オープンソースのWindows互換OS「ReactOS」が2025年3月15日に最新の進捗報告を発表した。しかし、期待されていた改善とは異なり、新たな問題が明らかとなった。最新のナイトリービルドではWindowsのオーディオスタックを利用して起動できるようになったものの、音が出ない不具合が確認された。
開発チームは「他のバグの影響」と説明しつつも、依然として完全なオーディオサポートには至っていないことを認めた。加えて、近年の進展が緩慢であることも懸念される。2023年にはUEFIブートの実装、2024年2月にはGUIベースのセットアップツール導入などの前進があったが、今回の報告では大きな機能改善は見られない。
一方、LiveUSBの対応は進んでおり、次期バージョン「0.4.15」でも利用可能となる予定だ。しかし、ReactOSが実用レベルに達するまでの道のりは依然として険しい。開発チームは今後の進捗を引き続き公開するとしているが、停滞感を拭えない状況が続く。
ReactOSの開発進捗と最新の技術的課題

ReactOSは、Windowsの代替を目指すオープンソースOSとして長年にわたり開発が続けられてきた。近年の進展として、2023年にはUEFIブート機能が実装され、LumiaやSteam Deckなどのデバイスでの動作が確認された。また、2024年2月にはGUIベースのセットアップツール「USETUP」が導入され、インストールの利便性が向上している。
しかし、2025年3月15日に発表された最新の進捗報告では、期待された機能強化よりも技術的な課題が浮き彫りとなった。Windowsのオーディオスタックを利用できるようになったものの、音声が出力されない不具合が報告された。開発チームは「他のバグが原因」と説明しているが、現時点では修正の具体的な見通しは示されていない。また、ReactOSには「限定的なオーディオサポート」が存在するとされるが、音声機能が十分に機能するにはさらなる改良が必要だ。
LiveUSB対応の進展など、一定の成果はあるものの、ReactOSが日常使用に耐えうる環境を提供するには、基本機能の安定化が不可欠である。今後の開発動向が注目される。
ReactOSの技術的課題と開発の停滞
ReactOSは、Windows XP互換の環境をオープンソースで再現するという壮大な目標を掲げている。しかし、プロジェクトの進行速度は決して速くはなく、開発の停滞感が指摘されることもある。今回の進捗報告では、オーディオ機能の不具合が発覚したものの、それ以外の大きな機能改善は見られなかった。
この背景には、ReactOSの開発リソースの制約があると考えられる。商業OSとは異なり、限られた開発者がボランティアベースで作業を進めているため、大規模な進化を遂げるには時間がかかる。例えば、UEFIブートの実装やGUIセットアップツールの導入といった機能は進展したものの、基本的な安定性や互換性の確保に多くの時間が費やされている。
また、Windows OSは年々進化しており、ReactOSが対応すべき技術的要件も変化している。Windows 11ではシステム要件が大幅に引き上げられたが、ReactOSはそれよりも低いスペックで動作することを強みとしている。しかし、最新のハードウェアとの互換性や、新しいAPIへの対応が遅れれば、実用性が損なわれる可能性もある。今後の開発進捗が鍵を握る。
ReactOSは実用化に向けて進むのか
ReactOSの開発は長期にわたるが、果たしてこのプロジェクトは実用レベルに達するのだろうか。現在の進捗を見る限り、部分的な進展はあるものの、商業OSと比べて未解決の課題が多い。特にオーディオ機能の不具合は、ユーザー体験に大きな影響を与える要素であり、修正が急務とされる。
また、ReactOSは主にエンタープライズ用途ではなく、個人ユーザーや技術愛好家の関心を集めるプロジェクトである。Windowsアプリケーションとの互換性が高まれば、旧世代のハードウェアでの活用が期待されるが、現状では安定した運用が保証されていない。この点は、他のオープンソースOSと比較しても大きな課題となる。
しかし、ReactOSはLiveUSBの対応など、今後の展開に期待できる要素も含んでいる。2025年の開発状況次第では、より実用的な選択肢となる可能性もある。だが、開発リソースの限界を考慮すれば、商用OSと競争できるレベルに達するにはまだ時間を要するだろう。
Source:Neowin