GoogleがPixel 10シリーズ向けに開発を進めるTensor G5プロセッサは、従来のSamsung製からTSMC製へと移行し、3nmプロセスノードを採用することで性能向上が期待されていた。しかし、最新の情報によると、G5は前世代のG4とほぼ同じ性能にとどまる可能性が指摘されている。

▼関連記事▼
Google Pixel 10 Pro XLのリーク情報が浮上 AI強化とデザイン維持の戦略とは
Pixel 10のデザインはPixel 9と酷似 進化は厚みの増加のみか

GoogleはこれまでTensorチップをSamsungのExynosベースで開発してきたが、G5は初の完全カスタム設計となる。それにもかかわらず、パフォーマンスの伸びが限定的であるとされ、UFS 3.1ストレージの採用など時代遅れの仕様が影響を及ぼす可能性も浮上している。

Tensor G5はTSMC製3nmプロセスを採用 それでも性能向上は限定的か

Googleの次世代プロセッサ「Tensor G5」は、これまでSamsung Foundryで製造されていたTensorシリーズとは異なり、TSMC製の3nmプロセスノードで製造される予定だ。具体的には、TSMCの第3世代3nmノード(N3P)が採用される。これにより、製造プロセスの最適化による消費電力の低減や発熱の抑制が期待されている。

また、Tensor G5はGoogleが初めてゼロから設計した完全なカスタムAP(アプリケーションプロセッサ)となる。これまでのTensor G1からG4までは、SamsungのExynosをベースにカスタマイズしたものだったため、競合のApple AシリーズやQualcomm Snapdragon 8シリーズに対して性能面で見劣りしていた。そのため、G5ではGoogle独自の最適化が施され、大幅な進化が見込まれていた。

しかし、現在のリーク情報では、Tensor G5の性能はG4とほぼ同じ水準にとどまる可能性が指摘されている。TSMC製への移行や3nmプロセスの採用といった技術的なアップグレードはあるものの、それだけでは期待されていたような飛躍的な性能向上には至らない可能性がある。これが事実であれば、Pixel 10シリーズの競争力にも影響を及ぼすことになりそうだ。

競争力を高めるはずのTensor G5 なぜ性能向上が期待外れなのか

Tensor G5は、Googleが満を持して設計した完全なカスタムAPであり、製造プロセスもTSMCの3nmへと進化した。しかし、それにもかかわらず、性能がG4とほぼ変わらないとされるのはなぜなのか。その背景には、ストレージ規格やGPU設計の要因があると考えられる。

まず、Tensor G5が採用するストレージ規格はUFS 3.1のままであり、最新のUFS 4.1に対応しないことが指摘されている。UFS 4.1はデータ転送速度や消費電力の面で優れた仕様を持つが、G5では引き続き旧世代の規格を使用することで、ストレージ性能の向上が見込めない。特に、ハイエンド機種ではストレージ速度がシステム全体のレスポンスに影響を与えるため、この選択は惜しまれる。

さらに、TensorシリーズはもともとAI性能を重視して設計されているが、従来のモデルではGPU性能が他社のハイエンドAPと比較して劣っていた。G5で大きな改善がなければ、ゲームや映像処理などの負荷が高いタスクにおいて、引き続きSnapdragon 8 Gen 3やApple A17 Proとの差が生じる可能性がある。Tensor G5がAI機能以外の分野でどこまで最適化されているのかが、最終的な評価を左右することになりそうだ。

Pixel 10シリーズの未来 Tensor G5の限界はどう影響するのか

Googleが開発するPixelシリーズは、独自のソフトウェアとAI機能を強みとしており、ハードウェアスペックだけで競争するデバイスではない。しかし、スマートフォン市場全体がハイパフォーマンス化する中で、Tensor G5の性能が期待を下回る場合、Pixel 10シリーズの立ち位置にも影響を与えかねない。

まず、パフォーマンスの面では、Googleが目指す「長期間にわたるソフトウェアアップデートの提供」が裏目に出る可能性がある。Pixelシリーズは他のAndroid端末よりも長期間アップデートを受けられる利点があるが、SoCの性能が十分でなければ、数年後には処理速度の低下が顕著になるリスクがある。特に、AI処理に依存する機能が増える中で、長期的なパフォーマンス維持が課題となるだろう。

また、競争相手であるSamsungやAppleが次世代APの開発を進める中で、Tensor G5の性能が伸び悩めば、Pixelシリーズは「ソフトウェアとカメラは優れているが、処理性能は平凡」と評価される可能性がある。AI機能の進化によってどこまでカバーできるかが、Pixel 10シリーズの成功を左右する重要なポイントになりそうだ。

Source:PhoneArenaNotebookcheck