人工知能(AI)関連銘柄として注目を集めたパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が2025年に入り大きく下落している。市場全体の売り圧力に加え、政府支出の削減が新たな懸念材料となっている。その背景には、イーロン・マスク率いる「政府効率化局(DOGE: Department of Government Efficiency)」の存在がある。
DOGEは無駄な政府支出の削減を目的とし、特にソフトウェアライセンスの監査を強化している。現在、パランティアの契約が対象になったとの報告はないものの、同社の売上の約40%が米国政府からの収益であることを考えると、影響を受ける可能性は否定できない。
また、パランティア株の割高感も投資家の警戒材料となっている。現在の株価収益率(PER)は140倍、売上高比(PSR)は67倍と依然として高水準だ。成長率の鈍化や政府支出削減の影響を考慮すれば、今後の株価推移には慎重な見極めが必要だろう。
パランティアの政府依存度とDOGEの影響

パランティア・テクノロジーズは、米国政府向けAIソフトウェアの提供を主力事業とし、売上の40%を政府関連契約に依存している。2024年第4四半期には、8億2800万ドルの売上のうち3億4300万ドルを政府部門が占め、前年同期比45%の成長を記録した。同社のソフトウェアは、データ分析とAIによる意思決定支援を強みとし、国防総省や情報機関にも広く採用されている。
しかし、イーロン・マスクが率いる「政府効率化局(DOGE)」は、無駄な支出を削減する目的で設立され、特にソフトウェアライセンスの費用対効果を精査している。現時点でパランティアの契約が監査対象となった報告はないものの、政府のコスト削減方針が同社の売上に影響を与える可能性は否定できない。特に、DOGEが重点的に見直しを進める分野とパランティアのソリューションが重なる場合、契約の縮小や更新条件の見直しが懸念される。
これまで政府のデジタルインフラを支えてきたパランティアにとって、DOGEの改革は新たなリスクとなる可能性がある。一方で、同社の技術は政府の意思決定に不可欠であり、削減対象から外れる可能性も高い。政府支出の最適化が求められる中で、パランティアの契約がどのように影響を受けるかは、今後の市場の注目点となるだろう。
パランティア株の評価と投資家が直面するリスク
パランティアの株価は、AI市場の成長期待を背景に急上昇したが、2025年に入り大きく下落している。市場全体の売り圧力に加え、同社の株価が依然として高い評価を受けていることが投資家の懸念材料となっている。現在の売上高比(PSR)は67倍、株価収益率(PER)は140倍と、他のテクノロジー企業と比較しても割高な水準にある。仮に同社が今後数年間で30%前後の成長を続けたとしても、5年後の株価指標は適正水準に収束するまでに時間を要すると考えられる。
投資家にとってのリスクは、DOGEの影響に加え、AI市場の競争激化と成長鈍化の可能性である。パランティアの商業部門は拡大しているものの、依然として政府契約に大きく依存しており、市場全体の調整局面では売り圧力が強まる傾向がある。さらに、同社の株価は過去の高評価を反映した水準にあり、新規投資のタイミングとしては慎重な判断が求められる。
現在の市場環境において、パランティア株への投資は短期的なリスクを伴う。一方で、同社のAI技術は引き続き高い需要が見込まれ、長期的には成長余地がある。投資家は、DOGEの政策動向やAI市場の成長速度を慎重に見極めることが求められるだろう。
Source:The Motley Fool