パランティア(NASDAQ: PLTR)の株価が再び注目を集めている。ウィリアム・ブレアのアナリスト、ルイ・ディパルマ氏は同社の評価を「マーケットパフォーム」に据え置いたが、人工知能(AI)エコシステムの拡大とデータブリックスとの提携が成長を後押しすると分析した。
現在、パランティアは90ドルの抵抗線を試しながら、100ドルを次の目標とする強気相場が続いている。2025年の売上成長率31%、営業利益率45%という予測もあり、投資家の期待は高まっている。一方で、P/Eレシオ755.67と過熱感も否めず、過大評価を懸念する声もある。
ウォール街では評価が分かれる。ウェドブッシュ証券のダン・アイヴス氏は、AI市場での政府支出拡大を見据え「アウトパフォーム」と評価し、120ドルの目標株価を維持。一方で、ジェフリーズのブレント・スリル氏は、CEOの大規模な株売却を理由に「アンダーパフォーム」を継続。市場全体の動向も影響する中、パランティアの今後に注目が集まる。
パランティアのAIエコシステム拡大とデータブリックスとの提携がもたらす影響

パランティアは人工知能(AI)エコシステムの拡大を加速させており、データブリックスとの提携がその戦略の中核となっている。この提携により、パランティアのAIプラットフォーム(AIP)とデータブリックスのデータインテリジェンスプラットフォームが統合され、共同顧客がデルタシェアリングを通じて両社の技術を活用できるようになる。これにより、企業や政府機関はより高度なデータ分析が可能となり、パランティアの商業市場への浸透が進むと考えられている。
ウィリアム・ブレアのアナリストであるルイ・ディパルマ氏は、この提携を「直接的な市場開拓のコラボレーションではなく、AIエコシステムの拡大を示すもの」と評価している。実際、パランティアとデータブリックスは防衛省向けの分析アプリケーション分野では競争関係にあるが、両社のターゲット市場が広範であるため、協業が可能となった。両社はすでにBPやAT&Tといった大手企業を共同顧客に抱えており、データ活用の拡張が期待されている。
この提携は、パランティアのAI戦略の重要な転換点とも言える。これまで政府機関向けの事業に重点を置いていた同社が、商業市場でのプレゼンスを強化するために、より広範な企業と連携する姿勢を示した点が注目される。AI技術の競争が激化する中で、この動きが同社の成長をどこまで押し上げるかが、今後の焦点となるだろう。
株価評価が分かれる背景 CEOの株売却が与える影響
パランティアの株価は過去1年間で3倍に上昇し、強気の投資家からは高評価を受けている。しかし一方で、一部のアナリストは過大評価の懸念を指摘しており、ジェフリーズのブレント・スリル氏は「アンダーパフォーム(市場平均以下)」の評価を維持している。その理由の一つとして、CEOであるアレックス・カープ氏の大規模な株売却が挙げられる。2024年に入ってからの売却総額は20億ドルを超えており、市場では経営陣の先行きへの自信に対する疑問が浮上している。
経営陣が自社株を売却すること自体は珍しくないが、特に成長企業においては、市場に与える影響が大きい。パランティアのようなAI関連銘柄は投資家の期待が先行しやすく、P/Eレシオ755.67という異常な水準はその象徴とも言える。このため、市場が調整局面に入った場合、投資家心理が一気に悪化し、急落のリスクを抱えることになる。3月13日にはナスダックが4%下落した際、パランティアの株価も10%下落しており、相場全体の動向に大きく左右される状況が続いている。
一方で、ウェドブッシュ証券のダン・アイヴス氏は、「アウトパフォーム(市場平均を上回る)」の評価を維持し、目標株価を120ドルに設定している。特に、パランティアのAI技術が政府支出の増加から恩恵を受ける可能性を指摘しており、長期的な成長余地に期待を寄せている。株価の先行きは不透明な部分もあるが、AI分野の競争が激化する中で、同社の市場でのポジションが今後の評価を大きく左右することは間違いない。
2025年の成長見通し AI市場拡大がもたらす恩恵
パランティアの業績見通しは依然として強気の予測が続いている。2025年の売上成長率は31%、営業利益率は45%と予測されており、これはソフトウェア業界でもトップクラスの水準である。この成長を支えているのが、AI技術の進化とそれに伴う市場拡大である。最近開催されたAIPConカンファレンスでは、新たな顧客としてクアルコム(NASDAQ: QCOM)やEpirusを獲得したことが発表され、商業分野での事業拡大が着実に進んでいる。
特に、AIの導入が進む中で、政府および企業によるデータ分析への投資が急増している点が、パランティアにとって追い風となっている。パランティアのAIプラットフォームは、データ処理と意思決定を強化するために設計されており、これが防衛、医療、金融などの幅広い分野で採用されている。AIを活用した意思決定プロセスの高度化は、多くの企業にとって不可欠な要素となっており、パランティアの技術はその中核を担っている。
しかし、成長が期待される一方で、市場全体のリスクも無視できない。AI関連銘柄は一般的にボラティリティが高く、特に政府支出の変動がパランティアの業績に与える影響は大きい。国防総省の予算削減案が報じられた際には、同社の株価が急落したことからも分かるように、政治的要因が業績に直結する可能性がある。このため、2025年の成長シナリオが順調に進むかどうかは、外部環境の変化を慎重に見極める必要があるだろう。
Source:Finbold