Nvidia(NASDAQ:NVDA)の株価が急落し、3月の下落率は14%に達した。市場全体の売り圧力が強まる中、AI向け半導体需要の不透明感、景気後退懸念、貿易摩擦が主な要因とされる。

一方で、過去のデータによれば、同社は度重なる下落を経て上昇を繰り返してきた。2022年の30%以上の下落後も回復し、長期投資家に莫大な利益をもたらしている。3月17日のGTCカンファレンスを控え、新たな技術革新が発表されれば、再び市場の注目を集める可能性がある。

また、アナリストの間では、Nvidiaの株価は将来的な収益ベースでは割安との見方もある。AI市場の成長が継続すれば、現在の下落は新たな買いの好機となるかもしれない。

Nvidia株急落の背景 景気後退懸念とAI市場の不透明感

Nvidiaの株価は3月に入り14%下落したが、この背景には市場全体の売り圧力と、AI関連銘柄に対する慎重な見方が影響している。2025年の景気後退懸念が高まる中、投資家はリスク回避の動きを強めており、特に高PER銘柄に対する売りが顕著となった。加えて、AI向け半導体の需要に対する不透明感が、Nvidiaの評価を揺るがしている。

AI市場では「DeepSeek」の登場により、企業のチップ需要がどの程度維持されるかが焦点となった。生成AIを支えるハードウェア市場の成長は引き続き期待されるが、企業の投資判断は慎重になりつつある。また、米中の貿易摩擦による半導体規制の強化が、Nvidiaの成長に影を落としている。

ただし、短期的な市場の動揺にもかかわらず、Nvidiaの時価総額は依然として2.7兆ドルと高水準を維持している。過去にも同社は下落局面を乗り越え、高成長を遂げてきた。今回の下落は一時的な調整にすぎないのか、それとも構造的な変化の始まりなのか、投資家の間で議論が続いている。

GTCカンファレンスが株価回復の転機となるか

3月17日に開催される「GTCカンファレンス」は、Nvidiaにとって重要な転機となる可能性がある。このイベントでは、AI関連の新技術やハードウェアの発表が期待されており、特にクラウド企業やデータセンター向けの最新GPUの動向が注目されている。過去のGTCでは、Nvidiaの新たな戦略が示されるたびに株価が大きく動いた経緯がある。

Wedbushのアナリスト、ダン・アイヴス氏は、AIインフラ投資が今後3年間で2兆ドル規模に達すると予測し、Nvidiaの成長余地は依然として大きいと指摘する。同氏は、現在の株価水準が長期的には割安である可能性を示唆し、目標株価を175ドルと設定。GTCカンファレンス前のNvidia株購入を推奨している。

ただし、今回のイベントが投資家の期待に応えられるかは未知数である。市場はすでに成長の鈍化を意識し始めており、新技術の発表だけでは十分な買い材料とならない可能性もある。過去にはイベント後に一時的に株価が上昇したものの、その後反落した事例もあり、慎重な見極めが求められる。

過去のデータが示すNvidiaの株価動向

Nvidiaはこれまでにも大幅な株価調整を経験しながら、そのたびに力強い回復を遂げてきた。2022年には30%以上の下落を記録したが、その後の上昇により長期投資家にとっては大きな利益をもたらしている。直近5年間の株価上昇率は1,819%に達し、成長銘柄としての地位を確立してきた。

歴史的に見ると、Nvidiaの株価は短期的なボラティリティが高い一方、長期的にはAI市場の拡大とともに成長を続けている。このため、今回の下落が長期的な投資機会となるかどうかは、AI関連支出の動向にかかっている。企業の設備投資が鈍化すれば、株価回復に時間を要する可能性がある。

また、「次のNvidia」となる新たなAI関連銘柄の台頭も注目されている。過去10年間でNvidiaの株価は250倍に達したが、新興企業の中には同様の成長ポテンシャルを秘めた銘柄も存在する。Nvidiaの未来を見極めると同時に、次なる成長企業を探ることも、投資家にとって重要な視点となるだろう。

Source:24/7 Wall St.