Windows 11の最新プレビューアップデート「KB5050092」の適用後、一部のUSB接続プリンターで意図しないランダムなテキストが印刷される問題が発生している。影響を受けたプリンターでは、ネットワークコマンドやプログラム関連の文字列が出力されるケースも報告されており、特に電源を入れた直後や再接続時に発生しやすいとされる。

この不具合の原因は、更新されたプリンタードライバーと印刷スプーラーとの競合にあるとみられ、Windows 11のバージョン23H2および22H2、さらにWindows 10の一部ユーザーにも影響が及んでいる。一方で、最新のWindows 11バージョン24H2ではこの問題は確認されていない。

Windows 11のアップデートが引き起こしたプリンターの異常な挙動

Windows 11のプレビューアップデート「KB5050092」の適用後、一部のUSB接続プリンターがランダムなテキストを印刷する問題が報告されている。この問題は、プリンターが意図しないネットワークコマンドやプログラム関連の文字列を出力するケースがあるというもので、特に電源を入れた直後や再接続時に発生しやすいとされる。

影響を受けるのは、Windows 11のバージョン23H2および22H2、さらにWindows 10の一部ユーザーであり、最新のWindows 11バージョン24H2では確認されていない。問題の原因は、更新されたプリンタードライバーと印刷スプーラーの間で発生した競合とみられている。Microsoftは現在、この問題の修正に向けた対応を進めており、暫定的な回避策として「Known Issue Rollback(KIR)」ツールの利用を推奨している。

この不具合は一見すると小さな問題に思えるが、業務用途でプリンターを利用している場合、予期しない印刷ミスが業務フローに支障をきたす可能性もある。特に、企業環境ではプリンターの信頼性が求められるため、慎重な対応が必要となる。

プリンタードライバーと印刷スプーラーの競合が引き起こす問題の本質

今回の問題の原因は、Windowsの印刷スプーラーとプリンタードライバーの間で発生した通信のずれにあると考えられている。印刷スプーラーは、プリンターへジョブを送信する役割を担っており、適切なデータフォーマットで印刷内容を処理する必要がある。しかし、アップデートによってドライバー側の挙動が変わり、スプーラーが誤ったデータをプリンターに送信してしまっている可能性がある。

特に今回のケースでは、プリンターが「POST /ipp/print HTTP/1.1」といったネットワーク関連のコマンドや、インターネット印刷プロトコル(IPP)のヘッダー情報を出力することが確認されている。これは、プリンターが本来処理すべき印刷データではなく、システム内部の通信データを印刷してしまっている状態だ。

このような問題は、ドライバーの互換性の変化や、Windowsの印刷システムの改修が影響している可能性が高い。Microsoftは過去にも印刷スプーラーに関連した不具合を発生させたことがあり、2021年には「PrintNightmare」と呼ばれる重大な脆弱性が発覚した経緯もある。印刷スプーラーは、Windowsの印刷機能の中核を担う重要なコンポーネントであり、少しの変更が広範囲に影響を及ぼす可能性がある。今回の問題も、こうしたWindowsの印刷システムの複雑さが影響していると考えられる。

予防策としてのKIRツールと今後の展開

Microsoftは、影響を受けたユーザーに対し「Known Issue Rollback(KIR)」ツールの利用を推奨している。このツールは、特定のアップデートによって発生した問題を一時的に巻き戻し、影響を受けた環境を以前の状態に戻すことができる仕組みだ。KIRは、主に企業向けのIT管理者が利用することを想定しているが、一般ユーザーも適用できる。

現時点では、恒久的な修正は提供されておらず、Microsoftは今後のアップデートで問題を修正する予定としている。そのため、ユーザー側でできる対策としては、KB5050092の適用を見送るか、すでにインストールしてしまった場合はKIRを活用することが重要となる。

今回のケースでは、最新のWindows 11バージョン24H2では問題が発生していない点も注目に値する。これは、Microsoftが新バージョンに向けて印刷関連のシステムを改修している可能性を示唆している。今後のアップデートでは、同様の問題が発生しないよう、印刷スプーラーの安定性向上が求められるだろう。

Windowsのアップデートは、新機能の追加やセキュリティ強化のために不可欠なものだが、同時に予期せぬ不具合を招くリスクも伴う。特にプリンターなどの外部デバイスとの互換性は、更新のたびに注意が必要なポイントであり、アップデート適用後は動作確認を怠らないことが重要だ。

Source:ExtremeTech