Epic Gamesは、人気バトルロイヤルゲーム「Fortnite」をArmベースのWindows PC向けに最適化すると発表した。Qualcommと協力し、Windows on Snapdragonをサポートするほか、Epic Online Servicesのアンチチート機能「Easy Anti-Cheat」にも対応する予定だ。
MicrosoftはWindows 11を軸にArmアーキテクチャへの移行を推進しており、特にCopilot+ PCの開発に注力している。この流れに合わせ、EpicもFortniteをArm環境で動作可能にすることで、対応ハードの拡大を図る。これまでSnapdragonチップは多くのゲームを動作させられるとされていたが、カーネルレベルのアンチチート技術を持つタイトルでは互換性に課題があった。
Epicは具体的なリリース時期を「今年後半」としているが、この対応によってArm版Windowsへの移行が加速し、今後のゲーム市場にも影響を与える可能性がある。
FortniteがArm版Windowsで動作へ その背景と技術的な課題

Epic Gamesは、FortniteをArmベースのWindowsマシンに対応させると発表した。これはMicrosoftが推進するArmアーキテクチャへの移行を見据えた動きであり、特にQualcommのSnapdragonチップを搭載したWindows on Snapdragon環境での動作が可能になる。Epicは、Easy Anti-Cheatをサポートすることで、不正行為を防ぎつつ、快適なプレイ環境を提供するとしている。
Arm版Windowsの普及は、Microsoftが力を入れるCopilot+ PC戦略と密接に関係している。Armチップは高い電力効率を誇り、バッテリー駆動時間の延長や発熱の抑制といった利点がある。しかし、x86ベースのソフトウェア資産との互換性が課題とされ、特にゲームの動作保証が十分ではなかった。
Fortniteの対応は、Arm版Windowsのゲーム環境を大きく前進させる可能性がある。しかし、Arm環境向けの最適化には時間を要し、互換性問題が完全に解決するとは言い切れない。Epicがどこまでパフォーマンスを引き上げられるかが、今後の鍵となるだろう。
Arm版Windowsのゲーム環境が抱える課題と今後の展開
Snapdragon搭載のWindows PCは、MicrosoftのネイティブArm対応戦略の一環として開発が進められてきたが、従来のx86アプリとの互換性は完全ではない。特に、ゲームにおいてはパフォーマンスの最適化が課題であり、従来のPC向けゲームがそのまま動作するわけではない。カーネルレベルで動作するアンチチート技術を搭載するゲームでは、動作不具合の可能性も指摘されていた。
Epic Gamesの対応は、こうした問題の解決に向けた一歩といえる。Easy Anti-Cheatの対応によって、セキュリティを維持しながらプレイできる環境が整備される。加えて、Fortniteのような人気タイトルが動作することで、開発者側もArmアーキテクチャへの対応を進めやすくなるだろう。
ただし、すべてのPCゲームがスムーズに移行できるわけではない。特にハイエンドなグラフィック処理を要するタイトルでは、現状のArmベースチップの性能が十分とはいえず、最適化が必要となる。今後、Arm版Windowsのゲーム環境がどこまで整備されるかが、ゲーミングPC市場の動向にも影響を与える可能性がある。
Epicの動きが示す今後のゲーム市場の変化
Epic Gamesの決定は、Armアーキテクチャが本格的にPC市場に浸透する兆しともいえる。MicrosoftはWindows 11を基盤に、Copilot+ PCなどの新世代デバイスを推進しており、従来のx86からArmへの移行を加速させようとしている。今回のFortnite対応は、こうした流れの中で、ゲーム業界の変化を象徴する動きとなる。
現在、PCゲームの多くはx86ベースのアーキテクチャ向けに設計されており、Arm向けタイトルはまだ少ない。Epicの取り組みが成功すれば、他のゲーム開発会社もArm環境への最適化を進める可能性がある。特にクラウドゲーミングやモバイルゲーミングとの親和性が高まることで、PCゲームの形態自体が変化するかもしれない。
しかし、Armアーキテクチャが即座に主流となるわけではない。ハードウェアの性能向上やソフトウェアの最適化が進まなければ、x86ベースのゲーミングPCが依然として主流であり続けるだろう。それでも、今回のFortnite対応は、長期的なゲーム市場の変革に向けた大きな一歩といえる。
Source:Engadget