Appleが次期モデルとされる「iPhone 17 Air」の開発において、USB-Cポートすら排除した完全ポートレス設計を検討していたことが明らかになった。BloombergのMark Gurman氏によると、この構想はEU規制との摩擦を避けるため棚上げされたが、将来的な採用の可能性は依然として残されているという。
iPhone 17 Airはシリーズ最薄のデザインが特徴で、従来モデルより約2ミリメートル薄くなるとされる。また、約900ドル(約13万円)という価格帯で、エントリーモデルと上位機種の中間に位置すると見られている。6.6インチディスプレイ、Dynamic Island、Camera Controlボタンを備え、バッテリー持続時間は現行機種と同等となる見込みだ。
今週末にはリーカーのSonny Dickson氏がダミーモデルの写真を公開し、そのスリムな形状が注目を集めた。Appleは今年も4モデル展開を予定しており、iPhone 17 Airの仕様や販売戦略が今後のiPhoneシリーズの方向性を左右する可能性が高い。公式発表はまだなく、今後のリーク情報が待たれる。
Appleが検討した完全ポートレス化の狙いと技術的課題

Appleは「iPhone 17 Air」において、USB-Cポートすら廃止した完全ポートレス構想を検討していたとされる。近年、Appleはワイヤレス技術の強化に注力しており、iPhone 17 Airの設計においてもMagSafeを含むワイヤレス充電の普及を前提としたデザインを模索していた可能性がある。
ポートを廃止することで、デバイスの耐久性向上や防水性能の強化、さらなる薄型化を実現できる点は大きな利点といえる。しかし、完全ポートレス化には技術的な障壁も少なくない。現在のワイヤレス充電技術では、有線充電に比べて充電速度や効率の面で劣るほか、発熱の問題も指摘されている。
加えて、データ転送の手段が制限されることによるユーザーの不便さも無視できない要素だ。特にプロ向けの用途では、有線接続による高速データ転送が求められる場面も多いため、ポートレス設計がすべてのユーザーにとって最適とは言い難い。
Appleはこうした技術的課題を克服するために、ワイヤレス通信技術のさらなる向上を図る可能性がある。近年、Appleが開発を進めるUWB(Ultra-Wideband)技術は、将来的なデータ転送の代替手段として注目されており、ポートレス化に向けた布石と考えられる。
また、MagSafe技術の進化により、より高速なワイヤレス充電が可能になれば、ポートレス設計の実現が現実味を帯びてくるかもしれない。
EU規制がAppleのポートレス計画に与えた影響
AppleがUSB-Cポートの廃止を断念した背景には、EUの規制が大きく関係しているとみられる。EUは2024年以降、新たに発売されるスマートフォンにUSB-Cポートの搭載を義務付ける規制を導入する。この規制の目的は、充電規格の統一による電子廃棄物の削減と消費者の利便性向上にあるが、Appleにとっては戦略的な自由度を制限される要因となった。
Appleはこれまで独自のLightningポートを採用し続け、エコシステムの統一を図ってきた。しかし、EUの規制によりiPhone 15シリーズからUSB-Cポートを導入せざるを得なくなった経緯がある。こうした状況下で完全ポートレス化に踏み切れば、新たな法的問題が発生する可能性があったため、Appleは一旦この構想を見送る判断を下したと考えられる。
ただし、Appleがポートレス化を完全に断念したわけではない。Gurman氏の報道によれば、iPhone 17 Airの市場での反応次第では、今後のiPhoneシリーズにおいてポートレスモデルを再び検討する可能性があるという。Appleは過去にも、先進的なデザインや機能を段階的に導入する戦略をとってきた。
例えば、イヤホンジャックの廃止は当初賛否が分かれたが、現在では業界全体が追随する流れとなっている。USB-Cポートも同様に、長期的な視点で見ればAppleが再び独自の道を模索する可能性は十分に考えられる。
iPhone 17 Airが示すAppleの戦略と市場への影響
iPhone 17 AirはApple史上最も薄いiPhoneとして設計されており、他のモデルより約2ミリメートル薄くなるとされる。約900ドル(約13万円)という価格設定は、エントリーモデルと上位モデルの中間に位置し、新たなターゲット層を開拓する狙いがあるとみられる。このモデルの登場は、今後のiPhoneラインナップの構成や販売戦略に大きな影響を及ぼす可能性がある。
近年のスマートフォン市場では、折りたたみ式端末やゲーミング特化型モデルなど、各社が独自の価値を打ち出す競争が激化している。Appleはそうしたトレンドとは一線を画し、あくまで洗練されたデザインとシンプルなユーザー体験を追求する姿勢を崩していない。iPhone 17 Airの薄型化も、その延長線上にあると考えられる。
一方で、薄型化が進むことでバッテリー容量の制約や放熱対策の課題も生じる。Gurman氏によれば、iPhone 17 Airのバッテリー持続時間は現行モデルと同等とされるが、薄型化により内部スペースが限られる中で、どのような技術的工夫が施されるのか注目される。
Appleはこれまでのモデルでもバッテリー効率の向上に注力してきたが、iPhone 17 Airが市場でどのように評価されるかが、今後の開発方針に影響を与える可能性がある。現在のところ、Appleは正式な発表を行っておらず、今後もリーク情報が相次ぐことが予想される。iPhone 17 Airが市場でどのような位置付けを確立するのか、その動向が注目される。
Source:Engadget