AppleのMacBook Air M4は、前世代のM1モデルと比べて大幅な性能向上を果たした。CPUとGPUの強化により、シングルコア性能で最大45%、マルチコアタスクでは80%以上の向上が見られる。動画編集や3Dグラフィック処理の分野ではM1の2倍以上の処理速度を記録し、プロフェッショナル用途にも適したデバイスとなっている。

また、デザイン面ではウェッジ型を廃し、フラットで洗練された形状に刷新。13.6インチのLiquid Retinaディスプレイ、MagSafe充電の復活、スピーカー配置の見直しなど、細部の改良も施されている。バッテリー寿命は若干の向上にとどまるものの、高性能化を考慮すれば効率的なエネルギー管理が実現されているといえる。一方で、M4はM1に比べて発熱が増加しており、最大48℃に達するケースもある。この点が長時間の高負荷作業にどのような影響を及ぼすのか、注意が必要だ。

M4は、処理速度や快適性を重視するユーザーにとって魅力的な選択肢だが、M1の性能に満足している場合はアップグレードの必要性を慎重に検討する余地がある。次世代モデルを待つべきか、それとも今こそ買い替えのタイミングなのか――その判断材料として、本記事では詳細な比較を行う。

M4チップの圧倒的な性能向上 速度とパワーの進化

MacBook Air M4は、M1と比較して処理能力が大幅に向上している。特にCPU性能は、シングルコアで45%、マルチコアでは最大90%の向上を果たしており、これはGeekbench 6やCinebench 2024のベンチマークスコアによって実証されている。動画編集やプログラミング、データ解析などの負荷の高い作業でも、M4は圧倒的な処理速度を誇る。

GPUもまた大きく進化しており、M1の7コアGPUに対してM4は8コアGPUを搭載。特に3Dレンダリングや動画編集のパフォーマンスにおいて、最大4倍の向上が確認されている。3DMarkやBlenderなどのベンチマークでは、M1では処理に時間がかかるシーンでも、M4ならスムーズに描画可能だ。これにより、クリエイティブな用途での実用性がさらに高まった。

一方で、これだけの性能向上を果たしたことで、発熱量の増加も見られる。高負荷時にはM4の温度が最大48℃に達するのに対し、M1は40℃に抑えられていた。パフォーマンスの向上と引き換えに、発熱への対策が必要になる可能性がある。ファンレス設計は静音性を保つが、長時間の高負荷作業を行う場合は放熱対策を考慮した使い方が求められるだろう。

デザインの変革と実用性の進化

MacBook Air M4では、デザイン面でも大きな変更が加えられた。M1のウェッジ型デザインから、よりフラットな形状へと移行し、M2モデルのデザインを踏襲した形となっている。この変更により、M4はより均一な厚みを持ち、洗練された印象を与えるデザインへと進化した。ディスプレイも従来の13.3インチから13.6インチに拡大し、Liquid Retinaディスプレイを採用。これにより、より鮮明な映像表現が可能になった。

さらに、ユーザーにとって重要なMagSafe充電が復活した点も見逃せない。従来のUSB-C充電に比べ、MagSafeは不意のケーブル抜けを防ぐ設計になっており、利便性が向上している。加えて、フルサイズのファンクションキーが採用され、ショートカット操作の利便性が向上。スピーカーの配置も見直され、よりクリアでバランスの取れた音響体験が可能になった。

しかし、デザインの変化は一部のユーザーにとって好みが分かれる要素でもある。ウェッジ型デザインを支持していたユーザーにとって、新しいフラットデザインが手に馴染むかどうかは個人の感覚による部分が大きい。また、ディスプレイの拡大による恩恵はあるものの、従来のMacBook Airのコンパクトさを好むユーザーにとっては、持ち運びやすさの違いが気になるかもしれない。

M4はアップグレードすべきか?性能と価格のバランス

MacBook Air M4の進化は明らかであり、特にパフォーマンスの向上は大きな魅力となる。しかし、M1ユーザーがすぐに買い替えるべきかどうかは、使用環境によって判断が分かれる。

例えば、動画編集や3Dレンダリングなど、高負荷な作業を行うユーザーにとって、M4の処理速度向上は作業効率を大幅に高める。一方で、M1でも普段使いには十分な性能を持つため、ブラウジングやドキュメント作成、軽いクリエイティブ作業がメインのユーザーにとっては、M4へのアップグレードが必須とは言い難い。

また、バッテリー持続時間についても、大幅な向上は見られなかった。M4はバッテリー残量の維持率でM1を若干上回ったものの、日常的な使用時間に劇的な差が出るわけではない。そのため、長時間のモバイル利用を最優先するユーザーにとっては、アップグレードの必要性は低いだろう。

最終的に、MacBook Air M4はM1よりも確実に進化しているが、すべてのユーザーにとって即座に必要なアップグレードとは限らない。現在の使用状況を考慮し、より高い性能を求めるか、それとも次世代モデルを待つか、慎重に判断することが重要となる。

Source:Geeky Gadgets