言える。特に、旧モデルのスマートフォンを長期間使用し続けるユーザーにとっては、今後のアップデートによる影響を注意深く見極める必要があるかもしれない。
Source:TechSpot