Microsoftが数日前に配信したWindows 11 24H2の累積更新プログラム「KB5053598」に、深刻な問題が相次いで報告されている。この必須アップデートにはセキュリティ修正が含まれるが、インストールが途中で停止するケースが多発し、エラーコード「0x800f0993」や「0x800F081F」などが表示されることもある。
さらに、アップデートが完了した場合でも、ブルースクリーン(BSoD)の発生やシステムが起動できなくなる不具合が確認されている。リモートデスクトッププロトコル(RDP)の自動切断も報告され、影響範囲は広がっている。Microsoftは現時点で問題を認識したとの声明を出しておらず、公式な修正パッチも提供されていない。
今回のアップデートにはゼロデイ脆弱性「CVE-2025-24983」の修正も含まれており、本来ならば適用が推奨される。しかし、トラブルが頻発しているため、更新の適用には慎重な判断が必要となる。影響を受けた場合は、Windows Updateからのロールバックが現実的な対応策となるだろう。
▼関連記事▼
Windows 11 24H2が新通知機能を導入 Microsoftアカウントの復旧用情報追加を促す
Windows 11の最新アップデートでプリンターが誤作動 印刷内容がランダムに乱れる不具合【KB5050092】
Windows 11 24H2の3月アップデートで発生している具体的な不具合

Windows 11 24H2の累積更新プログラム「KB5053598」は、セキュリティの向上を目的としているものの、多くのユーザーが深刻なトラブルに直面している。最大の問題は、インストール自体が失敗するケースの多発だ。特に「0x800f0993」「0x800F081F」「0x80070032」「0xC004F211」などのエラーコードが報告されており、更新プロセスが途中で止まってしまうことがある。報告によると、6%、20%、38%で進行が停止することがあり、中には98%や99%まで進んだ後にエラーが発生する事例も確認されている。
さらに、アップデートが完了した場合でも、不具合が解消されるどころか、新たな問題に直面する可能性が高い。代表的な例が「ブルースクリーン(BSoD)」の発生であり、更新適用後にシステムがクラッシュするケースが多発している。また、一部のユーザーはPCが正常に起動しなくなったとも報告している。加えて、リモートデスクトッププロトコル(RDP)が数分後に自動切断される不具合も発生しており、リモート作業を行うユーザーには大きな影響を及ぼしている。
Microsoftは現在のところ、これらの問題に対する公式な声明を発表していない。修正パッチの提供も行われておらず、影響を受けたユーザーは自己判断で対応を迫られている。唯一の回避策として、Windows Updateの履歴からこの更新プログラムをロールバック(削除)する方法があるが、セキュリティの観点からは注意が必要だ。
セキュリティ修正を含むアップデートの是非
今回の「KB5053598」には、セキュリティ上の重大な脆弱性修正が含まれている。特に「CVE-2025-24983」として報告されたゼロデイ脆弱性は、ローカルでの権限昇格を可能にするものであり、悪用されるとシステムが乗っ取られるリスクがある。そのため、本来であればこのアップデートは適用が推奨される内容である。しかし、現状では適用に伴う不具合が多発しており、慎重な判断が求められる。
セキュリティアップデートとシステムの安定性は常にトレードオフの関係にある。特に、Windowsのような広範なOSアップデートでは、過去にも新規パッチが別の問題を引き起こしたケースが多々ある。例えば、過去のWindows 10の更新プログラムでも、プリンターの接続障害やWi-Fiの不具合が発生し、後に修正パッチが配布された経緯がある。今回の「KB5053598」についても、将来的に修正プログラムが提供される可能性は高いが、それまでの間、ユーザー側で対応策を講じる必要がある。
今後の選択肢としては、更新を見送る、または適用後に問題が発生した場合はすぐにロールバックするという対応が考えられる。ただし、セキュリティリスクを考慮すると、可能な限り迅速な修正パッチの提供が求められる状況だ。Microsoftの対応次第では、ユーザーにとって最適な選択肢も変わることになるだろう。
Microsoftの対応とユーザーが取るべき行動
現時点で、Microsoftは今回のアップデートに関する具体的な不具合について公式なアナウンスを行っていない。そのため、影響を受けたユーザーは、個々に対応を判断する必要がある。最も現実的な対策は、Windows Updateの設定から「KB5053598」をアンインストールする方法だ。ただし、セキュリティアップデートが適用されないリスクも考慮する必要がある。
また、これまでのMicrosoftの対応を振り返ると、今後のパッチで問題が修正される可能性は高い。過去のアップデートトラブルの際にも、Microsoftは数週間以内に修正プログラムをリリースすることが多かった。例えば、2023年のWindows 11の累積更新プログラムでは、プリンターの不具合が発生し、約2週間後に修正パッチが提供された経緯がある。今回も同様の流れをたどる可能性があるため、現状で更新を見送る選択肢も合理的といえる。
一方で、リモートワークや重要な業務でPCを使用しているユーザーにとっては、アップデートによる影響が致命的になる可能性がある。そのため、更新を適用する場合は、事前にシステムのバックアップを取ることが推奨される。特に、Windowsの「復元ポイント」を作成しておけば、問題が発生した際に迅速に元の状態に戻すことができる。
Microsoftの今後の動向に注目しつつ、ユーザーは自らの環境に応じた慎重な対応を取ることが求められる。アップデートの適用に慎重になるのは当然だが、同時にセキュリティリスクを無視することもできない。現時点では、個々の環境や用途に応じて、最適な対応を判断することが重要だ。