Microsoftは、Windows 11版「Paint」に搭載されたAI機能を「Copilot」ハブに統合し、すべてのユーザーに向けて展開を開始した。「Generative Erase」や「Image Creator」といった既存のAIツールが、ツールバー内の「Copilot」ボタンに集約され、一元的に利用可能となった。
新たな「Copilot」ハブでは、画像生成、オブジェクトの消去、背景の削除が簡単に操作できるほか、NPU搭載デバイス向けに手描きイラストをアートに変換する「Cocreator」も搭載。Microsoftは今後もこの統合基盤に新機能を追加していくとみられ、「Paint」の進化が加速している。
Microsoft Paintの「Copilot」ハブがもたらす変化とは

Microsoftは2025年3月、Windows 11の「Paint」にAI機能を統合する「Copilot」ハブを導入した。これにより、「Generative Erase」や「Image Creator」などの既存機能がツールバーの「Copilot」ボタンに集約され、利便性が向上した。特に、これらの機能はInsiderプログラムに参加していない一般ユーザーにも提供される点が大きな変化といえる。
「Copilot」ボタンを押すことで、画像の生成やオブジェクトの削除、背景の除去などの作業がスムーズに行えるようになった。さらに、NPU搭載デバイス向けには「Cocreator」が提供され、手描きのイラストをプロ仕様のアートに変換することが可能となる。Microsoftがこのような統合を進める背景には、AI機能の拡充を通じて「Paint」の役割を単なる画像編集ツールから、クリエイティブな制作環境へと進化させる意図があると考えられる。
今後、「Copilot」ハブを通じて新たな機能が追加される可能性もあり、単純な画像編集ソフトとしての枠を超えた「Paint」のさらなる進化が注目される。
「Copilot」ハブ内の主要AI機能とその活用法
「Copilot」ハブには、以下の4つの主要なAI機能が搭載されている。「Image Creator」「Generative Erase」「背景の削除」、そして特定のデバイス向けの「Cocreator」だ。それぞれの機能が異なる用途を持ち、画像編集の幅を広げるものとなっている。
「Image Creator」は、テキスト入力に基づきAIが画像を生成する機能で、ユーザーは「アニメ」「油絵」「フォトリアリスティック」など複数のスタイルを選択できる。これにより、デジタルアートの制作がより直感的になり、手軽にプロ仕様のビジュアルを作成できる。
「Generative Erase」は、画像内の不要なオブジェクトをAIが認識し、自然な形で削除する機能だ。ユーザーは消したい部分をなぞるだけで処理が完了し、従来の手動での編集よりも大幅に手間を削減できる。「背景の削除」機能も同様に、画像の背景をワンクリックで除去し、透明なPNGファイルとして保存することが可能で、デザイン用途に適している。
一方、「Cocreator」はNPUを搭載したデバイス専用の機能で、手描きイラストをAIが補完し、より完成度の高いアートワークに仕上げる。これらの機能が「Copilot」ハブに統合されたことで、ユーザーの創造力を最大限に引き出す環境が整ったといえる。
Microsoftが「Paint」をAIツールとして強化する狙い
Microsoftは「Paint」にAI機能を追加することで、単なる基本的な画像編集ソフトから、より高度なクリエイティブツールへと進化させようとしている。特に「Image Creator」や「Cocreator」といった機能は、グラフィックデザインの専門知識がないユーザーでも手軽にアートワークを作成できる点が特徴だ。
また、今回の「Copilot」ハブの導入は、AI機能の利便性を向上させると同時に、今後のアップデートを見据えた土台作りでもあると考えられる。Microsoftは近年、Office製品やEdgeなどにもAIを組み込み、業務効率化を推進している。「Paint」においても、より高度な画像編集技術をAIで補完し、ユーザーの創造力を引き出すことを狙っているとみられる。
今後、AIの精度向上や新機能の追加が進めば、「Paint」は単なるWindows標準のアプリではなく、クリエイティブ用途にも耐えうるツールへと変貌する可能性がある。Microsoftが「Copilot」ハブを通じてどのような展開を見せるのか、その動向に注目が集まる。
Source:Windows Latest