ビットコイン市場の主要プレイヤーである戦略企業が、ここ3週間にわたり追加購入を見送っている。直近の購入は2月24日であり、保有量は49万9096BTCのまま変わっていない。同社は昨年18回の購入を行い、特にトランプ前大統領の再選以降、積極的な取得姿勢を見せていたが、その動きが鈍化している。

この背景には、米国の関税政策による市場の混乱と、現物ビットコインETFからの資金流出がある。木曜日にはビットコイン価格が8万ドルを下回り、週初からETFの流出額は6億4900万ドルに達した。加えて、戦略企業の資金調達コストが上昇し、これまでの株式や社債を活用した購入戦略が調整を迫られている可能性がある。

市場では、同社が今後の資金調達の準備を進めているとの見方が浮上している。特に、NASDAQ上場の永久優先株「STRK」による資金確保が注目され、すでに5億6300万ドルを調達済みだ。マイケル・セイラー氏はXでSTRKについて言及しており、市場への新たなメッセージを発信している。戦略企業の次の動向が、ビットコイン市場の方向性を左右する可能性がある。

戦略企業のビットコイン買い控え その背景にある市場の変調

戦略企業はこれまで一貫してビットコインを取得し、市場の大口買い手として注目を集めてきた。しかし、2月24日以降の買い控えは市場に新たな不確実性をもたらしている。背景には、トランプ前大統領の関税政策の影響で金融市場が動揺し、特に仮想通貨市場への資金流入が鈍化していることが挙げられる。これにより、現物ビットコインETFの資金流出が加速し、木曜日にはビットコイン価格が8万ドルを割り込んだ。

戦略企業のビットコイン取得戦略は、同社の資金調達手法に大きく依存している。同社は転換社債の発行を活用し、昨年11月には30億ドル、今年2月には20億ドルを調達した。しかし、直近ではプレミアム価格の低下がみられ、投資家の関心が変化している可能性がある。株式市場の変動も同社の財務戦略に影響を与え、慎重な姿勢に転じる要因となったと考えられる。

一方で、戦略企業の株価はこの1カ月で18%下落しているが、1年前と比較すれば50%高い水準を維持している。市場の調整局面では資金調達コストが上昇するため、ビットコインの価格が下落しても追加購入が容易ではない状況にある。短期的には、資本市場の安定が同社の買い戻し戦略を左右する要素となりそうだ。

STRKと転換社債 戦略企業の資金調達戦略の変遷

戦略企業は、これまで転換社債を主要な資金調達手段として活用してきた。この社債は、一定条件のもとで株式へと転換できるため、投資家にとっても柔軟な運用手段となる。昨年11月には株価の55%プレミアムで発行され、30億ドルの調達に成功した。今年2月の発行では20億ドルを調達したものの、プレミアム価格は35%と低下し、市場の評価が変化しつつあることが伺える。

これに対し、戦略企業は新たな金融商品としてNASDAQ上場の「STRK(永久ストライク優先株)」を導入した。これは企業が買い戻さない限り、投資家に固定配当を提供し続ける仕組みであり、1月の販売で5億6300万ドルを調達した。さらに、長期的に210億ドルの追加発行計画を発表していることから、同社は従来の転換社債依存から多角的な資金調達へと移行しつつある。

市場の関心は、この新たな資金調達が即座にビットコインの追加購入に繋がるかどうかに向けられている。Benchmarkのアナリスト、マーク・パルマー氏は「戦略企業のビットコイン買いへの意欲は依然として強いが、新たな調達手法の確立を優先している可能性がある」と指摘する。セイラー氏がXで「鉄が熱いうちに$STRKを打て」と発信したことは、市場の注目を集める狙いがあったとみられる。

ビットコイン市場の動向と戦略企業の今後の展開

現物ビットコインETFの資金流出が続く中、ビットコイン市場は重要な局面を迎えている。CoinGlassのデータによると、今週だけでETFからの資金流出は6億4900万ドルに達し、市場のセンチメントが変化していることを示唆している。戦略企業の動向は市場全体に影響を及ぼすため、投資家は同社の今後の動きに注視している。

一方で、戦略企業はこれまでの積極的なビットコイン購入戦略を継続するかどうかが問われている。MYRIADの予測市場では、戦略企業が月曜日に新たな購入を発表する確率は60%にとどまるとの見方が示されており、市場の期待感も不安定だ。もし3週間連続で保有量が変わらない場合、市場に与える影響は小さくないだろう。

長期的には、同社の財務戦略が市場の流れを決定づける要因となる可能性がある。米国財務省がビットコイン保管に関する協議を行うなど、政府の関与も強まる中、戦略企業の動きは今後さらに注目されることになるだろう。

Source: Decrypt