Microsoftは、Windows 10 バージョン22H2向けの最新アップデート「Build 19045.5674 (KB5053643)」をRelease Previewチャネルに提供開始した。今回のアップデートでは、中国語・日本語・韓国語対応の「Noto CJKフォント」が追加され、フォント環境が強化されたほか、エクスプローラーでサムネイルが正しく表示されない問題も修正された。
Noto CJKフォントの追加で多言語対応が強化

Windows 10 Build 19045.5674では、新たに「Noto CJKフォント」が追加された。これはGoogleが開発した多言語対応フォントであり、中国語(簡体字・繁体字)、日本語、韓国語をサポートする。これにより、異なる言語間での文字の統一感が向上し、より自然な表示が可能となった。特に、日本語ユーザーにとっては、明朝体やゴシック体などの既存フォントとは異なるスタイルが選択肢に加わる点が注目される。
従来のWindows標準フォントでは、一部のCJK文字において異なるデザインが混在し、視認性や統一感に影響を与えることがあった。Noto CJKフォントの導入によって、文書作成やWeb閲覧の際に、異なる言語間でのフォントのばらつきが軽減される。特に、多言語を扱う開発者やデザイナーにとって、この変更は作業効率の向上につながるだろう。
このアップデートにより、今後のWindows 10環境ではフォントの視認性が改善されるだけでなく、グローバル化が進むデジタル環境において、より適応しやすいフォント環境が整備される。ユーザーの用途によっては、新たなデザインの可能性を見出すきっかけになるかもしれない。
エクスプローラーのサムネイル問題を解決し快適な操作性を実現
今回のWindows 10 Build 19045.5674では、エクスプローラーにおけるサムネイルの不具合が修正された。特定の環境下では、サムネイルが正しく生成されず、白いページが表示される問題が発生していた。これにより、ファイルの視認性が低下し、特に画像や動画を多く扱うユーザーにとって大きな影響を与えていた。
サムネイルの不具合は、Windowsのキャッシュ管理や画像処理システムとの連携によって発生するケースが多い。これまでのバージョンでは、手動でサムネイルキャッシュを削除する方法が推奨されることもあったが、今回のアップデートでシステム側の対応が施されたことで、こうした手間が不要になった可能性が高い。
エクスプローラーはWindowsの基本的なファイル管理ツールであり、サムネイル機能は視覚的にファイルを識別するうえで重要な役割を果たす。今回の修正により、特にクリエイターやビジネス用途で画像やPDFなどを頻繁に扱うユーザーにとって、より快適な作業環境が提供されることになるだろう。
一時ファイルの保存先変更でセキュリティを強化
Windows 10 Build 19045.5674では、一時ファイルの保存先が「C:\Windows\SystemTemp」に変更された。従来、一時ファイルはさまざまなディレクトリに分散して保存されることがあり、セキュリティ面や管理面での課題が指摘されていた。今回の変更により、一時ファイルの管理が一元化され、システムの安定性向上にも寄与する可能性がある。
このアップデートでは、「GetTempPath2 API」や「.NETのGetTempPath API」を使用することで、より安全なディレクトリに一時ファイルを保存できるようになった。これにより、不要なファイルの管理が容易になるだけでなく、不正アクセスやデータ改ざんのリスクが軽減される。特に、機密情報を含むファイルを扱う環境では、セキュリティの向上が期待される。
一時ファイルはシステムの動作に不可欠な要素であり、適切な管理が求められる。今回のアップデートは、ユーザーが意識せずとも安全な環境が維持されるよう配慮された変更といえる。長期的に見れば、パフォーマンスの最適化やストレージの管理改善にもつながる可能性があるだろう。
Source:Windows Insider Blog