2025年2月のCPU市場で、AMDがIntelを圧倒的に上回る販売成績を記録した。特に「Ryzen 7 9800X3D」は単独で8,000台以上を売り上げ、他のCPUを大きく引き離す結果となった。

AMDの「X3D」シリーズは引き続き市場を支配しており、Ryzen 5000、7000、9000シリーズの各モデルも安定した売れ行きを維持している。一方、Intelは最新の「Core Ultra 200S」シリーズの売れ行きが伸び悩み、販売ランキングの上位から姿を消しつつある。

Ryzen 7 9800X3Dが圧倒的な人気を誇る理由

Ryzen 7 9800X3Dは、2025年2月に8,000台以上を販売し、現在最も売れているCPUの座を維持している。このプロセッサは3D V-Cache技術を採用し、特にゲーム用途において優れたパフォーマンスを発揮することが評価されている。従来のRyzen 7 7800X3Dと比較しても、キャッシュ構造の最適化が進み、より高速なデータ処理が可能になっている点が大きな特徴だ。

また、このモデルは価格面でも競争力がある。同等のゲーミング性能を持つIntel製CPUと比べ、TDPが抑えられているため、電力効率の高さも支持を集める要因となっている。特に、ハイエンドゲーミングPCを構築する際に電源負荷を抑えつつ高いパフォーマンスを求めるユーザーにとって、最適な選択肢の一つとなっている。

さらに、Ryzen 5000シリーズから続くAM4ソケットのサポートも影響している。既存のマザーボードをアップグレードする形で導入できるため、コストを抑えて性能を向上させたいユーザー層にも人気がある。これらの要素が相まって、Ryzen 7 9800X3Dは他のモデルを大きく引き離す売れ行きを記録している。

AMDが市場シェア84%を獲得した背景

2025年2月のデータによると、AMDはCPU市場の84.18%という圧倒的なシェアを獲得し、Intelを大きく引き離した。この結果には、Ryzenシリーズ全体の好調な売れ行きが関係している。特に、Ryzen 5 5600XやRyzen 7 7800X3D、さらにRyzen 9 9950X3Dといった各レンジのモデルが、バランスよく売れている点が特徴的だ。

一方、Intelは「Core Ultra 200S」シリーズを発表したものの、販売数は低迷している。特に「Core Ultra 7 265KF」はわずか200台程度の販売にとどまり、AMDの最新モデルと比較すると大きな差が生まれている。これは、Intelの新製品が既存のラインナップと大きな性能向上を見せていないことや、価格設定が市場に適応できていないことが影響していると考えられる。

また、AMDの平均販売価格(ASP)は290.71ドルで、Intelの251.18ドルよりも高いにもかかわらず、販売台数が伸びている。この点からも、単なる価格競争ではなく、性能面での優位性が市場に評価されていることがわかる。今後もAMDの勢いが続くかどうかは、Intelの次世代プロセッサの性能次第といえそうだ。

Intelが市場で苦戦する理由と今後の展開

Intelは長年にわたりデスクトップCPU市場のリーダーだったが、近年AMDの台頭により苦戦が続いている。2025年2月時点では、売れ筋ランキングのトップ10からIntel製品が完全に姿を消し、最も売れたモデルでも約1,000台の販売にとどまった。

この要因の一つは、AMDのX3Dシリーズがゲーミング用途で圧倒的な性能を示し、多くのユーザーに支持されていることにある。特に、追加のL3キャッシュを搭載するRyzen 7 9800X3DやRyzen 9 9950X3Dは、ゲーム性能の向上が顕著であり、対抗できるIntel製品が不足している。

また、IntelはArrow Lake-Sシリーズを発表したものの、市場での受け入れは限定的だ。新世代プロセッサの発売が遅れていることや、既存の第13世代・第14世代との性能差が少ないことが影響していると考えられる。このままでは、Intelが市場での立場を取り戻すには、より大幅なアーキテクチャの刷新や価格戦略の見直しが必要になりそうだ。

Source:Wccftech