Intelの最新CPU「Core 7 240H」のベンチマーク結果が公開されたが、その性能はCore i7-12800Hとほぼ同じであることが明らかになった。
Core 7 240Hは、既存のCore i7シリーズを置き換えるミドルレンジ向けCPUとされるが、ベンチマークデータによると、3年前のCore i7-12800Hとの性能差は5%未満。高効率コアの削減により消費電力の低減は期待されるが、実際のパフォーマンス向上は限定的だ。
Core 7 240Hの実力は? ベンチマークで見えた限界

IntelのCore 7 240Hは、最新のノートPC向けプロセッサとして登場したが、そのベンチマーク結果を見る限り、従来のCore i7-12800Hとほぼ同じ性能にとどまっている。NotebookCheck.netの検証によると、両者の性能差は5%未満で、体感できるレベルの向上は期待しにくい。
特にCPU負荷の高い処理においては、3年前のCore i7-12800Hと同等のスコアを記録しており、新型ならではの強みは見受けられない。これは、Core 7 240HがRaptor Lake-Hアーキテクチャを採用しているためで、根本的な技術革新がないことが影響していると考えられる。
消費電力の面でも劇的な改善は見られない。Prime95によるストレステスト時にはスロットリングが発生し、最大消費電力は125.6Wに達した。一方、Core i7-12800Hを搭載したノートPCも最大126.5Wを記録しており、両者の差はわずかだ。高負荷時における発熱や電力管理の最適化も、大きく変わってはいないようだ。
Core 7 240Hは進化かリブランドか 過去モデルと比較
Core 7 240Hは、従来のCore i7シリーズと比べて何が変わったのか。その最大の違いは、高効率コア(Eコア)の数が半減した点にある。Core i7-12800HやCore i7-13700HがEコアを8基搭載していたのに対し、Core 7 240Hは4基に減少。にもかかわらず、性能差がほとんどないことから、低負荷時の動作効率は向上している可能性がある。
一方で、負荷のかかる処理ではPコア(高性能コア)が主に稼働するため、Eコアの削減による影響は限定的だ。Blenderのレンダリングテストでは、Core 7 240Hが383秒、Core i7-12800Hが337秒という結果となり、むしろ新型のほうがやや劣る場面も見られる。この点を考えると、パフォーマンスの向上を求めるユーザーには、魅力的なアップグレードとは言えない。
また、Intelの新ブランド戦略の一環として、Core Ultraシリーズと並行してCore 7シリーズが展開されているが、Core UltraにはAI機能が統合されているのに対し、Core 7 240Hは従来型の設計を引き継いでいる。そのため、次世代PCの要素を求める場合には、Core Ultraのほうが適しているだろう。
Core 7 240Hを選ぶべきか 既存ユーザーの視点
最新のIntel CPUというだけでCore 7 240Hを選ぶのは慎重になるべきだ。すでにCore i7-12800Hやi7-13700Hを搭載したノートPCを使用している場合、大幅なパフォーマンス向上は期待できず、買い替えのメリットは少ない。
ただし、新規購入を検討している場合は、コストパフォーマンスの観点で選択肢に入る可能性がある。Core 7 240Hは、一定のパフォーマンスを維持しつつ、Eコアの削減によって省電力性能が若干向上していると考えられるため、バッテリー駆動時間を重視するユーザーには適しているかもしれない。
また、最新のAI関連機能を求める場合は、Core Ultraシリーズを検討するほうが良いだろう。特に、AI支援機能を活用するクリエイティブ用途や、長期的なアップグレードを視野に入れる場合は、Core Ultra 7やUltra 9のほうが将来的な選択肢として有利だ。Core 7 240Hは、あくまで既存のIntel CPUと同等の性能を持つノートPC向けの標準モデルとして位置付けられるだろう。
Source:NotebookCheck.net