GoogleはAndroid 16 Beta 3において、デスクトップウィンドウモードの利便性を大幅に向上させる新機能を追加した。従来、開いたウィンドウを閉じる以外に非表示にする方法がなかったが、新たにヘッダーバーに最小化ボタンが実装され、タスクバーからの再表示が可能になった。

また、YouTubeなど一部のアプリはデスクトップウィンドウモードでピクチャーインピクチャー機能を利用できるようになり、Chromeではタブを独立したウィンドウとして分離することも可能になった。これらの改良は、Androidが本格的なデスクトップOSへ進化する布石とみられ、Googleが開発中とされる「Desktop View」の実装に向けた重要なステップとなる可能性がある。


Android 16が強化するデスクトップウィンドウ機能 最小化による利便性向上

Android 16 Beta 3では、デスクトップウィンドウモードの実用性が一段と向上した。最大の変更点は、ウィンドウの最小化機能の追加である。従来の仕様では、開いたウィンドウを閉じるか、手動で並べ替えるしかなかったが、新たにヘッダーバーに最小化ボタンが搭載された。これにより、不要なウィンドウを一時的に非表示にし、タスクバーのアプリアイコンから簡単に復元できるようになった。

また、ウィンドウが最小化されると、タスクバー上のインジケーターが縮小し、開かれると再び拡大する仕様となっている。この視覚的なフィードバックにより、ユーザーは開いているアプリの状態を直感的に把握できるようになった。さらに、すべてのアプリが最小化されると、Androidは自動的にデスクトップウィンドウモードを終了し、通常のモードに戻る。これにより、複数のアプリを効率的に管理しつつ、シームレスに切り替えられる環境が実現された。

この機能の追加は、タブレットをノートPCのように活用する試みの一環とみられる。Androidは従来、ウィンドウ管理の自由度が低かったが、昨年12月に導入されたデスクトップウィンドウモードと今回の改良によって、より多用途な使い方が可能になりつつある。Googleが推進するタブレット市場の拡大にとっても、こうした改善は重要な要素となるだろう。

ピクチャーインピクチャーやChromeの独立ウィンドウ機能 Androidのマルチタスク強化へ

Android 16 Beta 3では、最小化機能の追加に加え、デスクトップウィンドウモードの拡張が行われた。特に注目されるのは、YouTubeなどのアプリでピクチャーインピクチャーモード(PIP)の利用が可能になった点である。動画を視聴しながら別のアプリを操作することができるため、タブレットの大画面を活かしたマルチタスクが容易になる。

また、Chromeではタブをドラッグして独立したウィンドウとして開くことが可能になった。これにより、1つのブラウザ内に複数のタブを管理するだけでなく、複数のウィンドウを並行して操作できるようになった。特に、大画面のタブレットではこの機能が有効であり、作業効率の向上が期待される。これらの改善は、従来のAndroid環境では実現が難しかった本格的なマルチウィンドウ操作の実現に向けた大きな一歩といえる。

このような改良は、Androidを単なるモバイルOSから、より多用途なプラットフォームへ進化させる試みの一環とみられる。特にタブレット市場では、AppleのiPadOSが先行しているが、Androidのこうした機能強化がユーザーにとっての新たな選択肢を広げる可能性がある。今後のアップデートで、より高度なウィンドウ管理機能が追加されれば、タブレットの業務利用の幅がさらに広がるだろう。

Androidの「デスクトップOS化」は進むのか 今後の展望

Androidのデスクトップウィンドウモードの進化は、単なる機能追加にとどまらない。Googleは「Desktop View」と呼ばれる新しいデスクトップモードの開発を進めていると報じられており、Androidが本格的なデスクトップOSへとシフトする可能性が浮上している。今回の最小化機能の追加やPIP、Chromeのウィンドウ分割機能は、その布石とも考えられる。

現在のデスクトップウィンドウモードは、基本的なウィンドウ操作にとどまっており、PCのような本格的なデスクトップ環境にはまだ及ばない。しかし、今後、より高度なウィンドウ管理やマルチディスプレイ対応が進めば、AndroidがノートPCに匹敵するデバイスとして機能する可能性もある。特に、ChromeOSとの連携が深まれば、Androidタブレットの利用価値は飛躍的に向上するだろう。

こうした動きは、タブレット市場にとっても重要な意味を持つ。AppleのiPadはiPadOSによるデスクトップライクな体験を提供しているが、Androidは未だにスマートフォン向けのインターフェースから抜け出せていない。今後、GoogleがデスクトップクラスのOSを本格的に推進するのか、それとも従来のモバイル路線を維持するのかが注目される。

Source:Android Authority