キャシー・ウッド氏率いるARK ETFは、2025年3月14日に大規模なポートフォリオ調整を実施した。最大の取引はUIPATH(NYSE:PATH)の売却で、ARKKおよびARKWを通じ125万株以上を売却し、約1,247万ドルを現金化した。この売却は、最近のUIPATH株の継続的な削減方針を反映している。
一方でARKは、GITLAB(NASDAQ:GTLB)の取得を強化し、ARKKとARKWで約104,000株を追加購入。520万ドル以上を投資し、前日からの買い増し戦略を継続した。さらにIBOTTA(NASDAQ:IBTA)も79,201株を取得し、317万ドルを投じたほか、INTELLIA THERAPEUTICS(NASDAQ:NTLA)の株式も購入した。
売却の動きとしては、CAREDX(NASDAQ:CDNA)、PRIME MEDICINE(NASDAQ:PRME)、ROBLOX(NYSE:RBLX)などの銘柄を手放し、現金化を進めた。ARKのこれらの取引は、長期的な投資戦略の一環として市場関係者の注目を集めている。
欧州市場での販売低迷が示すテスラの苦境

テスラは欧州市場で大幅な販売減少に直面している。2025年2月のドイツ市場ではわずか1,429台の納車にとどまり、前年同月の6,000台以上と比べて76%の急減となった。特に、主力車種であるモデルYとモデル3の販売が大幅に落ち込んでおり、市場の需要動向に変化が生じている可能性がある。モデルYのデザイン刷新による影響を指摘する声もあるが、モデル3の販売も同時に40%減少しており、一時的な要因では説明しきれない状況だ。
欧州市場におけるEV需要は依然として高いが、競争環境は厳しさを増している。ドイツ国内ではフォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツが電動化戦略を強化し、消費者に多様な選択肢を提供している。特に、現地生産のEVが増加していることは、テスラにとって大きな課題となる。さらに、ドイツ政府はEV補助金の縮小を進めており、価格面での競争力がより重要になってきている。
テスラが販売回復を図るには、競争力のある価格戦略と魅力的な新型モデルの投入が不可欠だ。だが、現時点では目立った対策が打ち出されておらず、今後の販売動向が不透明なままとなっている。モデルYのアップデートが市場に与える影響や、新たな価格調整がどこまで需要を喚起できるのかが注目される。
中国市場の苦戦と地場メーカーの台頭
中国市場におけるテスラの苦戦が鮮明になっている。中国乗用車協会のデータによると、テスラの販売台数は5か月連続で前年同期を下回り、2025年2月には前年比49%減となった。これは2022年7月以来の最低水準であり、中国市場でのシェア低下を示唆している。
テスラが中国で苦戦している要因の一つは、地元メーカーの台頭である。BYDは2025年2月に中国国内で318,000台以上のEV・プラグインハイブリッド車を販売し、前年同期比で161%の成長を記録した。BYDだけでなく、NIOやXpengといった新興メーカーも、より低価格で競争力のあるEVを市場に投入しており、消費者の選択肢が広がっている。
テスラは価格競争の激化に対応するため、たびたび値下げを行っているが、その影響が限定的になりつつある。低価格帯のEVが充実する中で、テスラが従来のブランド力だけで競争を勝ち抜くのは容易ではない。中国政府のEV産業支援策が地場メーカーに有利に働く中、テスラはさらなる価格戦略の見直しと、技術面での差別化を進める必要に迫られている。
低金利ローンの復活が示唆する需要の変化
テスラは2025年第1四半期の販売促進策として、新型モデル3の購入者向けに年利0%または0.99%の低金利ローンを復活させた。これまでテスラは値下げを中心に需要を喚起してきたが、今回の金融支援策は異例の動きと言える。この背景には、消費者の購買意欲が減退し、価格調整だけでは販売回復が難しくなっている現状があると考えられる。
低金利ローンの導入は、短期的な販売促進には一定の効果をもたらす可能性がある。しかし、この戦略はテスラの利益率を圧迫するリスクも伴う。これまで同社は高い利益率を維持してきたが、価格競争の激化と相まって、今後の収益構造に影響を及ぼすことは避けられない。
また、低金利ローンの導入は、在庫の増加や販売不振を示唆しているとの見方もある。もし今後も販売促進策が強化されるようであれば、需要の鈍化がより深刻であることを意味するかもしれない。テスラの成長を支えてきた高いブランド価値と価格戦略が、今後どのように変化していくのかが注視される。
Source:Investing.com