AIの進化を支える高帯域幅メモリ(HBM)の競争が激化する中、サムスンがNvidiaのGTC 2025で最新のメモリ技術を披露することが明らかになった。今回発表されるのは、AIアクセラレーター向けのHBMとエンタープライズ向けソリッドステートドライブ(eSSD)で、サムスンはこれらを武器に市場シェアの拡大を狙う。
特にHBM市場ではSKハイニックスが品質面で優位に立つ状況が続いており、サムスンは新たな戦略で巻き返しを図る。Nvidiaとの共同プレゼンでは、RTX 50シリーズGPUにサムスンのGDDR7メモリが採用されていることも強調される見込みだ。
サムスンがGTC 2025で披露する最新HBMとeSSDの詳細

サムスンはGTC 2025で、AI向けに特化した高帯域幅メモリ(HBM)とエンタープライズ向けソリッドステートドライブ(eSSD)を発表する予定だ。HBMはAIアクセラレーターのパフォーマンスを左右する重要な要素であり、今回の発表でサムスンがどのような進化を遂げたのかが注目される。
HBMは、大量のデータを高速処理するために複数のメモリチップを積層し、高速インターフェースを用いる技術だ。サムスンはすでにHBM3Eの開発に取り組んでいるとされ、今回のGTC 2025ではその最新バージョンが公開される可能性がある。一方、eSSDはデータセンター向けのストレージとして高い耐久性と高速処理を兼ね備える製品で、AIワークロードの効率化に貢献することが期待される。
HBM市場ではSKハイニックスが高品質な製品を提供しており、サムスンはシェアの拡大に向けた巻き返しを図っている。今回のGTC 2025での発表は、サムスンがAI分野での存在感を再び高めるための重要な一手となるだろう。
Nvidiaとの共同プレゼンで強調されるGDDR7の役割
サムスンはNvidiaと共同でプレゼンテーションを行い、RTX 50シリーズGPUに搭載されるGDDR7メモリについても言及する予定だ。GDDR7は従来のGDDR6と比べてデータ転送速度が向上し、AIやゲーム向けのグラフィックス処理をさらに高速化する。
GDDR7の最大の特徴は、1ピンあたり32Gbpsのデータ転送速度を実現するPAM3(Pulse Amplitude Modulation 3)技術の採用にある。これにより、帯域幅が大幅に向上し、RTX 50シリーズのパフォーマンス向上に寄与する。特に、レイトレーシングやAIを活用した画像生成技術が求められる場面で、その恩恵が大きくなるとみられる。
GDDR7の供給競争では、サムスンが先行しており、Nvidiaとのパートナーシップを通じて市場での影響力を拡大している。GTC 2025では、この技術の詳細や、今後の展開についての発表が期待される。
SOCAMMと1b DRAM技術がHBMを超える可能性
HBMの進化が続く一方で、サムスンとNvidiaは新たなメモリ技術としてSOCAMM(システム・オン・チップ・アドバンスト・メモリ・モジュール)を開発していると報じられている。SOCAMMはモジュール設計を採用し、HBMよりも柔軟なメモリ構成が可能になるとされる。
SOCAMMの強みは、システムオンチップ(SoC)に直接統合することで、レイテンシーを抑えながら高性能を維持できる点にある。これにより、AIアクセラレーターやデータセンター向けのソリューションとして、従来のHBMを補完または置き換える可能性がある。
さらに、サムスンの1b DRAM技術を活用した次世代HBMモジュールも開発が進められている。この技術により、HBMの容量や速度がさらに向上する可能性があり、GTC 2025での発表が期待される。メモリ技術の進化はAIの性能向上に直結するため、今回の発表が今後の業界の方向性を示す重要なイベントとなるだろう。
Source:SamMobile