暗号資産イーサリアム(ETH)が3週間連続の下落を経て、1,754ドルで底打ちした可能性が浮上している。過去のパターンを踏まえると、この水準は売られ過ぎの兆候を示しており、価格が急反発する可能性がある。一部の市場予測では、3,400ドルへの回復シナリオも想定されているが、確実視するには時期尚早だ。
注目すべき要因として、今週予定されているPectraアップグレードに関する動向や、大規模なステーキング解除の影響が挙げられる。また、米国における暗号資産政策の不透明感も市場の不安要因となっている。ETHが今後の重要な抵抗線である2,129ドルを突破できるかが、短期的な市場動向を決定づける鍵となる。
投資家にとっては、強気反発のサインを見極めると同時に、さらなる下落リスクへの警戒も必要だ。特に、ETHが1,800ドルのサポートラインを下回れば、再び大幅な下落局面に入る可能性がある。価格変動の激しい局面が続く中、市場の動向を慎重に見極める必要がある。
イーサリアムの下落トレンドと反発の兆候 過去の事例との比較

イーサリアム(ETH)の価格は、3週間連続で下落し、1,754ドルで下げ止まった。直近の下落率は38%超と大幅であり、市場の不安が高まる中で取引量の低下も見られた。この状況下で、テクニカル指標が「売られ過ぎ」を示唆しており、反発の可能性が浮上している。過去にもETHは数週間の下落の後、急回復するパターンを繰り返してきた。
2024年7月には3週間連続の下落を経た後、3カ月間で93%の急騰を記録した事例がある。過去のパターンに基づけば、今回の1,754ドルという水準も底値として機能する可能性がある。ただし、当時と現在では市場環境が異なり、回復の条件が整うかは不透明だ。ETHが短期間で3,400ドルへ向かうシナリオも考えられるが、回復には市場のセンチメントが改善する必要がある。
テクニカル分析においては、ETHが重要なサポートラインである1,800ドルを維持できるかが焦点となる。一方で、強気のシグナルとして注目すべきは、下降ウェッジパターンからのブレイクアウトだ。このパターンは反発を示唆するが、確実な転換には2,129ドルの突破が求められる。ETHの動向は、市場全体の流れにも大きく影響を受けるため、他の主要暗号資産の動きも慎重に見極める必要がある。
Pectraアップグレードの影響と市場の不安
今週、イーサリアムネットワークでは次期Pectraアップグレードの最終テストが進行している。このアップグレードはネットワークの安定性向上を目的としたもので、ETHの中長期的な成長にとって重要な要素となる。しかし、市場はこのアップグレードが短期的に与える影響について慎重な姿勢を崩していない。
特に懸念されているのは、大量のステーキング引き出しの発生である。Pectraアップグレードの発表後、約5億ドル規模のETHが引き出された。この動きは、一部の投資家が不確実性を懸念して資産を引き上げた結果と考えられる。ステーキング解除が今後も続けば、市場の流動性に影響を与え、ETHの短期的な回復を妨げる可能性がある。
また、米国の暗号資産政策の不透明感も影響を与えている。トランプ前大統領がイーサリアムなどを「戦略的暗号資産準備金」として組み込む提案を行ったことが市場の関心を集めた。しかし、JPモルガンはこの提案の実現性について懐疑的な見方を示しており、投資家の間で不安が広がっている。こうした要因が重なり、市場はETHの回復を期待しつつも、依然として慎重な姿勢を取っている。
イーサリアムの今後の価格動向 強気と弱気の分岐点
ETHの今後の価格動向を占う上で、2,129ドルの抵抗線を突破できるかが重要なポイントとなる。この水準を超えることができれば、2,450ドルへの回復シナリオが現実味を帯びてくる。さらに、3,400ドルの水準を目指す動きが強まる可能性もある。ただし、そのためには取引量の増加や市場センチメントの改善が必要不可欠である。
一方、ETHが1,800ドルのサポートラインを維持できなければ、さらなる下落リスクが高まる。特に、下降ウェッジパターンの下限を割り込んだ場合、直近安値の1,754ドルを再び試す展開も考えられる。市場の売り圧力が続けば、ETHは1,700ドル台での推移を余儀なくされる可能性がある。
今週の市場では、FRBの金融政策や他の主要暗号資産の動向がETHの価格に影響を与えるだろう。利下げ期待が強まればETHにとって追い風となるが、政策の不透明感が続けば慎重な取引が続く可能性がある。強気と弱気の分岐点に立つETHは、今後の市場動向次第で大きく動く局面を迎えている。
Source:CoinGape