編集部
KPMG U.S.の新たな調査によると、生成型AIがビジネスに莫大な影響を及ぼすと経営者は考えているが、直ちに導入する準備が整っていないとの結果が出た。
生成型AI導入、3-5年後には組織への大きな影響を期待。しかし具体的な導入にはまだ時間がかかると回答
3月末の2週間で行われた調査によると、225人の米国の経営者の約2/3（65%）は、3年から5年後に生成型AIが自組織に大きな影響を及ぼすと予想し、他の新興技術よりもはるかに影響力が高いと認識している。しかし、ほぼ同じ割合である60%が、最初の生成型AIソリューションを導入するまでにはまだ1年から2年かかると回答した。
生成型AIは急速に経営者や取締役会の語彙に取り込まれ、その技術の利用可能性が増している。しかし、組織はこのペースについていくことが難しいと感じている。回答者の半数以下が、生成型AIを成功裏に導入するための適切な技術、人材、統治体制を持っていると回答している。回答者は、次の6-12ヶ月を生成型AIの動作についての理解を深め、内部の能力を評価し、生成型AIツールへの投資に注力すると予測している。
組織には中心となる人物やチームを指名して生成型AIの出現に対応する必要がある。しかし、68%の回答者はまだこの役割を果たす人物を指名していない。現時点ではIT部門が主導している。
企業が生成型AI導入を妨げる最大の障壁はコストと具体的なビジネスケースの不明確さ
調査対象である、年間売上高10億ドル以上の企業からの回答者は、生成型AIの導入を阻む最大の障壁としてコストと明確なビジネスケースの欠如を挙げている。現在、リーダーたちが最も懸念しているのはサイバーセキュリティとデータプライバシーであり、それぞれ81%と78%がこれらの問題に最も重点を置いている。
この調査は、生成型AIと現代の技術の進化速度に焦点を当てたKPMG U.S.の研究プロジェクトの一環として行われた。今後数週間のうちに、より詳細な分析と機能・業界の視点を深堀したデータが公開される予定である。
生成型AI導入の準備と課題：ビジネス変革の未来を見据えた対策は急務
KPMG U.S.の調査は、生成型AIの導入がビジネスに及ぼす影響と、組織が現在直面している課題を明らかにした。多くの経営者がAIの影響力を理解し、その導入を望んでいる一方で、現実的な準備や戦略が追いついていないのは大きな問題だ。
この状況は、新しい技術の導入という全般的な問題を反映している。企業はしばしば、革新的なテクノロジーについての期待感に取り込まれ、その導入に必要な具体的な戦略やリソースを見落とす傾向がある。特に、コストと明確なビジネスケースの不在は、生成型AI導入に対する最大の障害となっている。
また、調査結果からは、組織内で生成型AIに対する責任者やチームを指名していない企業が多いことが明らかになった。これは、AIのリーダーシップと戦略の必要性を示している。組織全体でのAI導入を成功させるには、明確なビジョンと統治体制が必要である。
これらの課題を解決するためには、まずは組織内でのAI導入に対する理解を深めることから始めるべきだ。次に、AIのビジネスへの具体的な影響を評価し、その結果をもとに戦略を策定する。そして最後に、AIを責任ある形で使用するためのガイドラインとプロセスを整備する。
生成型AIは、現代のビジネス環境で成功を収めるための重要なツールである。しかし、その力を最大限に引き出すためには、組織はまだ多くの課題を克服しなければならない。