半導体市場は年初来で厳しい調整局面にあり、S&P半導体SPDR ETF(XSD)は14%下落した。しかし、シティのアナリストは、AI市場の成長を見据え、マイクロン・テクノロジー(MU)とブロードコム(AVGO)を戦略的な買い推奨銘柄として挙げている。
マイクロンは、AI駆動のメモリ技術で市場を牽引し、1月の決算では売上が前年比84%増の87億ドルに達した。特にデータセンター向けの成長が著しく、2025年以降の利益拡大が期待される。一方、ブロードコムはAI関連売上が77%増加し、CEOのホック・タン氏は2027年までに数百万のAIチップクラスタを展開する計画を示している。
両社ともアナリストの評価は「強い買い」となっており、マイクロンは目標株価132.45ドルで40%の上昇余地が、ブロードコムは250.31ドルで28%の伸びしろが見込まれている。市場の調整を活用する長期投資家にとって、これらの銘柄は有望な選択肢となる可能性がある。
半導体市場の低迷とAI需要の高まりがもたらす投資機会

半導体業界は市場全体の調整を受け、年初来で下落基調にある。S&P半導体SPDR ETF(XSD)は14%の下落を記録し、マイクロン・テクノロジー(MU)やブロードコム(AVGO)も同様に株価の下落に直面した。しかし、半導体市場全体の売上は1月に508億ドルとなり、前月比で14%減少したものの、AI向け需要の増加は依然として堅調だ。現在、AI関連用途は半導体消費全体の約20%を占めており、今後さらに拡大すると見込まれている。
この動きの背景には、データセンターの増強やAIチップの高度化がある。マイクロンはAI対応メモリ市場での存在感を強めており、高帯域幅メモリ(HBM)の需要増が追い風となっている。Mordor Intelligenceの予測では、HBM市場は2030年までに年平均25%以上の成長が見込まれており、マイクロンの事業成長に寄与すると考えられる。一方、ブロードコムは通信インフラ向けの半導体に強みを持ち、AIサーバー向けのチップ需要の拡大が同社の収益を支えている。
市場の一時的な調整があっても、AI技術の発展とともに半導体業界全体の成長余地は大きい。特に、マイクロンとブロードコムのような主要企業は、長期的なトレンドを捉えた戦略的なポジションを確立しつつある。投資家にとっては、現在の株価水準は中長期的な視点で有望なエントリーポイントとなる可能性がある。
マイクロン・テクノロジーの成長戦略と株価の回復見通し
マイクロン・テクノロジー(MU)はAI駆動のメモリ技術を強みに持ち、特にデータセンター向け需要の高まりを追い風にしている。同社の最新決算では売上が前年比84%増の87億ドルとなり、データセンター向け売上は前年同期比400%以上の成長を記録した。これにより、マイクロンの利益は前年の1株あたり0.79ドルの損失から1.67ドルの黒字へと大きく改善している。
株価は短期的な調整を受けているものの、予想PERは14.3倍と業界平均の22.5倍を下回り、割安感があると指摘されている。また、同社の過去の平均PER83倍と比較すると、現在の水準は80%以上のディスカウントとなっている。アナリストのコンセンサス評価は「強い買い」で、30人のアナリストによる平均目標株価は132.45ドルと、現在の水準から約40%の上昇余地があるとされる。
特に、AI向け高帯域幅メモリ(HBM)の需要が急増する中、マイクロンはこの分野での競争力を高めている。同社の技術革新が進むことで、2025年以降の利益成長が期待される。市場環境が整えば、マイクロンの株価は業績改善を背景に上昇基調へと転じる可能性が高い。
ブロードコムのAI戦略と成長の原動力
ブロードコム(AVGO)は、半導体およびインフラ向けソフトウェア市場での強固な地位を持つ企業である。特に、AI関連の需要拡大が同社の収益成長をけん引しており、2024年度第1四半期のAI関連売上は前年比77%増の41億ドルに達した。これは、同社が提供するAI向けチップやネットワーキング技術が広く採用されていることを示している。
CEOのホック・タン氏は、2027年までに数百万のAIチップクラスタを展開する計画を明言しており、600億~900億ドル規模の成長機会を見込んでいる。この長期戦略が実現すれば、ブロードコムはAI市場における主導的な役割をさらに強化することになる。また、同社はフリーキャッシュフローの利益率が40%と高水準を維持しており、財務面でも安定した成長が期待される。
株価は短期的な市場の売り圧力で下落したが、過去1年間では50%の上昇を記録している。アナリストの平均目標株価は250.31ドルと、現在の水準から28%以上の上昇余地があるとされる。AI関連の売上が今後も拡大し続ける中、ブロードコムは半導体市場における重要な成長銘柄として注目されている。
Source: Barchart.com