ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが過去最高額となる3,340億ドル(約50兆円)の現金を保有している。この膨大な資金は、過熱する市場への慎重な姿勢を示すものなのか、それとも新たな投資機会を待つ布石なのか
昨年、同社は1,340億ドル規模の大規模な株式売却を行い、アップルやバンク・オブ・アメリカなどの主要銘柄を削減した。特にアップル株の売却は67%にも及び、市場のリスク評価が変化している可能性がある。
バフェットは一貫して、市場の過熱局面では売却し、暴落時に買い戻す戦略を貫いてきた。S&P 500が調整局面に入る中、この巨額の現金がいつ、どのタイミングで市場に投入されるのかが、今後の投資環境を左右する鍵となるだろう。
バフェットの巨額現金保有が示す市場の警戒信号

バークシャー・ハサウェイの現金保有額は3,340億ドル(約50兆円)に達し、過去最高を記録している。この規模の現金確保は、バフェットが市場のリスクを強く意識していることを示唆するものといえる。彼は長年、株式市場が過熱すると売却を進め、下落局面で再び買い戻す戦略を貫いてきた。
特に2024年には1,340億ドル相当の株式を売却し、アップルやバンク・オブ・アメリカといった主要銘柄の比率を大幅に縮小した。アップル株の売却比率は67%に達し、保有額は1,740億ドルから750億ドルへと激減した。これは、バフェットがこれらの銘柄のバリュエーションを過大と見ている可能性を示唆している。
また、バンク・オブ・アメリカの保有株も34%削減されるなど、金融株への慎重な姿勢がうかがえる。市場は現在、S&P 500が調整局面に入り、一部の優良銘柄が15%以上の下落を見せている。バフェットがさらに市場の下落を待っているのか、あるいは投資の好機をうかがっているのかは、今後の動向を注視する必要がある。
アップル株大量売却の背景と市場評価の変化
バフェットは2024年、アップル株の保有を67%削減し、大幅な売却を実施した。これにより、同社のアップル株保有価値は1,740億ドルから750億ドルへと減少した。この動きは市場に大きな衝撃を与え、多くの投資家が「長期的に安全な銘柄」と考えていたアップルの評価を見直す契機となった。
アップル株の売却理由として、バフェットは税務上の要因を挙げているが、より深い背景にはバリュエーションの問題があると考えられる。現在、アップルの株価収益率(PER)は28.5倍に達し、AI関連銘柄として注目されるエヌビディアよりも割高な水準にある。また、成長率がわずか2%にとどまるなか、このPERを維持する正当性が問われている。
バフェットがティム・クックCEOとの関係を重視し、完全にアップル株を手放す可能性は低いものの、今回の売却で彼の初期投資額はすでに回収されている。そのため、残る株式は「利益分」として保持され、リスクが抑えられた形となっている。この一連の動きは、今後のアップル株の評価に影響を与え、投資家がバリュエーションに対してより慎重になる契機となるかもしれない。
バフェットの次の一手 市場への再参入はいつか
過去の投資パターンを振り返ると、バフェットは市場の下落局面で積極的に買いを入れることで知られる。現在、彼の保有する現金は過去最高に達しており、市場がさらなる調整局面に突入すれば、大規模な買いが行われる可能性がある。
S&P 500はすでに調整局面に入っており、一部の優良銘柄は15%以上の下落を記録している。しかし、バフェットはまだ本格的な買いを開始しておらず、さらなる市場の混乱を待っている可能性もある。歴史的に見ると、彼は市場のピーク時に売却を進め、大幅な下落を待った後に資金を投入する戦略を採ってきた。
過去の事例を踏まえると、バフェットの買いが本格化するタイミングは市場にとっても重要なシグナルとなる。市場が底を打ったと判断すれば、彼は再び積極的な買いを開始する可能性が高い。今後、バフェットの動きを注意深く観察することで、市場の転換点を見極める手がかりが得られるかもしれない。
Source:24/7 Wall St.