HuaweiのHiSiliconが開発する次世代PC向けプロセッサ「Kirin X90」に関する新たなリークが登場した。AppleのM3チップと比較される性能を持つとされ、IntelのCore Ultraシリーズと共通する仕様を採用する可能性が指摘されている。

リークによれば、Kirin X90はARMベースの命令セットを採用し、5nmまたは7nmプロセスで製造される見込みだ。さらに、統合DRAMを搭載することで効率的なパフォーマンスを実現するとみられている。また、中国の公式な安全認証を取得したことも示唆されており、Huaweiの他に龍芯や神態信息技術といったメーカーのコンポーネントが関連リストに含まれていることが確認された。

Kirin X90の仕様とApple M3・Intel Core Ultraとの比較

Huaweiの次世代PC向けプロセッサ「Kirin X90」は、AppleのM3チップやIntelのCore Ultraシリーズと競合する可能性があるとされる。リーク情報によれば、このプロセッサはARMベースの命令セットを採用し、5nmまたは7nmプロセスで製造される見込みだ。特に、統合DRAMを搭載する点はAppleのMシリーズと共通しており、高速なデータ処理と電力効率の向上が期待される。

一方、IntelのCore Ultraシリーズはx86アーキテクチャを採用し、従来のPCソフトウェアとの互換性を確保しつつ、AI処理能力を強化している。Kirin X90はARMベースであるため、Macと同様にソフトウェアの最適化が求められる点が異なる。また、リークでは「Kirin X90がApple M3と比較される性能を持つ」とされているが、具体的なベンチマークデータは示されていない。

Huaweiはこれまでスマートフォン向けのKirinチップで高いパフォーマンスを実現してきた。PC向けのKirin X90がどの程度の性能を発揮するのかは不明だが、AppleやIntelの競争が激化する中で、ARMベースの新たな選択肢として市場に影響を与える可能性がある。

Kirin X90の統合DRAMと中国国内での認証取得

Kirin X90の特徴の一つとして、統合DRAMを採用している点が挙げられる。統合DRAMはプロセッサとメモリを一体化することで、データ転送の高速化と消費電力の削減を実現する技術だ。AppleのMシリーズはすでにこの方式を採用しており、Huaweiも同様のアプローチを取ることで、競争力の向上を図っていると考えられる。

また、Kirin X90は中国の公式な安全認証を取得したとされ、これは市場投入が近いことを示唆している。この認証リストにはHuawei以外にも、龍芯(Loongson)や神態信息技術(Shentai Information Technology)などの企業が関与しており、中国国内の半導体技術の発展においてKirin X90が重要な役割を果たす可能性がある。

統合DRAMの採用は、特にバッテリー駆動のノートPCにとって有利な要素となる。従来のDRAMと比較してレイテンシが低減されるため、ゲームやクリエイティブ用途など負荷の高い作業でも安定した動作が期待できる。しかし、統合型のメモリ設計は拡張性に制約があるため、ユーザーが後からメモリ容量を増やすことができないという課題も存在する。

2025年3月末の正式発表に向けた市場の期待と課題

Kirin X90の正式発表は2025年3月末になる可能性が高いとリーク情報は伝えている。HuaweiがPC向けの高性能プロセッサを発表することになれば、AppleやIntelに対抗する新たな選択肢が生まれることになる。特に、中国国内市場では自国製の半導体を支持する動きが強まっており、Kirin X90の需要が高まることが予想される。

しかし、課題も少なくない。ARMベースのPC向けプロセッサは、ソフトウェアの最適化が不可欠であり、AppleのMシリーズのようにエコシステムが整っていなければ、パフォーマンスを十分に発揮できない可能性がある。Huaweiは自社製OSである「HarmonyOS」を展開しているが、Kirin X90がどのプラットフォームで動作するのかはまだ明確ではない。

また、グローバル市場への展開に関しても制約が予想される。Huaweiの半導体事業は制裁措置の影響を受けており、Kirin X90が国外のPCメーカーに採用される可能性は低いと考えられる。とはいえ、中国国内市場においては競争力のあるプロセッサとなる可能性があり、今後の動向が注目される。

Source:NotebookCheck