2025年の米国市場は不安定な動きを見せ、主要3指数が軒並み急落した。特にナスダックは4%もの下落を記録し、ハイテク株主導の売りが広がった。市場の混乱が続く中、投資家は安定したリターンを求め、米国以外の投資先に目を向けている。
この状況下で、バンガード・インターナショナル・ハイ・ディビデンド・イールドETF(VYMI)が際立つパフォーマンスを示している。年初来で8%以上の上昇を記録し、S&P 500を大幅に上回る成績を残している。高配当銘柄に焦点を当て、1,498銘柄に分散投資するVYMIは、特に長期投資家にとって魅力的な選択肢となっている。
同ETFの配当利回りは4.97%と、S&P 500の約3倍に達する。運用コストも低く、経費率は0.17%と極めて抑えられている。地理的にも欧州や新興国を含む幅広い地域に投資しており、市場のボラティリティをヘッジする手段としての注目度が高まっている。
VYMIの躍進 : S&P 500を上回る背景とは
2025年初頭、米国市場は急激な変動に見舞われ、S&P 500は2.7%の下落を記録した。一方で、バンガード・インターナショナル・ハイ・ディビデンド・イールドETF(VYMI)は年初来で8%以上の上昇を見せ、際立つパフォーマンスを示している。
VYMIの強さの要因は、配当利回りの高さと幅広い国際分散投資にある。FTSE All-World ex US High Dividend Yield Indexに連動し、米国外の高配当企業に投資することで、市場の変動リスクを抑えている。また、ヨーロッパや太平洋地域、新興市場への分散投資により、米国経済の影響を限定的にしている点も大きな特徴だ。
これに対し、S&P 500は米国内の経済動向に大きく左右される。トランプ前大統領の発言により、市場は不安心理に陥り、ハイテク株主導で大幅に下落した。特に「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク銘柄が売りの中心となり、指数全体を押し下げた。この状況が、VYMIの相対的な優位性を際立たせている。
VYMIのポートフォリオと投資家にとっての意義

VYMIのポートフォリオは1,498銘柄に分散されており、その中にはロシュ・ホールディング、トヨタ自動車、ネスレといった世界的企業が含まれている。欧州市場を中心に投資しながらも、新興市場にも21%の比率で資金を配分している点が特徴だ。
これにより、VYMIは長期的な収益性と安定性を兼ね備えたETFとなっている。特に、配当利回りは4.97%と、S&P 500の約3倍に達しており、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な選択肢となる。また、経費率が0.17%と低水準である点も、コスト意識の高い投資家にとって有利な要素だ。
一方で、新興市場や欧州株の比重が高いため、地域ごとの景気動向や政策変更の影響を受けやすいリスクもある。特に、地政学的リスクや為替の変動がポートフォリオの収益性に影響を与える可能性は否定できない。しかし、それを補う形での広範な分散投資が行われていることが、VYMIの強みと言える。
2025年の市場環境とVYMIの今後
2025年に入り、米国市場は不透明感を増している。トランプ前大統領が「移行期」にあると発言したことで、投資家の不安心理が高まり、ダウ・ジョーンズ工業株平均やナスダック総合指数も大幅に下落した。これにより、安全資産への逃避が進み、VYMIのような国際分散型ETFが注目されている。
今後の市場動向は、米国の金利政策や景気動向、欧州や新興国の経済成長に左右されるだろう。特に、欧州経済の安定性が維持されるかどうかが、VYMIのパフォーマンスに大きく影響する。米国市場のボラティリティが続く限り、安定した配当と国際分散投資を特徴とするVYMIの人気はさらに高まる可能性がある。
ただし、米国市場が回復基調に転じた場合、S&P 500とのリターン格差が縮小することも考えられる。ハイテク株の再評価が進めば、ナスダックやS&P 500が再び上昇する可能性があり、相対的な優位性が変化する局面も想定される。とはいえ、長期的な安定性を求める投資家にとって、VYMIは依然として有力な選択肢となるだろう。
Source: Finbold