著名投資家ジム・クレイマーは、CNBCの番組『Squawk on the Street』でMeta Platforms(NASDAQ:META)の強さを評価しつつ、その成長を支える広告収益のリスクを指摘した。2025年に入り、同社の株価は堅調に推移。コスト削減やAI活用による広告事業の強化が要因とされるが、クレイマーは「広告に依存するビジネスモデルはリスクになり得る」と述べた。

同番組では、マーケット全体の動向にも言及。トランプ前大統領の関税政策をめぐる市場の混乱や、NASDAQの4%下落を背景に「株価の下落は投資家の心理に大きな影響を与える」と警鐘を鳴らした。特に、退職資産を運用する中間層への影響が懸念されるという。クレイマーの視点から見たMetaの成長戦略と市場環境の変化は、投資家にとって重要な示唆を与えるものとなるだろう。

Metaの成長を支える要因 コスト削減とAIの活用

Meta Platforms(NASDAQ:META)の株価は2025年に入り堅調に推移している。その背景には、同社が推進するコスト削減とAI技術の活用がある。Metaは広告事業の効率化を進め、ターゲティング精度を高めるためにAIを積極的に導入。これにより広告主のROI向上を実現し、収益基盤の強化につなげている。

さらに、同社は2024年末から続くデータセンター投資の抑制により、大規模な資本支出を削減。市場がAI関連のインフラ投資に慎重になる中、Metaの財務状況は安定しており、他のテック企業と比較して市場の下落を免れている。これにより、投資家の信頼を維持し、株価の底堅さを示している。

ただし、同社の成長は広告市場の動向に左右される。AIの活用により競争力を強化しているものの、広告収益の一本足打法は依然としてリスク要因。業界の景気変動やプライバシー規制が厳しくなれば、成長の足かせとなる可能性がある。今後の市場環境がMetaの戦略にどのような影響を与えるのか、慎重に見極める必要がある。

クレイマーが指摘する広告依存のリスク

Metaの収益構造について、ジム・クレイマーは広告依存が最大の懸念材料であると強調している。同社の売上の大半を占める広告収益は、景気動向に大きく左右されやすく、市場環境が悪化すれば業績への打撃は避けられない。特に、消費支出の冷え込みが広告予算の削減につながれば、Metaの成長ペースは鈍化する可能性がある。

また、広告業界ではデータ利用規制の強化が進んでいる。Appleのプライバシー政策の変更や、Googleのクッキー廃止計画などにより、ターゲティング広告の精度が低下すれば、広告主の投資意欲に影響を与えかねない。こうした規制の変化は、Metaにとって構造的なリスクとなる。

Metaは今後、広告以外の収益源を模索することが求められる。メタバース事業や有料サービスの拡充がその一例だが、これらの事業が広告に匹敵する収益規模を生み出すには時間がかかる。クレイマーの指摘が示す通り、Metaが持続的な成長を遂げるためには、広告依存からの脱却が重要なテーマとなるだろう。

市場の変動とトランプの関税政策 株価への影響

市場全体の動向も、Metaの株価に影響を及ぼす要素となっている。トランプ前大統領が掲げる関税政策をめぐり、株式市場は大きく揺れており、NASDAQは4%の下落を記録。特にテクノロジー企業の多い市場では、経済政策の不透明感が投資家心理を冷やしている。

クレイマーは、関税政策がもたらす市場の不安定さを指摘し、「トランプ氏は市場との関係を見直すべきだ」と述べている。彼はまた、レーガン元大統領のような穏やかなリーダーシップが求められるとも示唆。市場の混乱を招くような発言が続けば、投資家の信頼はさらに揺らぐ可能性がある。

Metaのようなテクノロジー企業は、関税による直接的な影響を受けにくいものの、市場全体の不安定さが資金流出を招けば、株価の調整圧力となる可能性がある。クレイマーの警告が示す通り、市場の流れを見極めながら投資判断を下すことが重要となる。

Source:yahoo finance