Intelが次世代CPU「Panther Lake」を初めて公開した。ドイツで開催された「Embedded World 2025」にて確認され、その詳細が明らかになりつつある。Intelは近年、競争の激化と市場シェアの低下に直面しており、この新チップの成功が事業の今後を左右すると考えられている。
「Panther Lake」は、新たな「18A」製造プロセスを採用し、モバイル向けプラットフォーム「Core Ultra 300」シリーズの基盤となる。最大16コアと180TOPSのAI処理性能を備え、QualcommやTSMCが支配する市場への対抗策と位置付けられている。しかし、正式発表は2025年後半、市場投入は2026年になる可能性がある。
競争が激化する中、Intelがこの新技術で巻き返しを図れるか注目が集まる。
Intelの新世代CPU「Panther Lake」が示す技術革新の方向性

Intelがドイツの「Embedded World 2025」において初公開した次世代チップ「Panther Lake」は、同社のモバイル向けプラットフォーム「Intel Core Ultra 300」の中核を担う。最大16コアを搭載し、AI処理性能は180TOPSに達する可能性がある。
これは、現在のAI対応PCに求められる40TOPSを大きく上回る数値であり、AI活用を前提とした次世代コンピューティングに適した仕様といえる。また、Intelはこのチップに新しい「18A」プロセス技術を導入する計画だ。18Aプロセスは、従来の製造技術に比べてトランジスタ密度を向上させ、電力効率と性能の両面で飛躍的な向上を実現するとされている。
特に、競争相手であるTSMCやSamsungが先行する製造技術に対抗するため、Intelが独自に開発した「RibbonFET(ナノシート型トランジスタ)」や「PowerVia(裏面電源供給)」を採用することで、消費電力の削減と動作速度の向上を狙っている。
この技術革新は、Intelが低迷する市場シェアを回復するための鍵となる。AppleやQualcommがARMアーキテクチャを採用した高効率チップを次々と発表する中、x86ベースのプロセッサでどこまで競争力を維持できるかが焦点となる。「Panther Lake」は、その試金石となるだろう。
AI処理能力の向上がもたらす新たなコンピューティングの可能性
「Panther Lake」のAI処理性能は180TOPSに達すると予測されている。これは、Microsoftが「Copilot Plus PC」として認定するために求める40TOPSの4倍以上の数値であり、次世代のPCがAI活用を前提とした環境へ移行する可能性を示唆している。特に、リアルタイムの言語翻訳、画像認識、高度なデータ解析といった用途では、既存のPC性能を大きく超える処理能力が求められる。
AI処理の強化は、一般ユーザーだけでなく、クリエイターや開発者にとっても恩恵が大きい。動画編集や3Dモデリング、機械学習のローカル実行など、高負荷なタスクがPC単体で完結する可能性が高まるため、クラウド依存型のワークフローが大きく変わる可能性がある。
また、AIベースの自動化機能がPCの標準機能として組み込まれることで、業務効率や生産性が向上することも期待される。ただし、このAI性能向上にはソフトウェア側の対応も不可欠である。ハードウェアの能力が向上しても、それを活かせるアプリケーションやOSの最適化が進まなければ、ユーザーにとって大きな価値を提供できない。
Intelは既にMicrosoftと連携し、Windows環境でのAI活用を強化する動きを見せているが、今後のエコシステム全体の発展が鍵となる。
「Panther Lake」の市場投入時期と競争環境の課題
Intelは「Panther Lake」の正式発表を2025年後半とし、一般消費者向けデバイスへの展開は2026年になる可能性があると示唆している。この時間差は、製造プロセスの確立や最適化に時間を要するためと考えられる。一方で、この遅れが市場にどのような影響を及ぼすかが注目される。
現在、TSMCやQualcommはすでに次世代チップの開発を進めており、Intelが市場投入する頃には競争環境がさらに厳しくなっている可能性が高い。特に、QualcommはARMアーキテクチャを採用したPC向けプロセッサを強化しており、AppleのMシリーズとともに、x86からの脱却を推進する動きを加速させている。
この状況下で、「Panther Lake」がx86アーキテクチャを前提としたPC市場の維持にどこまで貢献できるかが焦点となる。また、Microsoftの「Copilot Plus PC」認定が、今後どのアーキテクチャにシフトしていくかも、Intelにとっては重要な要素となる。
Intelが再び市場での競争力を高めるためには、単なるプロセッサ性能の向上だけでなく、ソフトウェアとの連携、エコシステムの構築、製造プロセスの安定化といった複合的な戦略が求められる。「Panther Lake」は確かに技術的な進化を示す製品だが、それが市場の潮流を変える決定打となるかは、今後の展開次第といえる。
Source:Tom’s Guide