NVIDIAの最新GPU「RTX 5070 Founders Edition」のレビューとベンチマーク結果が公開され、その性能がNVIDIAの公式発表とは大きく異なることが判明した。同社はAIによるマルチフレーム生成(MFG)を活用すれば、RTX 4090と同等の性能を発揮すると主張していたが、実際のテストでは大幅に劣る結果となった。

特に、遅延(レイテンシ)問題が深刻で、MFGを使用したRTX 5070の遅延は200ms以上に達し、一方でRTX 4090はフレーム生成なしでも26msという低遅延を記録。また、RTX 5070はVRAM容量が12GBに制限されており、24GBのRTX 4090と同等のパフォーマンスを発揮することは不可能であることが明らかになった。

ベンチマーク結果では、RTX 5070は競合製品や前世代モデルと比較しても大幅な優位性はなく、価格(MSRP $550)を考慮するとコストパフォーマンスの面でも疑問が残る。こうした誇張されたマーケティング手法に対し、専門家やユーザーから批判の声が相次いでいる。


RTX 5070のスペックと実際の性能 公式発表との乖離

NVIDIAはRTX 5070を「高性能な次世代GPU」として市場に投入したが、その実態は発表内容と大きく異なっている。同GPUは、6144基のCUDAコア、192ビットバス、12GBのGDDR7メモリを搭載し、ブーストクロックは2.51GHzに達するとされる。また、メーカー希望小売価格(MSRP)は550ドルに設定されており、RTX 3070(500ドル)、RTX 4070(600ドル)と比較して世代ごとに価格が上昇している。

しかし、ベンチマークの結果を見ると、RTX 5070は競合モデルや前世代のハイエンドGPUと比較して明確な優位性を示せていない。例えば、「ファイナルファンタジーXIV」(4K解像度)では平均78FPSを記録したが、4070 Tiには25%、4070 Ti Superには11%劣る結果となった。「ブラックミス:ウーコン」(4K)では40FPSで、5070 Tiには27%劣る。加えて、「サイバーパンク2077」(4K・RT Ultra設定)ではわずか17FPSに留まり、競合のAMD 7900 XTと同等のパフォーマンスしか発揮できなかった。

こうした結果から、RTX 5070はハイエンドモデルではなく、ミドルレンジの性能に留まることが明確になった。特に、最新のゲーム環境で高品質なグラフィックスを維持するには、少なくとも5070 Tiや4070 Ti Superといった上位モデルが必要となる。NVIDIAの公式発表が実際のパフォーマンスと乖離している点は、消費者にとって無視できない問題といえる。

NVIDIAのマーケティング戦略と消費者への影響

NVIDIAはRTX 5070のプロモーションにおいて、AIを活用した「マルチフレーム生成(MFG)」技術を強調し、それによりRTX 4090と同等のパフォーマンスを発揮できると主張していた。しかし、実際のベンチマークではその主張が誤解を招くものであることが明らかとなった。特に、MFGを使用した際の遅延(レイテンシ)の問題は深刻であり、5070のMFG使用時の遅延は200ms以上に達し、一方でRTX 4090はフレーム生成なしでも26msという低遅延を維持している。

また、NVIDIAのFrameViewツールによる測定では、RTX 5070(MFG 4X使用時)の遅延は5分間のプレイで500~720msに達していた。対照的に、RTX 4090は51msという極めて低いレイテンシを記録している。この結果から、MFGを活用したとしてもRTX 5070がRTX 4090と同等の性能を発揮するという主張は、消費者に誤解を与えるものといえる。

さらに、RTX 5070のVRAMは12GBしかなく、24GBのRTX 4090とは大きな差がある。VRAM不足は4Kゲームやレイトレーシングの使用時に顕著な影響を及ぼし、特にメモリ負荷の高いタイトルではフレームレートの大幅な低下が発生する可能性がある。こうした点を考慮すると、RTX 5070を購入する消費者は、NVIDIAの宣伝文句に惑わされるのではなく、実際のベンチマークデータを慎重に比較検討する必要がある。

RTX 5070の市場価値と今後の展望

RTX 5070のMSRPは550ドルに設定されているが、実際の市場価格は流動的であり、需要や競争環境によって変動する可能性がある。前世代のRTX 3070は500ドル、RTX 4070は600ドルで登場しており、価格の推移を考慮するとRTX 5070の価格設定は必ずしも割安とはいえない。さらに、上位モデルのRTX 5070 Tiは750ドルで、スペック面でも16GBのGDDR7メモリや256ビットバスを搭載しているため、価格差を考えれば5070 Tiのほうがコストパフォーマンスに優れているといえる。

競合のAMD製GPUと比較しても、RTX 5070の立ち位置は微妙だ。例えば、AMDの7900 XTはパフォーマンス面で優位性を持ちつつ、価格が下落傾向にある。一部の市場では同価格帯で提供されることもあり、NVIDIAのGPUと比較してVRAM容量が多い点も強みとなっている。特に、将来的なゲーム環境においてVRAMの多寡が重要な要素となることを考慮すると、RTX 5070の12GBという容量はやや不安要素が残る。

今後の展望としては、価格の推移や競合製品とのバランスが鍵を握る。現状では、RTX 5070の価格性能比は最適とは言い難く、特にハイエンドなゲーム環境を求めるユーザーにとっては物足りない可能性がある。一方で、市場価格が下落すれば、一定の価値を見出せる場面も出てくるだろう。そのため、RTX 5070の購入を検討する際は、価格動向とともに、自身のゲーム用途や求める性能水準を慎重に見極めることが重要である。

Source: GamersNexus