Windows 11向けの最新アップデート「KB5053598」がリリースされたが、多くのユーザーから深刻な不具合が報告されている。インストールが失敗するケースが相次ぎ、一部ではPCがクラッシュしブルースクリーン(BSOD)に至る例も確認されている。また、適用後にリモートデスクトップ(RDP)の接続が数分で切断される問題も発生しており、影響は広範囲に及んでいる。

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特に、特定のハードウェア環境ではインストールが完了せず、エラーコード0x800f0993などが表示される事例が多数報告されている。一部のユーザーは、インストールの途中でループ状態に陥り、更新を完了できない状況に直面している。さらに、RDPセッションの強制切断やPCの起動不能といった問題が発生し、実用面での支障も深刻だ。

KB5053598のインストール失敗と影響範囲

Windows 11 24H2向けの更新プログラムKB5053598は、2025年3月のパッチチューズデーに提供されたが、多くのユーザーがインストールに失敗し、エラーコードが表示される問題に直面している。特に報告が多いのは、0x800f0993、0x800F081F、0x80070032、0xC004F211といったエラーであり、インストールの進行状況が一定の割合で止まり、最終的に更新がロールバックされるケースも発生している。

また、Windows Latestの検証では、インストールが6%、20%、38%の段階で停止する現象が確認された。一部のユーザーは、インストール中にPCが再起動を繰り返し、98%や99%の進行度で再びエラーが発生する事態に陥っている。このようなループ状態になると、更新の適用が困難となり、最終的に「何か問題が発生しました – 心配しないでください、アンインストールしています」というメッセージが表示されるケースが多い。

特定のハードウェア環境で不具合が発生しやすいことも明らかになっている。例えば、Asus ROG Maximus Formula Z790のマザーボードを使用するPCや、Intel 14900Kを搭載したシステムでは、KB5053598の適用後に異常動作が発生する報告がある。特に、NVMe SSDをシステムドライブとして使用する構成では、更新が適用できずにWindows Updateが繰り返し同じ更新を要求する事例が確認されている。

更新の影響を受けたユーザーは、SFC /Scannowの実行やWindows Update関連サービスの確認を行っても問題が解決しないことが多く、根本的な対策が求められている。

RDP接続の問題と回避策

KB5053598を適用した後、多くのユーザーがリモートデスクトッププロトコル(RDP)の接続が数分で切断される問題を経験している。RDPは遠隔地からPCを操作するための重要な機能であり、特に企業環境で頻繁に利用されているが、今回の更新によってその安定性が大きく損なわれている。

主な症状としては、RDPの接続時に「接続を試みています」というメッセージが表示された後、数秒で切断されるケースや、4分から10分おきにセッションが勝手に終了する現象が報告されている。これにより、テレワーク環境やリモート作業が困難になる問題が発生し、ユーザーの生産性に影響を与えている。

回避策として、まず推奨されるのはKB5053598のアンインストールである。しかし、更新を削除したくない場合には、グループポリシーエディターやレジストリエディターを使用した設定変更が有効とされている。グループポリシーエディターを利用する場合、「クライアントのUDPを無効にする」設定を有効にすることで、RDPの安定性が向上する可能性がある。また、レジストリエディターを使用する方法としては、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows NT\Terminal Services\Clientのキー内に「fClientDisableUDP」というDWORD値を作成し、値を1に設定することで問題が改善することがある。

ただし、これらの方法がすべての環境で有効であるとは限らず、問題の根本的な修正にはMicrosoftの対応が求められる。ユーザーとしては、今後の公式アップデートに注意を払いながら、影響を最小限に抑えるための対策を講じる必要がある。

BSODと起動不能の問題が発生

KB5053598の適用後、一部のユーザーはPCがブルースクリーン(BSOD)を伴うクラッシュを起こし、最悪の場合、起動不能に陥るケースが報告されている。特に「Critical Process Died」や「Kernel Power Failure」などのエラーメッセージが表示される事例が多く、PCの安定性に深刻な影響を及ぼしている。

一部のユーザーは、アップデート適用後にPCの電源が入っても画面に何も表示されず、BIOSすら起動しない状況に陥っている。また、別の報告では、BIOS画面で「起動可能なデバイスが見つかりません」と表示され、SSDが認識されなくなる事例も確認されている。これは、アップデートがストレージ関連の処理に影響を与えている可能性を示唆しており、特にNVMe SSDを使用しているシステムで発生しやすいと考えられている。

この問題の対処法としては、まずセーフモードでの起動を試みることが挙げられる。しかし、BIOSすら表示されない場合、CMOSクリア(マザーボードのリセット)やストレージの物理的な抜き差しといった手順が必要になることもある。加えて、一部のユーザーはKB5053598を適用後にシステムのリカバリを試みたが、復元ポイントが利用できない状況に陥るケースも報告されている。

このような状況では、最終的にWindowsのクリーンインストールを余儀なくされる可能性があり、影響を受けるユーザーにとっては大きな負担となる。KB5053598の適用に慎重になるべきであり、不具合を避けるために、更新を延期するという選択肢も検討すべきである。

Source:NISTWindows LatestPC World