サムスンが次世代チップ製造の鍵を握るHigh-NA EUV装置「TWINSCAN EXE:5000」をついに取得した。オランダのASMLが供給するこの最新装置は、2nmプロセス対応の最先端機器であり、韓国・華城キャンパスに搬入されたことが確認されている。

この技術革新により、サムスンの半導体製造能力が大きく向上する可能性がある。特に、開発が遅れていたExynos 2500の課題であった3nmプロセスの歩留まり率が改善されることで、次世代チップExynos 2600の実用化が現実味を帯びる。

サムスンが導入したHigh-NA EUV装置とは何か

ASMLのTWINSCAN EXE:5000は、次世代半導体製造に不可欠なHigh-NA EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置である。この装置は従来のEUV装置と比較して解像度が向上しており、2nm以下の微細プロセスにも対応可能だ。これにより、より高密度かつ高性能なチップの製造が可能になる。

今回、サムスンはこの装置を韓国・華城キャンパスに導入した。ASMLは世界で唯一のHigh-NA EUV装置の供給元であり、TWINSCAN EXE:5000を入手することは競争力強化の大きな一歩となる。特に、サムスンはこれまで3nmプロセスの歩留まり(正常に動作するチップの割合)の低さに課題を抱えていた。この問題を解決し、Exynosシリーズの生産性向上につなげる狙いがある。

技術的なハードルはあるものの、この装置の導入によってサムスンの半導体開発が一気に加速する可能性がある。特に、Exynos 2600の開発においては、この設備がどれだけ実用的に活用されるかが鍵を握る。今後の進捗に注目が集まる。

Exynos 2600はGalaxy Sシリーズに採用されるのか

サムスンはこれまでExynosチップをGalaxy Sシリーズに搭載してきたが、直近のモデルではQualcomm製のSnapdragonが主流になっている。その背景には、Exynos 2500の開発遅延や、3nmプロセスによる生産上の課題がある。今回、2nmプロセスに対応するTWINSCAN EXE:5000を導入したことで、Exynos 2600がGalaxy S26シリーズや将来のフォルダブルモデルに採用される可能性がある。

過去のExynos 2200やExynos 2400は、性能面でSnapdragonとの差が指摘されてきた。しかし、今回の技術革新が成功すれば、サムスンは自社製チップの競争力を取り戻し、Galaxy Sシリーズでの採用を増やせる可能性がある。特に、ベースモデルやプラスモデルでは自社製チップの採用を進めることで、コスト削減と最適化が期待できる。

一方で、最新のExynosチップがSnapdragonを超える性能を発揮できるかどうかはまだ未知数である。歩留まりや消費電力、発熱管理などの要素がGalaxy Sシリーズの採用を左右するポイントとなる。サムスンがこの技術を活かし、フラッグシップ市場での競争力をどう高めるのかが今後の焦点となる。

独自チップ開発の加速がもたらす影響

サムスンは長年、QualcommやMediaTekなどの他社製チップに依存してきた。しかし、Exynosシリーズの強化により、自社製チップの比率を高めることで、デバイスの最適化やコスト削減が可能になる。特に、チップの設計から製造までを自社で行うことで、ソフトウェアとハードウェアの統合が進み、独自の強みを生み出せる可能性がある。

また、チップの内製化が進むことで、他社の供給状況に左右されるリスクも軽減される。最近の半導体市場では、供給不足や価格変動が大きな課題となっている。サムスンがこの分野での自立性を高めれば、安定した製品開発が可能となり、消費者にとってもメリットが大きい。

とはいえ、完全な自給自足には時間がかかる。サムスンが今後どこまでExynosシリーズの性能を向上させ、他社製チップとの差を埋めることができるかが重要だ。High-NA EUV装置の導入は、その第一歩として注目されるが、実際に成果が出るまでの期間と、他社の技術革新の動向が今後の展開を左右することになるだろう。

Source:Gizmochina