ASUSのQ-Release Slim PCIeスロットが、GPUのピン損傷を引き起こす可能性が指摘された問題で、新たな設計変更が行われた可能性が浮上した。ROG Apex X870Eマザーボードの公開画像には、従来の設計とは異なるスロット機構が確認されている。
Neweggの販売ページでは、この新設計スロットが採用されたモデルが販売されており、従来の金属フレームが除去された形となっている。一方で、ASUSは公式声明で「摩耗は通常の範囲内」との立場を維持しつつ、中国市場では一部のマザーボード所有者への交換対応も行っている。
設計変更の背景には、消費者の懸念への対応やクレーム回避の狙いがあるとみられる。ASUS製マザーボードの購入予定者は、新設計が適用された最新モデルかどうかを確認する価値があるだろう。
ASUSのQ-Release PCIeスロット変更の背景と設計上の課題

ASUSのQ-Release Slim PCIeスロットは、ワンタッチでGPUを着脱できる利便性が売りだった。しかし、ユーザーからGPUのピンが損傷する可能性があるとの指摘が相次いだ。特に、繰り返し使用することで摩耗が進む点が問題視されていた。
Uniko’s Hardwareの報告によれば、新たなROG Apex X870Eマザーボードでは、従来のQ-Release Slimスロットとは異なる設計が採用されている。具体的には、スロットの電源部とデータレーンの間にあった金属フレームが取り除かれた形となっている。この金属フレームは、GPUのピンに過度な圧力をかける原因の一つとされていた。
ASUSは公式声明で、「社内テストでは機能への影響を確認していない」と強調している。一方、中国市場では交換対応を実施しており、消費者の不安を払拭する狙いがあるとみられる。GPUの着脱頻度が高いユーザーにとって、今回の設計変更は耐久性の向上につながる可能性がある。
ASUSの対応と市場における影響
ASUSはQ-Release Slimスロットに関する懸念を受け、中国市場でマザーボード交換を提供した。具体的には、対象ユーザーにJD Eカード(200元相当)の補償を行い、改良版スロットを搭載したマザーボードへの交換を実施した。これにより、特に中国市場においてASUSのブランドイメージを維持する意図があると考えられる。
一方、北米や欧州市場では公式なリコールや交換対応の発表は行われていない。Neweggでは新設計スロットを採用したX870E Apexマザーボードが販売されており、従来モデルとの差異がある可能性が高い。設計変更はあくまで静かに行われたものであり、正式な発表がない点も特徴的だ。
市場においては、ユーザーの信頼を回復するためにメーカーがどのような対応を取るかが重要な要素となる。ASUSが特定の市場のみで交換対応を行ったことは、地域ごとの消費者意識の違いや市場戦略に基づいた判断とみられる。今後の新製品では、より明確な設計変更のアナウンスが求められるだろう。
設計変更の影響と今後の展開
新たなQ-Release Slimスロットは、摩耗や損傷リスクを軽減する可能性があるが、従来のスロットとの互換性や耐久性への影響は未知数である。特に、変更点が具体的に公表されていないため、ユーザーは購入時に仕様を慎重に確認する必要がある。
また、今回の設計変更が他のASUS製マザーボードにも適用されるのかは不透明である。Videocardzによれば、初期のレビューサンプルには旧設計のスロットが使用されていたことが確認されており、設計変更が直前に行われた可能性がある。
今後、ASUSが公式に設計変更を発表するか、あるいは追加の対応を行うかが注目される。GPUの着脱を頻繁に行うユーザーにとって、Q-Release機能は魅力的であるため、安全性と耐久性の両立が求められる。
Source:PC Gamer