フィンテック企業SoFiの株価が過去1か月で24.1%下落し、52週間の高値から約36%の下落幅となっている。利下げ期待による急騰後の反動に加え、企業評価の見直しや経済の不透明感が影響したとみられる。

この下落により、これまで指摘されてきた過大評価の問題が緩和され、現在の株価が投資妙味を持つかどうかが市場で議論されている。同社は会員数の急増や手数料ビジネスの成長を背景に2025年以降も年平均20%以上の成長を目指す。

株価収益率(P/E)は43.1倍と伝統的な銀行より割高だが、フィンテック業界内では相対的に割安とされる。ウォール街の目標株価は現水準より20%高く設定されており、短期の調整局面が中長期の好機となる可能性がある。

SoFiの急成長と直面する市場の評価見直し

SoFiは近年、フィンテック業界の中でも急成長を遂げてきた。同社の会員数は2023年第4四半期時点で1,000万人を突破し、前年比34%の増加を記録。加えて、同四半期中に110万件の新規金融商品を追加し、総商品数は1,470万件以上に達した。これにより、SoFiの金融プラットフォームの利用が急拡大していることが明らかとなった。

同社の成長を支えているのが、伝統的な貸付業務から「手数料ベースの収益モデル」へのシフトである。2023年第4四半期には「金融サービス」と「テクノロジープラットフォーム」部門の調整後純収益が全体の49%を占め、前年の40%から大幅に増加した。これにより、貸付依存から脱却し、安定した収益構造への転換が進んでいることがわかる。

一方で、こうした成長にもかかわらず、市場の評価は変動が大きい。株価は利下げ期待の高まりを背景に2024年初頭に急騰したが、その後1か月間で24.1%の下落を記録。市場はSoFiの成長性を認識しつつも、依然として同社の評価額に対して慎重な姿勢を見せている。

低コスト資金調達と今後の成長戦略

SoFiの成長を後押しする重要な要素の一つが、銀行ライセンスを取得したことによる預金基盤の強化である。現在、同社の預金総額は260億ドルに達しており、その多くが給与の直接振込を利用する顧客によるものだ。この安定した預金基盤により、SoFiは低コストでの資金調達が可能となり、競争力のある貸出金利を維持することができる。

この安定的な資金調達に支えられ、SoFiは2025年に向けて280万人の新規会員獲得を見込んでいる。これにより前年比28%の成長を目指し、調整後純収益は32億〜32.75億ドルに達する見通しだ。また、調整後EBITDAは8億4500万〜8億6500万ドルと予想され、同社の収益基盤のさらなる強化が期待されている。

一方で、成長率を維持するためには、フィンテック市場の競争激化に対する対応が求められる。既存の金融機関もデジタル戦略を加速させており、SoFiの優位性を維持するには、新たな金融商品やサービスの開発が鍵となる。市場の評価が変動する中で、どこまで継続的な成長を実現できるかが注目される。

SoFi株は割安か 競争環境と市場の見方

SoFiの現在の株価は、予想株価収益率(P/E)が43.1倍、株価純資産倍率(P/B)が1.88倍で推移している。伝統的な銀行と比較すると依然として割高な水準だが、フィンテック企業の中では相対的に割安といえる。例えば、同業のAffirmはP/Bレシオが5.26倍、Upstartは6.83倍と、SoFiよりも高いバリュエーションがついている。

これを踏まえると、SoFiの成長余地を考慮した場合、現在の株価は投資妙味を持つ可能性がある。ウォール街のアナリストのコンセンサス評価は「ホールド(中立)」だが、目標株価は14.20ドルに設定されており、現水準から約20%の上昇余地があるとの見方が示されている。

しかし、フィンテック市場は規制の影響を受けやすく、特に金利環境の変化や政府の金融政策が企業業績に大きく影響を与える。SoFiの成長シナリオが順調に進むかどうかは、外部環境の動向に左右される可能性がある。投資家にとっては、同社の成長戦略と市場環境を慎重に見極めることが求められる局面といえる。

Source: Barchart