AI市場の先頭を走るNvidia(NVDA)は、急成長を遂げた後に2025年に入り株価が低迷した。米中貿易摩擦や中国製AIチップの台頭などが逆風となり、投資家の信頼が揺らいでいる。一方で、第4四半期決算では売上高が前年比78%増の393億ドルと予想を超え、データセンター市場の支配力を維持している。

こうした状況の中、Rosenblatt SecuritiesはNvidiaの目標株価を220ドルに設定し、現在の水準から80%の上昇余地を指摘した。新型「ブラックウェル」チップの高い需要が鍵を握るとみられ、同社の成長ストーリーは終わっていないとする見方も強まっている。

AI需要の加速がNvidiaの再浮上を後押しする可能性がある一方で、市場の変動要因には注意が必要だ。投資家の関心が再び高まる中、同社の動向は今後も市場を大きく左右するだろう。

Nvidiaの株価低迷の背景 市場環境と競争の変化

Nvidia(NVDA)は長年にわたりAI向けチップ市場のリーダーとしての地位を確立してきたが、2025年に入り株価は低迷した。これは、AI需要が依然として拡大しているにもかかわらず、いくつかの外部要因が影響を与えたためである。特に、市場全体の成長鈍化や米中貿易摩擦の激化が大きな要因となった。米国政府の輸出規制により、中国市場への供給が制限され、収益の成長ペースが鈍化したことが投資家心理に悪影響を及ぼした。

加えて、AIチップ市場では低コストの中国メーカーが台頭しており、競争環境が激化している。これまでNvidiaのハイエンドGPUは市場を独占していたが、競合が新技術を投入し価格競争を仕掛けることで、同社の利益率に圧力がかかる状況が生じている。さらに、テクノロジー株全体の調整局面も影響し、株価は年初来で10%下落し、マグニフィセント・セブンの中で2番目に低いパフォーマンスとなった。

しかし、長期的に見れば、Nvidiaの技術力と市場での優位性は依然として揺るぎないものであり、短期的な逆風を乗り越えられるかどうかが今後の焦点となる。特に、新製品「ブラックウェル」チップの販売拡大がカギを握るとされており、今後の市場動向が注目される。

Nvidiaの第4四半期決算と新たな成長戦略

Nvidiaは2025年度第4四半期決算で市場予想を上回る成長を記録した。売上高は393億ドルで前年比78%増、調整後1株当たり利益(EPS)は0.89ドルで、ウォール街の予想を上回る結果となった。特にデータセンター部門の売上は前年比93%増の356億ドルに達し、AI市場での支配力を示した。H200 Hopperチップの需要が継続し、新型ブラックウェルチップも市場投入が進んでいる。

この成長を支える要因の一つが、クラウド事業者や企業向けのAIシステム需要の拡大である。企業がAI導入を本格化する中、高性能なNvidiaのGPUが求められている。また、同社は新たな分野への進出にも積極的で、自動運転や医療分野への応用を進めている。CEOのジェン・スン・ファン氏は、ブラックウェルAIスーパーコンピューターの大規模生産をすでに開始し、短期間で数十億ドル規模の売上を生み出すと発言している。

一方で、利益率の低下も見られた。粗利益率は前年の76%から73%に減少し、これは新製品投入に伴う短期的なコスト増が影響している。今後、これらのコストをどのように管理しながら成長を維持するかが、同社の次なる課題となる。

Nvidia株価の今後の行方 強気予測とリスク要因

Rosenblatt SecuritiesはNvidiaの目標株価を220ドルに設定し、現在の水準から80%の上昇余地があると見ている。この予測の根拠として、AI市場の拡大とNvidiaの技術力の優位性を挙げている。同社のGPUはAIシステムの基盤となる存在であり、クラウドプロバイダーや企業がAI技術への投資を加速させる中、その需要は長期的に高まると予測されている。

ただし、Nvidiaの株価上昇にはいくつかのリスク要因もある。まず、米中関係の悪化が続けば、Nvidiaの輸出制限がさらに強化される可能性がある。また、中国市場をターゲットにする新興企業の成長により、Nvidiaのシェアが徐々に浸食されるリスクも否定できない。さらに、世界的な経済減速が進めば、AI関連の設備投資が鈍化し、Nvidiaの収益成長が抑制される可能性も考えられる。

ウォール街では依然としてNvidiaへの期待が高く、アナリストの大多数が「強い買い」との評価を維持している。しかし、市場の変動要因を慎重に見極める必要があり、今後の業績推移と新製品の市場受容度が株価の方向性を決定することになるだろう。

Source:Barchart.com