かつてキャンセルが報じられたIntelの次世代デスクトップCPU「Arrow Lake-S Refresh」が復活する可能性が浮上した。中国のWeibo上のリーク情報によれば、最大42コアを搭載するこのアーキテクチャは、現行のLGA 1851マザーボードに対応し、新たなプラットフォーム移行を伴わずにアップグレードが可能とされる。
この新CPUは、8つのPコアと32のEコアを組み合わせた構成を持ち、マルチコア性能の飛躍的向上が期待されている。ただし、ハイパースレッディングの非搭載によりスレッド数はコア数に等しい42スレッドに制限される見込みだ。
Intelの動向が停滞する中、AMDがZen 5X3DやZen 6の開発を進める中でのこの復活劇は、デスクトップ市場における競争の再燃を意味する。AI処理能力の強化を視野に入れたこの新CPUが、Intelの市場戦略を大きく左右する可能性がある。
Intelの42コアCPU復活の背景と市場への影響

Intelが一度はキャンセルしたとされる「Arrow Lake-S Refresh」が復活するという情報が浮上している。昨年、Jim Keller主導のRoyal CoreプロジェクトやArrow Lake-Sのリフレッシュ版が中止されたと報じられたが、新たなリークによれば、Intelはデスクトップ向け「Arrow Lake-S Refresh」とモバイル向け「Arrow Lake-HX Refresh」を再び計画しているという。
この動きは、AMDのZen 5X3DやZen 6に対抗する狙いがあると見られる。特にデスクトップ市場においては、Intelの動向が近年停滞していた。AMDはRyzen 9 9950X3Dなどの高性能CPUを投入し、ハイエンド市場を席巻している。
この状況に対抗するため、Intelは42コアという大規模なマルチコア構成を導入することで、性能面での巻き返しを狙っていると考えられる。ただし、ハイパースレッディングが非搭載である点やシングルコア性能の伸びが限定的である点が、最終的な評価を左右する可能性がある。
また、Arrow Lake-S RefreshがLGA 1851プラットフォームを継続して使用することも注目される。これにより、既存のマザーボードを流用できるため、ユーザーにとってのアップグレードコストを抑えることができる。Intelがこの戦略を採用する背景には、新たなソケットへの移行を最小限に抑え、競争環境の中での市場の安定性を重視する意図があると考えられる。
42コア構成の技術的特徴と性能への期待
リーク情報によると、Arrow Lake-S Refreshは最大42コアの構成を採用するとされる。具体的には、8つのPコア(Lion Cove)、32のEコア(Symont)、さらに2つのLP Eコアを搭載する可能性が指摘されている。これはIntelの従来の設計とは異なり、マルチコア性能を最大限に引き出すためのアプローチといえる。
特筆すべきは、ハイパースレッディングが非搭載である点だ。従来のIntel製品では、物理コア数よりも多くのスレッドを処理できるハイパースレッディングが搭載されていたが、今回のモデルでは42スレッドが上限となる。これにより、マルチスレッド性能の向上が限定される可能性がある一方で、消費電力や発熱の最適化が図られる可能性もある。
また、Moore’s Law Is Deadのリークによれば、このCPUのマルチコア性能は最大30〜50%向上する可能性があるという。これは、データ処理やAIワークロードを重視するユーザーにとって大きな魅力となるだろう。ただし、シングルコア性能の向上幅が一桁台に留まるとされており、ゲーム用途や一部のアプリケーションでは、AMDの新世代CPUと比較して優位性を確保できるかどうかが注目される。
AI時代におけるIntelの戦略と今後の展望
Intelは近年、AI処理性能の向上を重視している。Arrow Lake-S Refreshも例外ではなく、より強力なNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載する可能性が示唆されている。これにより、エッジAI処理や機械学習モデルのローカル処理において、競争力のあるパフォーマンスを発揮することが期待される。
AMDは既にAI対応を強化したRyzen AIシリーズを展開しており、特にラップトップ市場においては優位性を確立しつつある。Intelがこの流れに対抗するためには、デスクトップCPUにおいてもAIアクセラレーションの強化が不可欠となる。Arrow Lake-S RefreshのNPU強化が事実であれば、AI時代のPC市場においてIntelの立場を再び強固なものにする可能性がある。
一方で、IntelはNova Lakeという次世代アーキテクチャの開発も進めているとされる。もしArrow Lake-S Refreshが短期間のつなぎ製品に留まる場合、市場投入後のサポート期間や製品寿命がどの程度確保されるかが課題となる。AMDとの競争が激化する中で、Intelがどのようなロードマップを描くのか、今後の動向が注目される。
Source:NotebookCheck