NVIDIAのRTX 5090が市場の頂点に立つ中、AMDはミッドレンジGPU「RX 9070 XT」を発表し、ハイエンド市場から一歩引いた形となった。しかし、一部のリークや噂によれば、AMDは32GBのVRAMを搭載したGPUを開発しており、これがRTX 5090の対抗馬になる可能性があるとされる。
この新型GPUの詳細は不明だが、AMDがRX 9080 XTなどの名称で上位モデルを投入する可能性も指摘されている。RDNA 4世代の改良やFSRの進化により、レイトレーシング性能も向上しており、AMDが次世代GPUでNVIDIAに再挑戦する展開も考えられる。
AMDが選んだ戦略 ミッドレンジGPUに注力する理由

AMDはこれまでハイエンドGPU市場でNVIDIAと競い合ってきたが、RX 9000シリーズでは明確に異なる戦略をとった。最上位モデルとして登場したRX 9070 XTは、RTX 5090の対抗馬ではなく、価格性能比に優れたミッドレンジ向けGPUとして発表されている。これにより、AMDは従来のフラッグシップ競争ではなく、より幅広いユーザー層をターゲットにした製品展開を進めている。
この戦略の背景には、ハイエンドGPU市場の競争が激化している現状がある。NVIDIAのBlackwellアーキテクチャは飛躍的な性能向上を実現し、特にレイトレーシングやAI技術において圧倒的な強みを持つ。一方、AMDはRDNA 4世代のアーキテクチャでこれに対抗しているものの、ハイエンド市場で正面からぶつかるのではなく、コストパフォーマンスを重視する方向へと舵を切ったと考えられる。
この方針が成功するかは市場の反応次第だが、RX 9000シリーズの販売動向を見極めつつ、AMDが今後ハイエンド市場に再参入する可能性は十分にある。特にRX 9080 XTのような上位モデルの登場が噂されており、AMDがどのタイミングでハイエンドGPUを投入するかに注目が集まる。
32GB VRAM搭載GPUの噂 AMDは本当にRTX 5090に対抗するのか
最近、AMDが32GBのVRAMを搭載したGPUを開発しているという噂が浮上した。このスペックはRTX 5090と同等であり、事実であればAMDがハイエンド市場への再参入を準備している可能性を示唆している。しかし、AMDのフランク・アゾール氏はこの情報を冗談交じりに否定しており、現時点で公式な発表はない。
それでも、この32GB VRAM搭載モデルがまったくのデマとは言い切れない。これまでAMDはRX 6000、RX 7000シリーズで上位モデルに大容量VRAMを搭載してきた前例がある。特にRX 7900 XTXは24GBのVRAMを備えており、次世代モデルでさらに容量を増やすことは技術的にも十分に考えられる。
ただし、仮にこのGPUが存在するとしても、それがゲーミング向けなのか、ワークステーション向けなのかは不透明だ。AMDはプロ向けのRadeon Proシリーズも展開しており、リークされた32GB VRAMモデルがクリエイターやデータサイエンティスト向けの製品である可能性もある。もしゲーミング向けであれば、RX 9080 XTとして登場し、RTX 5080との競争を繰り広げる展開が予想される。
AMDは次世代でハイエンドGPU市場に返り咲くのか
現時点でAMDはハイエンド市場への本格的な参入を避けているが、それが今後も続くとは限らない。GPUの発売サイクルが長期化する中で、RX 9000シリーズのライフサイクルはまだ序盤に過ぎず、今後の市場動向によって戦略が変化する可能性は十分にある。
過去の例を振り返ると、AMDはRX 6000シリーズでNVIDIAのRTX 30シリーズと競い合い、一時的に市場シェアを伸ばした。しかし、レイトレーシング性能の差やDLSSの普及により、RTX 40シリーズで再びNVIDIAが優勢となった。RDNA 4世代ではFSRの強化やアーキテクチャの改良が進められているものの、現時点ではRTX 5090と競争する直接的な製品はない。
しかし、AMDが完全にハイエンド市場を放棄したわけではない。次世代RDNA 5アーキテクチャで、RTX 6090対抗となるGPUを投入する可能性は十分に考えられる。特に、NVIDIAがAI技術を前面に押し出す一方で、AMDがコストパフォーマンスやVRAM容量の強化を武器に再び市場に挑む展開が期待される。
Source:XDA