トランプ政権がビットコインの戦略的取得に強い関心を示していることが明らかになった。ホワイトハウスの関係者は、暗号資産業界のリーダーたちとの非公開会合で「可能な限り多くのビットコインを取得したい」との意向を伝えた。
この発言は、米政府のデジタル資産政策を議論する場で行われ、戦略的ビットコイン準備金の法制化を後押しする姿勢が示された。米上院で審議中の「ビットコイン法案」は最大100万BTC(約800億ドル相当)の購入を求めており、これを「予算中立」で実施することが課題となる。
現在、米政府は約20万BTCを保有しているが、今後の追加取得を巡り、ホワイトハウスと議会の間で財政的・政策的な調整が進む見通しだ。
トランプ政権のビットコイン戦略 非公開会合での発言と政策の背景

トランプ政権がビットコインの大規模取得を目指しているとの発言が、暗号資産業界のリーダーたちが参加した非公開会合で明らかになった。この会合は「ビットコイン・フォー・アメリカ」政策サミットの後に開催され、大統領作業部会のデジタル資産部門の事務局長であるボー・ハインズ氏が「可能な限り多くのビットコインを取得する意向がある」と述べたという。
会合にはMicroStrategyの共同創設者マイケル・セイラー氏やMarathon DigitalのCEOフレッド・ティール氏など、業界の有力者が参加し、米国政府のビットコイン政策について議論が交わされた。さらに、シンシア・ルミス、ビル・ハガティ、バーニー・モレノといった共和党の上院議員も出席し、政策決定に向けた意見交換が行われた。
特に注目されたのは、ルミス議員が提出した「ビットコイン法案」の扱いである。この法案は最大100万BTC(約800億ドル相当)を政府が取得し、「戦略的ビットコイン準備金」として管理することを求めるものだ。ハインズ氏はこの法案への支持を示唆したが、ホワイトハウス関係者は後に「特定の法案を明確に支持する発言はしていない」との立場を強調している。
米政府のビットコイン保有と「予算中立」の論点
現在、米国政府は約20万BTCを保有していると推定されるが、これらは刑事および民事訴訟での押収によって取得されたものである。一方、ルミス議員の法案が成立すれば、米政府はこれに加えて最大100万BTCを購入することになる。この莫大な投資をどのように財政的に実現するのかが議論の中心となっている。
法案では、購入資金の調達方法として「予算中立」を掲げている。具体的には、連邦準備制度(FRB)が保有する金準備証券の再評価益を活用し、米政府が追加の負担なしにビットコインを取得できる仕組みを想定している。金準備証券は1971年の金本位制廃止以来、価値が再評価されておらず、現在の金価格を反映すればその評価額は大幅に増加すると見られている。
しかし、「予算中立」での資金調達が現実的かどうかについては異論もある。FRBの収益が財政支出に直接充当されることには議論の余地があり、法案の成立には政府内外の幅広い調整が必要となるだろう。加えて、ビットコインの市場価格は変動が激しく、大規模取得が市場にどのような影響を与えるかも慎重に検討すべき課題である。
戦略的ビットコイン準備金の可能性と米国経済への影響
米国政府がビットコインの大量取得を進めた場合、その経済的影響は多方面に及ぶ可能性がある。第一に、政府が公式にビットコインを戦略的資産と認定することで、他国政府や機関投資家の関心が高まり、暗号資産市場の成熟が加速することが予想される。
また、ビットコインの大量保有は、米ドルと暗号資産の関係性を変化させる可能性がある。これまで米政府はドルの国際的な信認維持を最優先事項としてきたが、もしビットコインが準備資産として政府の財政政策に組み込まれるようになれば、ドルとビットコインの共存戦略が求められることになる。
一方で、政策の方向性によっては、暗号資産規制の強化や税制面での調整が必要となるだろう。ビットコインを戦略的資産として政府が正式に採用する場合、取引の透明性や税収の確保といった課題にも対応する必要がある。今後、ホワイトハウスと議会がどのようにこの問題を整理し、政策を進めていくかが注目される。
Source: Decrypt