AMDの最新CPU「Ryzen 9 9950X3D」が、Windows 11よりもWindows 10で最大20%高速に動作する可能性があることが判明した。これはYouTuberのTech YES Cityが実施したベンチマーク結果に基づくもので、特に1080p低設定のゲーム環境で顕著な差が見られた。

このパフォーマンス差の要因として、Windows 11ではデフォルトで有効化されている「仮想化ベースのセキュリティ(VBS)」が影響していると考えられている。VBSはWindows 10でも無効化可能だったが、Windows 11では標準仕様となっており、CPUの動作に影響を与えることが知られている。

ただし、この違いは4K高設定ではほぼ見られず、ハイエンド環境では実際のゲームプレイに影響を与える可能性は低い。一方で、1080p環境でプレイするユーザーにとっては、Windows 10のほうが高いパフォーマンスを発揮する可能性があるため、OSの選択に影響を与える要素となるかもしれない。

Ryzen 9 9950X3Dのパフォーマンス差はどこから生まれるのか

AMDのRyzen 9 9950X3DがWindows 10で最大20%高速に動作する理由のひとつとして、「仮想化ベースのセキュリティ(VBS)」の影響が指摘されている。VBSはWindows 11でデフォルトで有効化され、カーネルを仮想環境内に隔離することでセキュリティを向上させるが、一方でパフォーマンスに悪影響を与えることが知られている。

Tech YES Cityの検証によると、Windows 10ではVBSが無効な状態でテストされ、Windows 11と比較して最大20%の性能向上が確認された。また、Windows 11でVBSを無効にした場合でも、Windows 10の方が約9%高いパフォーマンスを示した。特に影響を受けやすいのはCPU負荷の高いゲームで、Fortniteの1080p低設定環境で顕著な違いが見られた。

Windows 11ではIntelのハイブリッドアーキテクチャ向けにタスクスケジューリングが最適化されているが、AMDのRyzen 9 9950X3Dのような従来型のシングルコア設計のCPUには最適化されていない可能性がある。これがパフォーマンス差を生む要因となっているのかもしれない。

ゲーム環境別に考える最適なOSの選択肢

テスト結果を見ると、Ryzen 9 9950X3Dを搭載したシステムでは、特に1080p低設定のゲーム環境でWindows 10のほうがパフォーマンスに優れている。一方で、4K高設定ではWindows 11とWindows 10の間でパフォーマンス差はほとんど見られなかった。つまり、プレイするゲームの解像度や設定によって最適なOSが変わる可能性がある。

Fortnite、Counter-Strike 2、Baldur’s Gate 3などのタイトルでは、低解像度・低設定の条件下でWindows 10が優位に働いた。しかし、Kingdom Come: Deliverance 2のような4K高設定の環境では両OS間の差がなくなった。このことから、フレームレートを重視するeスポーツ系タイトルや軽量なゲームを楽しむ場合はWindows 10のほうが有利かもしれない。

ただし、Windows 10のサポート終了が迫っている点も考慮する必要がある。最新のドライバやセキュリティパッチが提供されなくなることで、長期的な安定性や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、ハードウェアのパフォーマンスだけでなく、システム全体のサポート状況も踏まえてOSを選択する必要があるだろう。

長期的にはWindows 11移行が不可避か

短期的にはRyzen 9 9950X3Dの性能を最大限に発揮するためにWindows 10を選択するのも一つの手だが、長期的にはWindows 11への移行が避けられない。Windows 10の公式サポートは2025年10月に終了予定であり、その後は新しい機能やセキュリティアップデートが提供されなくなるためだ。

また、ゲームやアプリケーションの最適化は今後Windows 11を前提とするケースが増えていくと考えられる。現時点ではWindows 10の方が有利な場面があるとはいえ、開発側がWindows 11に最適化を進めることで、このパフォーマンス差が今後縮まる可能性もある。

最終的に、Windows 10のほうが高いパフォーマンスを発揮するのは特定の条件下であり、多くのユーザーにとってはWindows 11への移行が現実的な選択肢となる。今後のOSのアップデートやドライバの最適化がどのように進むのかにも注目したいところだ。

Source:XDA